最先端の現場+α Vol.1
「企画を制限することの
ないカメラ“α7S”」
加藤マニ:年間約50本のMVを量産する
撮影の秘訣とは
加藤マニ:年間約50本のMVを量産する
撮影の秘訣とは
加藤マニ監督は年間50本のペースで新作ミュージックビデオ(以下MV)を作っている。企画・撮影・演出・編集をほぼ1人でまかなうのが加藤マニのスタイル。2015年に行なったあるMVの現場でソニーα7Sの世界観に魅せられ、以後、このカメラで48本(2016年6月時点)のMVを手掛けている。 今回紹介する3本の新作ではそれぞれ全編ハイスピード(以下HS)撮影、全編グリーンバック合成、全編夜の渋谷で撮影というムービー撮影としてはかなり難しい設定に挑戦。α7Sはこれにどう応え、加藤マニ監督はどう感じたのだろうか。
―Czecho No Republic「Blue Holiday」は全編HSで撮っています。 日本コロムビア Czecho No Republic「Blue Holiday」
加藤 α7Sを使うようになってから一度はやってみようと考えていました。HSは実際の世界の見え方とは異なり、エモーショナルな映像になるので、意味を考えてみたくなるような絵になることを狙って、このMVで取り入れました。横須賀の猿島での撮影でしたが、全編手持ちで撮っています。
―全編HSだとストーリーを作るのが難しいんじゃないですか。 加藤 120Pだと5秒の素材が、24Pにすると25秒になるので、1カットの中の動きが極端に少なくなるのが難しかったです。ただ振り向くだけの動きでもじっくり見せる尺が必要になるというか。わたし自身もどうなっているのかわからない部分もあったので、通常よりも長めに撮っています。HSにしても手ぶれがほとんどなく、臨場感のある絵づくりができました。
―CUBERS「STAND BY YOU」では全編グリーンバックに挑戦しています。
加藤 α7Sによる全編グリーンバックもこの時が初めてです。最初にグリーンバックで人物を撮り、オフライン編集した映像を見ながら背景を撮っていきました。ノイズが載りやすいカメラだとグリーンが抜きにくいんですが、α7Sは綺麗に抜けます。
グリーンバックの時はカット前後の構図がかぶらないように意識しています。バストショットを続けないとか、下手イン、上手アウトしたあとは正面からとか、人物の動きに変化をつけています。そうすることで人物の動きがいきいきしてきます。
グリーンバック合成は肌のグリーンかぶりが気になることが多いのですが、α7Sはグリーンの抜けもよく、トーンが作りやすいので、これからもっとグリーンバックを使った演出を試してみたいと考えています。
Bermuda Entertainment Japan CUBERS「STAND BY YOU」 制作=manifilms 監督+撮影=加藤マニ プロデューサー=堀切裕真 プロダクションマネージャー=中野亮 スチル=牛島康介(MAVERICKWORKS) ヘアメイク=YUKA(Rim)
―LOVERPHENIX「Four Seasons」は夜の渋谷で撮影しています。
加藤 19時から22時。人気のないところに移動してだんだん暗くなっているんですけど、撮った映像を見て「暗いな」とストレスを感じたことがないので、光に気を付けようとか補助光を入れようなど、光を意識しなくなりましたね。肉眼で見ているよりも明るく撮れています。暗くなったらISO感度を上げて撮れば充分対応できるので、実際にやってみて夜の町ならば場所を選ばないなと感じました。カメラを構えたまま後ろ歩きで撮ったので怪しい人に見えていたと思いますけど(笑)。α7Sは企画を制限せず、いろんな要求に応えてくれるカメラです。
個人的にはXVAC 50Mbsとピクチャープロファイル7で撮影したあとのグレーディングを研究してみたいです。軽快な使い方には満足していますが、今後は重厚な絵づくりも覚えたいと思っています。
加藤マニ 1985年8月14日生まれ。「マニ」とは高校時代からのあだ名。今までに制作したほぼすべてのMVは下記HPで閲覧可能だ。 http://www.manifilms.net
玄光社 「コマーシャル・フォト」2016年8月号より転載。
http://www.genkosha.co.jp/cp/
コマーシャル・フォト Shuffle
http://shuffle.genkosha.com/
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