クリエイターの珠玉の映像表現や想いを、ご自宅へ。 新しいコンセプトのオンラインギャラリー 「Creative Gallery on BRAVIA」 第8弾 写真家 遠藤文香 氏
Google TVTM機能搭載 ブラビア(BRAVIA)で、プロ写真家・映像クリエイターの作品をインターネットで視聴いただけるオンラインギャラリー「Creative Gallery on BRAVIA」は、一般的な写真展と異なり、ご自宅で、ブラビアならではの大画面・高精細な表現力で時間を気にせずお楽しみいただけます。さらに、音声(BGM)を交えた写真や映像作品など、多種多様な表現が可能。作家の趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご自宅のリビングに感動をお届けします。※ネットワークに接続されたGoogle TVTM 機能搭載のブラビアをお持ちの方であれば閲覧無料。 第8弾は、2021年のデビューからの3年間に10以上もの写真展をこなすなど、精力的に作品発表を行いながら、コマーシャルやファッションの領域でも目覚ましい活躍を続けている写真家の遠藤文香氏。今回は岩手県遠野の旅で出会った馬たちを「α9 III」で撮り下ろした「Luminescence Land -発光地帯-」がご覧いただけます。本インタビューでは代表作『Kamuy Mosir』(神々の住まう地)が生まれたきっかけや撮り下ろしの制作背景、主なモチーフにしている動物の撮影について伺いました。
遠藤文香/写真家 1994年生まれ。 2021年東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。主に自然や家畜動物をモチーフに、自然と人間の関係性や境界線を探求し、撮影する行為を通して対象との繋がりや親密さをアニミズム的自然観によって表現している。主な個展に「when I see you, you are luminous」(Tokyo International Gallery, 東京)など。
自然や動物が宿す
神聖な光を求めて
――遠藤さんの作品といえば、『Kamuy Mosir』に見られるような、動物や自然の風景を幻想的に写した作風が特徴的です。『Kamuy Mosir』はどのように生まれたのでしょうか? 遠藤:コロナ禍がきっかけでした。作品を作ろうと思ったタイミングとコロナ禍が重なって、ほとんど家から動けなかったんです。コロナで人間の社会のようなものから離れたこともあって、意識が自然や動物に向いていきました。 家にいた時は無力感のようなものを感じて鬱っぽくなっていて、そんな中で動物や自然に対してポジティブなイメージを持つのと同時に、自分自身を「檻の中の羊」のような家畜に重ねていたこともあって、動物園や牧場のような場所で人の手がかけられた生き物を撮り始めたのが『Kamuy Mosir』です。
――遠藤さんはストロボを多用していますね。ストロボで日中シンクロするだけでも非現実的な写真を撮れると思うのですが、ストロボワークだけでは到達できないような質感の写真になっていると思います。まるで光のペインティングのような。 遠藤:もともとフィルムで撮ったものもデジタルで撮ったものもレタッチしていましたが、ペンタブレットを使って絵を描くように細かなところまで、光を描くように時間をかけて1枚ずつつくるようになったのは、このシリーズが最初です。
――『Kamuy Mosir』からは神聖さを強く感じます。神話に出てくる生き物や風景を作り上げているような印象を持ちました。 遠藤:よく言われます。最初に自然や動物=北海道というイメージがあって、突発的に北海道に行ったんです。後から気づいたのですが、北海道で偶然出向いた場所が雌阿寒岳のようなアイヌの伝説が残っている場所で、何かに導かれたような感覚が強いです。落ち込んでいた時には自然だけが救いでした。北海道に行って本当に救われたし、動物も同じ。だからこそ、自分の中では神聖なものというイメージが強くて、光そのもののようでした。
非言語で繋がれる
馬は特別な生き物
――今回で取り下ろしていただいた新作は岩手の遠野が舞台ですね。遠野といえば日本のふるさとのような場所ですが、なぜ遠野を選んだのですか? 遠藤:動物を撮り始めた頃に、友人から遠野のクイーンズメドウという、馬と過ごすことができる施設を勧められたんです。でも、なかなかタイミングが合わなくて行けなかったので、この機会にと選びました。今回はその施設を運営している徳吉英一郎さんに、夏の間クイーンズメドウの馬が預けられている荒川高原に特別に連れて行ってもらいました。 クイーンズメドウは牧場でもなければ乗馬クラブでもなく馬が放し飼いにされていて、蹄鉄も打たれず手綱も付けられていない。徹底した「馬ファースト」が実践されていて、これまで行ったいろいろな牧場や乗馬クラブにいる馬とはまったく違うんです。
――人の手の入らない自然と管理された場所の境界にあるような場所なんですね。 遠藤:一応管理はされているのですが、とにかく広大で、いくつもの丘が連なる場所を馬たちに開放しているんです。馬たちは本当に生き生きしていて、自由に動いて元気に走り回っていました。
――本当に野生の馬のように見えますね。馬との距離がすごく近いことに驚きました。 遠藤:牧場などでは普通、馬が人に寄ってくることは少ないけれど、そこでは仔馬が私の服やカメラのストラップをずっと噛んで振り回しているくらい。人間の赤ちゃんみたいに好奇心が旺盛で寄ってくるのが印象的でした。
――馬の背後から撮っているショットも多いですね。 遠藤:普通は後ろに回ると後ろ足で蹴られるから背後にいっちゃダメって言われるんですけれど、クイーンズメドウではそういうことは言われずに、ただただ馬と一緒に居させてくれる場所でした。
――馬のモチーフは『Kamuy Mosir』でも登場しますが、遠藤さんにとって馬は特別な動物なのですか? 遠藤:特別な感じがします。他の動物と比べて馬は優しくて穏やかですよね。一緒にいる時に言語じゃないものを介してコミュニケーションが取れる。親密さのようなものを強く感じられます。通じ合える馬に出会った時には、人間からは得られないような心の充足感や繋がりが感じられて、涙が出そうなくらい嬉しいし、満たされます。
高速でストロボと同調する
動物を撮るのに適したカメラ
――今回は「α9 III」で撮影していただいたわけですが、使ってみていかがでしたか? 遠藤:すごく撮りやすくて、動物を撮るのに本当に適していると思いました。高速でストロボとシンクロできて、日中撮っていると見えないくらい速いんですよ。これまで使ってきたカメラで日中シンクロをすると必要以上に光が強くなってしまい、被写体を驚かせてしまうようで、気持ちの部分でも撮ることが憚られることがあったんですけれど、「α9 III」は発光に気づかないくらい速いからすごく撮りやすかったです。撮影した動物たちも光を気にしていないようでした。 オートで撮影する際の精度の高さにも驚きました。これまでの作品は全てマニュアルで撮っているんです。感度も、絞りも、シャッタースピードも、ストロボの強さも、ピントも全てマニュアルで、ファインダーを覗いて設定を合わせないと撮れなかったから、どうしても遅くなることがあって。ある意味それはカメラとの一体感や没入感に繋がっているとも思うので良かったけれど、「α9 III」ではそのままシャッターを押しても綺麗にピタッと合いました。
――これまでとは違う感覚で撮れたという感じですか? 遠藤:今まで使っていたカメラじゃないとあの感じは出ないと思っていたけれど、ストロボの感じもピント合わせのスピード感も全部がすごくしっくり来ました。 それと、私は普段カメラ持ち歩かないんですね。重いから。でも、「α9 III」は軽いから、山だったり友達の家だったり遠出する時にどこにでも気軽に持って行けたからよかったです。
――遠藤さんはこれまでプリントの形で作品を見せてこられたと思います。今回の「Creative Gallery on BRAVIA」はオンラインの写真展なのですが、写真をデジタルで見せることについてどう思われますか? 遠藤:デジタルで写真を撮った場合に一番綺麗な状態ってデジタルだと思うんです。デジタルで見えている色をプリントで再現するのはすごく苦労するところだから、デジタルで見ていただくほうが作家としては不安がないというか。デジタルの状態でこそ一番綺麗に見ていただけると思います。
「Creative Gallery on BRAVIA」では、この記事で紹介された作品をはじめ本作品展をソニーのGoogle TV ブラビアでご覧いただけます。閲覧無料、クリエイターの趣向をこらした表現や、想いも含めて、ご体感ください。
ご自宅のブラビアおよび、東京・札幌・名古屋・大阪・福岡の全国5カ所にあるソニーストア店内のブラビアでも作品をご覧いただけます。
【オンラインギャラリー概要】
■タイトル:遠藤文香「Luminescence Land -発光地帯−」
■期間:2024年10月24日(木)15時 〜 2024年12月12日(水)15時
■閲覧料:無料
■閲覧方法 :Google TV™ 機能搭載のテレビ ブラビアをネットワークに接続し、 リモコンの「ホーム」ボタンからお入りください。
閲覧手順
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