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クリエイターの珠玉の映像表現や想いを、ご自宅へ。 新しいコンセプトのオンラインギャラリー 「Creative Gallery on BRAVIA」 第5弾 写真家、映画監督 蜷川 実花 氏

α Universe editorial team

Android TV機能搭載テレビ ブラビア(BRAVIA)で、プロ写真家・映像クリエイターの作品をインターネットで視聴いただけるオンラインギャラリー「Creative Gallery on BRAVIA」は、一般的な写真展と異なり、ご自宅で、ブラビアならではの大画面・高精細な表現力で時間を気にせずお楽しみいただけます。さらに、音声(BGM)を交えた写真や映像作品など、多種多様な表現が可能。作家の趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご自宅のリビングに感動をお届けします。※ネットワークに接続されたAndroid TV 機能搭載のブラビアをお持ちの方であれば閲覧無料。 第5弾は写真家の蜷川実花氏。今回は『永遠の花』、『Butterfly Dream』、 『Liquid Dreams』、『TOKYO』などのシリーズや近作の『花、瞬く光』からの作品、そして今企画のために「α7R X」で撮り下ろしていただいた写真と映像作品がご覧いただけます。映画やドラマの監督を務め、コマーシャルや雑誌の撮影、大規模な展覧会も開催する日々の中で作品を撮り続ける蜷川さんに、作品づくりにかける想いやこれまでの作品について伺いました。

蜷川実花/写真家、映画監督 写真を中心として、映画、映像、空間インスタレーションも多く手掛ける。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。2010年Rizzoli N.Y.から写真集を出版。『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)はじめ長編映画を5作、Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』を監督。最新写真集に『花、瞬く光』。主な個展に、「蜷川実花展」台北現代美術館(MOCA Taipei)(2016)、「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」(2018 -2021)(日本の美術館を巡回)、「MIKA NINAGAWA INTO FICTION / REALITY」北京時代美術館(2022)、「蜷川実花 瞬く光の庭」東京都庭園美術館(2022)などがある。 https://mikaninagawa.com

新鮮な気持ちで、 花と向かい合えた1年半。

――デビューから今まで、ずっと花を撮り続けている蜷川さんですが、2022年に発表された写真集『花、瞬く光』は今までの作品とは少し違い、光の輝きや生命力のようなものが伝わってくる作品でした。東京都庭園美術館でも個展を開催されていましたが、まずは本作について教えてください。 蜷川: 2021年から2022年の春まで約1年半、東京だけではなく地方もいろいろと回って撮影した作品です。全部で4万枚くらいになるのですが、ちょっと自分でも驚くくらい撮り続けていました。 今までずっと写真をやってきて、お花も何十年と撮っているのですが、“目が新しくなった瞬間”というか、またこうやってこんなに新鮮な気持ちで毎年咲いている花と向かい合えるものなんだ、まだまだこんなに新しい風景に出会えるんだと思った象徴的な時期でした。

『花、瞬く光』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

――蜷川さんの中で、何か明らかな変化があったのでしょうか。 蜷川:どこでどう変わったというわけではないのですが、コロナをはじめとして世界が変わっていった2、3年だったじゃないですか。自分の中にいろんなことが降り積もっていたのだと思うんですよね。 2021年になって撮りに行こうという気分になったときに、改めて世界と向き合ったら輝き方が全然違ったというか、もっと深いところや、もっとささやかなことに感動するようになっていて、夢中になって撮影していたんです。 今までは華やかな中にも相反するようにある毒のようなものが自分のクリエイションの中で大事な要素のひとつにあり、おそらくまだその部分もあると思うんですが、この時期はそれよりもすごく素直に光に向かって反応しているような気がしました。自分の何十年間がまるでろ過されたような、ものすごくきれいな部分だけで撮ったシリーズです。 ――写真集を見ると、花という同じ被写体でも写真にさまざまなバリエーションがあって、画面が緻密で隅々まで情報が入っているように感じました。 蜷川:それは4万枚撮った中から選んでいるからかもしれないです。やっぱり数は大事。どれだけ撮ったか、どれだけ向き合ったかということがそこに現れている。普段からたくさん撮りますが、今もあの時期と同じくらい撮っているかといえば、またちょっとフェーズが変わってこれほどは撮っていません。

『花、瞬く光』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

――その時期、感覚がより研ぎ澄まされていたんですね。 蜷川:そうです。感覚だけが肥大化したようでした。コンセプトがどうとかこういう風にすべきだとか、今の流れはこうだから、みたいなことがまったくなかったわけではないですが、そういったことから解き放たれて感覚だけで撮っていた気がします。あの場所のこの風景をこの時期に撮りたい、などということはあるのですが、その時々の自分の感情や自分の中身が全部写っていくものなのだと思いました。

瞬間を永遠にしたいという、 写真を撮る根源的な思い。

――今までもいろいろな形で花と向き合ってきたと思うのですが、蜷川さんにとって花を撮るということとはどういうことなのでしょうか。 蜷川:これはずっと聞かれ続けている質問で答えるのがとても難しいのですが、 『花、瞬く光』を撮影していて気づいたことがひとつありました。私が撮りたい花は全部人の手が入ったものなんです。桜並木や庭園、フラワーパークに花壇も、誰かが誰かを想って作ったもの。人と自然が関わり合いながら作ったものが好きなのかもしれません。 自然は手つかずのものが美しいとされることがあり、信仰もある。でも私の写真には野山に自然に咲いている花を撮ったものは1枚もないんですよ。たとえば、アジサイ寺や京都のもみじなども、古くから人が人の為に自然と共に作り上げたもの。人間賛歌にも近しいものがあるということに気づいたんです。 ――言われてみれば『永遠の花』も、人が作った造花を扱った作品でした。 蜷川:『永遠の花』ではお墓に手向けられているお花を多く撮っていますが、誰かが誰かを思うときに、本物か偽物かというのは、そんなに重要ではないのではないかと思って。そこに思いがのっていたり、役割として成立していたら関係ないのではないかと。「枯れない花を手向けたい」「枯れない花を作りたい」という気持ち自体が美しいと思って撮っていたシリーズです。

『永遠の花』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
『永遠の花』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

『花、瞬く光』もそうですし、こうやって楽しく話している時間もそうですが、すべてが一期一会の瞬間、瞬間のことで、泡のように消えていってしまう。でもその瞬間こそが永遠なのではないかと思ったり、その瞬間が永遠になったらいいのにと思ったり。それは私が写真を撮る思いの中心にあるものなんです。 「消えてなくなるからこそ美しい」というのもわかるけど、フェイクだけど光輝いていたり、時を止めたいという願いだったり、「消えないで欲しい」という思いがあるというのは、私が写真を撮る理由と近しい気がしていますね。 ――『Liquid Dreams』は金魚を被写体にした作品ですが、この作品も今までのお話につながるかもしれないですね。 蜷川:金魚はもうちょっとさらに、人々の欲望がのっているものの象徴ですが、そんなことよりも単純にかわいいと思うそのものの魅力もあります。どんどん改良されて、“所有する欲”の塊を小さな生物が背負わされているという、奇妙な見た目と美しさと切なさみたいなところに惹かれて撮っています。

『Liquid Dreams』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
『Liquid Dreams』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

――『Butterfly Dream』の被写体である蝶は、お花と一緒に撮影することが多いのでしょうか。 蜷川:そうですね。写真でも撮っていましたが、映像を撮るようになってから本当に蝶々にはお世話になっています(笑)。 蝶ってどんどん変わっていきますよね。芋虫から蛹になって、蝶になる。環境の変化を敏感に察知したり、蝶の羽ばたきのような小さなことが大きな事象をもたらすことがあるという現象「バタフライ・エフェクト」の名称にもなっていて、変化の象徴のような存在でもあります。私の作品には「虚構と現実の間の物語」を紡ぐ作品がすごく多いのですが、蝶々はその境界線を跨ぐことのできる存在のような気がしているんです。 また蝶は人の手が入った平野やガーデンに多く出現するのだと聞きました。日本は自然を放っておくとどんどん森になっていくと言われていて、森が増えると蝶は減ってしまうそうです。人の手が入ると言うと、自然を壊すなんてことを考えてしまいそうですが、正しく共存できる自然の残し方をしておくと、数が増えるのだと聞きました。

『Butterfly Dream』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
『Butterfly Dream』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

作品を撮る理由は、 撮らずにはいられないから。

――こうして今までの作品を振り返ると、「人と共存しているもの」というお話は一貫していましたね。 蜷川:でもまあ、本当は理由がないんだと思います。シンプルに言うと、「撮らずにはいられない何か」なんですよね。今までお話ししたことも、もちろん嘘ではなく最近思っているのは確かにそういうことなのですが、でもそのために撮っているわけではなくて、もう咲いていたら撮らないわけにはいられない、撮るに決まっている!という感じなんです(笑)。うまく答えられないのですが。 ――今まで紹介した作品とはまた違った『TOKYO』のシリーズも今回の「Creative Gallery on BRAVIA」で見られますが、こちらはどのような作品でしょうか。 蜷川:私は東京で生まれ育って、今も住んでいるので、この街の持っているざわめきや呼吸を捉えたいと思い、日記を書くみたいにカジュアルにずっと撮っている作品です。都会を否定的にとらえる作品や、街の特色を肯定的に撮る作品もあると思うのですが、どちらでもなくもうちょっと街全体が息づいている感じのものを撮っていけたらいいなと思っています。たくさんあるんです、この作品も未発表のものが。

『TOKYO』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
『TOKYO』より ©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

――これからも展覧会でまだ見たことのない作品が見られる機会がありそうで楽しみです。「Creative Gallery on BRAVIA」はご自宅に居ながらモニターで展示を見ていただけるという企画ですが、ご覧いただく皆さんにメッセージを頂けますでしょうか。 蜷川:実は私、BRAVIAのモニターを2台持っているんですよ。だから私も自宅で見られるということですよね?(笑) 実際に使っているからわかるのですが、BRAVIAのモニターは本当に映りがきれいです。東京都庭園美術館での個展『瞬く光の庭』でもモニター展示をしたのですが、BRAVIAで作品を見ていただくのは、新しい体験になると思います。特に私の写真は色彩にこだわっているため光を透過させるモニター鑑賞との相性がとてもいいので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

「Creative Gallery on BRAVIA」では、この記事で紹介された作品をはじめ本作品展をソニーのAndroid TV ブラビアでご覧いただけます。閲覧無料、クリエイターの趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご体感ください。

ご自宅のブラビアおよび、東京・札幌・名古屋・大阪・福岡の全国5カ所にあるソニーストア店内のブラビアでも作品をご覧いただけます。

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