自然な表情を素早く引き出し、
見たままを美しく記録する
〜α7 II×SEL2470Zで撮る
ポートレート〜
フォトグラファー 西尾 豪氏
フォトグラファー 西尾 豪氏
ソニープロカメラマンセミナーの講師も務めるフォトグラファーの西尾豪氏。専門分野のポートレートでα7 IIとSEL2470Zの組み合わせは優秀だと語る。どのような使い方がポートレート撮影で効果を発揮するのか、カメラとレンズの性能を踏まえてお話を伺った。
西尾 豪 1978年、奈良県天理市生まれ。サラリーマン生活を経て、写真家・鯨井康雄氏のアシスタントとなる。'04年に独立し、株式会社2405を設立。広告撮影等を中心に肖像写真も手がける。また、カメラ雑誌などでの執筆や、ソニープロカメラマンセミナー講師も務める。撮影では、その人「らしさ」を追求し、セミナーでは、「難しい事をより簡単に伝える」を心がけている。
――ポートレート撮影では、カメラのどのような機能が重要になりますか? 僕は人物を撮影する時、ファインダーではなく、ライブビューで撮ることをお勧めしています。相手が緊張せずにサッと撮れますし、意識せずにいい表情が早く撮れるんです。とくに小さい子どもは、カメラで顔が隠れるだけで泣いてしまうこともあります。でもライブビューで撮れば、相手の自然な表情がサッと撮れますし、その人らしい表情が早く撮れると思います。 α7 IIはミラーレスなのでライブビュー撮影でもファインダー撮影同様にAFが速く、ファインダー撮影と同じ感覚で撮れるのが魅力です。普通のデジタル一眼レフだと、構造上ライブビューのAFが遅いので相当ストレスがありますが、α7 IIは快適。AFの速さも他のミラーレス上位機種と比べても、トップクラスです。 しかも、(ファインダー撮影、ライブビュー撮影問わず)シャッターを切る前にボケ味や明るさ、色味まで仕上がりをしっかり確認できます。見たままの状態を写真に残せて、ボケ味などの写真表現もしっかり事前に確認できる。そういう部分もα7 IIの魅力ですね。
さらに小型軽量なので、ライブビュー撮影でも取り回しが楽ですし、5軸ボディ内手ブレ補正があるので手ブレの心配もありません。それでフルサイズの表現力豊かなポートレートが撮れるので本当に気に入っています。
――西尾さんがおすすめする、ライブビュー撮影のテクニックはありますか?
ファインダーを覗いているとまわりが見えないので、動きながら撮るのは危ないし大変ですが、ライブビューなら屋外で動きながらの撮影も可能です。例えば、上の写真は、モデルさんの動きに合わせて、僕も歩きながら撮影しました。僕はモデルさんの前を歩いて、バックしながらライブビューで撮っているんです。動画を撮るみたいに。そうすると自然な表情を撮れるんですよ。「ここで止まってください」と言って撮ると表情が固くなるんですけど、相手に意識させずに撮ることで、表情もやわらかくなります。 入園式の朝、子どもがママと歩いているところをこんな感じで撮るのもいいですね。しっかりと記念写真を撮ることも大切ですが、ドラマチックなシーンを自然な表情で撮るのもおすすめです。
――被写体が人物の場合、どのようなレンズがおすすめですか? ポートレート撮影でのレンズは、中望遠の単焦点が王道というイメージがあります。しかし、中望遠レンズのみで撮影すると、焦点距離が長いので撮影できるシーンや、表現方法が限定されます。一方で、SEL2470Zなら広角から中望遠まで備えており汎用性が高く、表現の幅が広がります。また、このレンズは、標準域から、中望遠にかけて、やわらかなボケ描写にも優れています。皆さんが思っている以上にポートレート撮影に向いているんです。
――やはりポートレートを撮る場合は、望遠側で撮るのでしょうか。 そうですね。僕がSEL2470Zを使ってポートレートを撮る時は、ほとんどが50mmから70mmの間です。実は、焦点距離に幅があることも人物撮影では大事なこと。最初から望遠で撮ると、被写体となる人物から離れたところで撮り始めなければなりませんよね。でも、それではコミュニケーションがとれず、なかなかいい表情が引き出せない。だから、まずは50mmのいい距離感でライブビュー撮影をしつつ、会話をして緊張を解き、仲良くなってから70mmで撮影します。こういう撮影法は、ズームレンズだと手早く簡単にできます。いい表情を早く撮るためにも、ズームレンズは有効というわけです。
――西尾さんの作品は、地明かりだけで撮っているというのは本当ですか? 今回紹介している作品も、セミナーで紹介する作例もストロボやレフ板は使わず、すべて地明かりだけで撮っています。屋外の光と照明の光だけで撮っているのですが、レフ板を当てなくても、α7 IIとSEL2470Zの組み合わせなら明暗のバランスのいい作品が撮れます。
例えば上の写真。後ろの窓から差し込んでいる光が強いと、コントラストが下がり、全体が白くかすんで見えてしまうことも多いんです。でもα7 IIとSEL2470Zで撮ると、白っぽくならずに、明暗のコントラストをしっかり残してくれます。これって他のカメラやレンズでは、まずあり得ないんですよ! この写真はISOを3200まで上げて撮っていますが、感度を上げてもダイナミックレンジがある程度維持されている。後ろが明る過ぎて、こんなに明暗差があるにも関わらず明部、暗部をしっかり残してここまでダイナミックレンジが広くちゃんと撮れるのも、α7 IIとSEL2470Zの組み合わせならではです。
ウエディングをはじめ、屋内では外から強い光が差し込むことも多くあります。そんな難しい状況でも簡単に思い通りの作品が撮れるのは、本当にすごいことです。
――作品を見ると、色がとても自然な印象ですが、発色についてどのような感想をお持ちですか? 見たままの色がそのままイメージ通りに仕上がる、という印象ですね。とくに緑は自然な発色で、とても気に入っています。実は青や緑などの原色系は、デジタルカメラでは一番出しづらい色なんです。レンズによっては緑が浅くしか出ないものもありますし、カメラによっては絵の具で塗ったような不自然で派手な色に出てしまう場合もあります。でもα7 IIとSEL2470Zで撮ると、本当に素直でニュートラルな色に仕上がるんです。 さらに、草の茂みが背景にあると、いろいろな葉っぱが混ざり合っていてボケが汚くなったりするんですけど、ボケも素直で、キレイに表現してくれるんです。だから、背景にごちゃごちゃした緑の植物があっても安心して撮影できます。
――西尾さんの作品を見ると、けっこう難しい撮影をしているように思いますが、カメラの設定など、ポートレートならではのテクニックはありますか? いろいろな光源が混ざっている明暗差のあるシーンは撮るのが難しい、と誰もが思いますよね。でも、α7 IIとSEL2470Zの組み合わせなら、キレイに撮ることができるんです。上の写真も逆光の中で撮りました。この状態で普通のカメラとレンズで撮ると、もっとレンズに光が入り込んでフレアで画面全体が白っぽくなってしまうことも多いのですが、ここまで耐えていて、しかもピント面はまつ毛までしっかり解像しているのに驚きます。 セミナーなどで一般の方にこの写真を見せると、みんな「こんな写真は撮れない」と思ってしまうんです。「レフ板も使わずα7 IIとSEL2470Zだけで撮ってるんですよ」と話すと更に驚かれます。でも、難しい撮り方をしなくても、カメラとレンズの性能が高いので、納得の写真が撮れるのです。
――室内のシーンは、たしかに難しいイメージがありますよね。一般の方の場合、どういったシチュエーションがありますか? お遊戯会など、幼稚園や小学校の参観イベントは屋内の比較的暗い場所で行われることが多いんです。でも、ストロボは禁止の場合もありますし、仮にストロボが使えたとしても光が届きませんよね。そんな時は、高感度で撮影することになります。α7 IIのフルサイズセンサーは、高感度でも画像の荒れが少ないです。さらにα7 IIの場合、低速シャッターでも5軸ボディ内手ブレ補正がありますから、ブレにくく、雰囲気のある写真を撮ることができます。
また、外からの光や、照明に使われている蛍光灯や電球で、光源がミックスになることもよくあります。このようなシーンでもα7 IIならオートホワイトバランスで殆ど大丈夫です。
――カメラやレンズのサイズについては、どのようにお考えですか? とにかく、カメラを持って出ることが大切なので、サイズや軽さも重要だと考えています。今はスマホもありますから、大半の人はカメラを持って出るのが億劫になってしまうと思います。その億劫さを払拭するのが、α7 IIとSEL2470Zの組み合わせです。僕はα7 IIにSEL2470Zを付けたまま、布などに巻いて普通のバッグに入れています。カメラバッグは必要ないんです。それだけ小さくて軽い。これならすぐに取り出して撮影できるし、撮影すれば背景はボケるし、しっかり写るし、色もキレイで高感度も強い。スマホとはカメラの性能が格段に違うんです。さらに、カメラとレンズのバランスもいい。機能的に優れているカメラを気軽に持ち歩けるという点では、α7 IIとSEL2470Zの組み合わせに勝るものはありません。 大きい重たいカメラだからよく写る時代は終わりました。α7 IIとSEL2470Zは、小型軽量なのに本当によく写るカメラです。スマホやコンデジはもちろん、他の一眼カメラを使っていた方も、その仕上がりの美しさには衝撃を受けるはずです。
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