商品情報・ストアデジタル一眼カメラ α α Universe

PRONEWS編集長猪川 トム氏

頭の中に思い描いた映像が
簡単に撮れる。
α7S IIIは現代クリエイターが待ち望んでいたカメラです

Tom Inokawa × α7S III

ミラーレス一眼カメラの登場により開拓された「デジタル一眼カメラでの動画撮影」という新たな世界。その中でも機動性と圧倒的な高感度性能で映像クリエイターを魅了し、最前線で牽引してきたのがα7S IIだ。その後継機、α7S IIIが満を持して登場。およそ5年の歳月を経て世に送り出されただけに、発売を心待ちにしていたユーザーも少なくないはず。果たして、どのような改良が加えられたのか、また、新たな機能は搭載されているのか。プロ向けにデジタル映像関連のレビューを数多く掲載しているWebマガジン「PRONEWS」編集長の猪川トムさんに、α7S IIIの印象をじっくり語ってもらった。

PROFILE

猪川 トム/PRONEWS編集長 「映像の今がわかる。未来もわかる」をコンセプトに展開するプロフェッショナル向けデジタル映像制作専門Webマガジン「PRONEWS」編集長。映像制作に携わる幅広いユーザーから多くの支持を集める業界誌。

今の映像クリエイターはワンオペスタイルが主流。
だからこそデジタル一眼カメラが選ばれる

今のクリエイターは、一般的にどのようなスタイルで撮影し、どのような表現を求めているのですか?

余裕のある予算案件が少なくなっている時代ですから、当然チームで映像制作するスタイルよりも1人ですべての作業を行うワンオペスタイルが多くなっていますね。そうなると機材に求めるのは「小さくてデキる子」となります。映像表現は、ここ数年でも大きく変化しています。映画のようなシネマルックを求められることも多く、今の潮流ともいえます。自ら編集し、撮影後に色味を変えたり、グレーディングなど自分らしい作品に仕上げることも当然のようになりました。
それらがすべて実現可能で、個人でも所有可能なカメラは?とこれを満たす物が選択されるわけです。 全てを一人で行うワンオペスタイルにおいては、デジタル一眼カメラが最適な機材だといえます。業務用カメラにはない機動力で、思い通りの映像を手に入れることができるのが最大の魅力と言えます。実際、α7S IIが登場後はプロの世界でもデジタル一眼カメラでの動画撮影がスタンダードになりました。海外では劇場映画でも何本かαで撮影した作品があるくらいです。映画撮影用カメラは買うものではなくレンタルするものでした。それが、デジタル一眼カメラなら手が届く。そういう意味でもミラーレスで小型、かつ高感度性能を持つα7S IIは動画業界に旋風を巻き起こしたカメラと言えます。

ワンオペスタイルのクリエイターは、どのような仕事をしている人が多いのでしょうか?

ニーズは増えていますから、ミュージックビデオ、企業VPやWeb用CMなど様々だと思います。また自らの作品をYouTubeなどで配信することもできますから、本当に多くのアウトプットがあると思います。 映画制作においては、伝えたい思いやコンセプトがあり、印象的なエピソードなどで物語を読み聞かせるよう伝えていく「ストーリーテリング」が重要で、それをベースに画作りを行います。 一方Vlogなどを手がける若いクリエイターの中にはストーリーではなく、印象重視を狙った動画制作も増えています。仕上がりはシネマルックな動画を撮りたい、という人が多いのも印象的です。旧来にない方法で撮影編集し公開する動画に注目されているのも事実です。 このように映像文化は多様でありますが、彼らの目指した映像(動画も含め)を簡単に実現できる機材は、デジタル一眼カメラが非常に有用です。

シネマルックに見せる性能を持ち合わせ、
機動性と表現力の両立を実現

シネマルックな表現を実現するために、時代はカメラにどのような性能を求めていますか?

シネマルックとは、個人的な見解ですが簡単に言うと「エモい」、人の琴線に触れる「カッコいい」映像スタイルだと思っています。時代は、スペックや解像度がすべてではなく、心情に訴えかける解像感を表現可能なカメラを求めています。本来、映像表現は、熟考して作り込むものですが、ファインダーを覗くだけで仕上がり感が見えてくるαなら一足飛びに思い通りの映像表現が手に入れられるようになったわけです。 これまでカメラの設定や撮りかたに時間を費やしていましたが、優れたAF性能などを含めた抜群の機動力があるデジタル一眼カメラなら、設定に神経を使わずとも「いい画」を撮ることができます。最近のモデルは手ブレ補正が強化されているので、手ブレを防ぐための大げさな機材を使わずに済むシーンもあるでしょう。 結果的に、カメラの調整や撮影にかける時間は最適化され、どういうストーリーで画を撮るのか?どのような演出にしようかなどクリエイティブに多くの時間を割く事ができます。そう考えると、機動力の高さは自由な表現を加速させる重要なポイントのように思います。

「こうしてほしい」をすべて実現し、
ユーザーの立場でブラッシュアップしたα7S III

α7S IIIはワンオペスタイルのクリエイターが求めている性能に応えられているでしょうか?

α7S IIの発売から5年も経っていますからね。α7S IIIの発売を心待ちにしていた映像クリエイターは多いと思いますし、みなさんそれなりの期待感を持っていると思います。 α7S IIIのスペックを見ると、α7S IIで感じていたユーザーの不満をすべて回収して「こうしてほしかった」部分がすべて実現されていて、かなり満足度の高い仕上がりですね。
オーバーヒートの問題も解消され、デュアルスロットで撮影容量が倍増、4K120pにも対応、4:2:2 10bitで、かつ16bit RAW外部出力も可能で、改善を期待されていたバッテリーについても大容量のZバッテリーに変わり、動画の連続撮影可能時間の制限もなくなりました。α7S IIを使うプロフェッショナルからのフィードバックをしっかり受け止めて、このモデルで具現化し“現場で安心して使えるカメラ”として形にしてきたのはソニーの強い意志が感じられます。 画像処理エンジンやイメージセンサーもまったく新しいものが搭載され、スピード感などあらゆる面での改良が反映されていますね。サイズはα7S IIよりも多少大きくなっていますが、グリップ感や持った時の心地よさや落下防止の安心感はα7S IIIに軍配が上がりますね。

RAW出力、フルサイズ領域での画素加算のない全画素読み出しによる4K60pは、映像クリエイターにとっては必要な不可欠な要素です。そこをすべて網羅し、4K120pで収録できるα7S IIIはワンオペスタイルのクリエイターのニーズにも十分に応えるカメラに仕上がっていると思います。今は映像作品のアウトプット先がWeb中心なので、クリエイターにとって使い勝手がいいのは4Kです。解像度をアップさせるより4Kにこだわったところにも、ソニーの心意気を感じます。 メーカーとしてスペックを上げていくことは、至上命題だと思いますが、私はそこに意義を感じません。人間の眼が捉える解像度には限界があります。また自分が心地良く思う映像の閾値(しきいち)があると思いますので、心地よい映像を撮りたいと思うのです。例えば、私の場合はフィルム映画を見慣れているので、フィルム24コマの映像が心地よいです。 高解像度のきれいな映像だからこそ「素晴らしい」と思う場合もあれば、スマートフォンで撮った映像が心に響くことも少なくありません。 そう考えると「心地よい」と感じる解像感を実現できるα7S IIIは、クリエイターにとっては非常に満足度の高い一台と言えます。

ソニーのレンズラインアップに関しては、どのような印象をお持ちですか?

全57本と豊富で、自分好みの画に合わせレンズが選択可能であることは、大きな魅力です。映像業界に関わる方は、総じてこだわりが強いですので、それぞれに好みの画があるものです。頭の中に思い描いた画に近いものが撮れるのは、これだけのラインアップがあってこそでしょう。 純正レンズはボディとのマッチングが良く、それぞれの良さを最大限に引き出せるのもいいところです。シネマレンズでは当たり前のフォーカス時の画角変動(ブリージング)、フォーカスブリージングも抑えることができますし、ズーム時のフォーカスシフトもなく、軸ズレも最小化されている。ソニーはEマウントをつくった当初から将来を見据えて、静止画だけでなく動画撮影でもしっかり使える光学設計が施されているのが強みですね。そう言う意味でも純正レンズは信頼性が高く、クリエイターにとっても安心感のあるシステムだと思います。

αからプロ機材まで幅広く揃う映像制作機材。
ワンマウントのシステムもソニーの強み

映像業界から見て、ソニーはどのような印象ですか?

放送用カメラを皮切りに、VENICE、FXシリーズなどの業務用シネマカメラ、そしてデジタルミラーレス一眼カメラのαまで、幅広い機材を取り揃えていますよね。しかもレンズを共有できるワンマウントという考え方も素晴らしいシステムだと思います。デジタル一眼カメラから業務用の映像制作機材まで親和性があるので、併用しても編集作業がとてもやりやすい。S-Log3では業務用のプロカムに合わせたカラーサイエンスが採用されている点など、まさに「共通言語がある」という感じです。 使う言葉も写真と動画では微妙に違い、方言みたいなものがありますからね。そうなると、各専門分野の人たちを束ねる時には橋渡し役の通訳が必要になりますが、ソニーは通訳の必要がありません。ストレスなく広範囲を見渡すことができるのはありがたいことです。
ワンオペスタイルのクリエイターにとっても利点です。例えば将来、「もっといい機材がほしい」と思った時もシームレスに移行できます。これだけ映像制作機材のラインアップが揃っているのは、引き出しが多いということになります。どの引き出しを開けても作法やルールはすべてEマウントです。つまりソニーの文化に則っているので、その機材について勉強する手間がかかりません。余計な時間を費やすことなく、映像制作取り組むことができると思います。

このほか、α7S IIIの発売を機にCFexpress Type Aに対応したハイスピードメディアやそのリーダーが発売され、さらにデジタル収録ができるマイクも用意されています。こういったカメラアクセサリーなどの充実ぶりにも、ソニーの総合力を感じます。

ワンオペスタイルのクリエイターがカメラ本体、レンズなど映像撮影に必要な機材をすべて揃えても予算的に手が届く。それが今の時代を象徴しています。以前はその世界に入れないと触れることができない映像機材が簡単に手に入るわけですからね。作品公開する場所もWebがメインというクリエイターが増えています。α7S IIIでシネマカメラに近い映像が制作できるとなれば、今後自分の作品を世界に発信するという流れはさらに加速します。若き映像クリエイターのみなさんは、この環境を活かして作品をアウトプットして欲しいと思います。私はその才能を見つけ出し「PRONEWS」にも楽しい記事として紹介していきたいと思います。

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