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レンズを通して見る
ウェディングムービーの世界
〜SEL55F18Z、SEL50F14Z〜

α Universe editorial team

結婚式というライフイベントを迎えた新郎新婦、そして家族や親しい友人たちの心情を、レンズを通してどう捉えるのか。ウェディングムービー制作の第一線で活躍する前田比都美氏にFEレンズの魅力について伺った。

純白のドレスに包まれ輝くような笑顔を見せる新婦。その様子に照れたようにはにかむ新郎。目を細めて穏やかにわが子を見つめる両親。結婚式の流れだけでなく、新郎新婦や参列者が見せる心情の変化を、ていねいに拾い集めて、映像にする。
ウェディングムービー制作の第一線で活躍する前田氏は、何を大切にしているのか。それを実現するレンズへの想いとは。まずは、前田氏の作品をご覧ください。

映像提供:株式会社オンス

映像提供:株式会社オンス

前田比都美/シネマトグラファー
1984年生まれ。株式会社オンス所属。ウェディングムービーのほか、ファッション誌のハウトゥー動画や企業PVなど幅広い分野の映像を制作。
2014年、女性ブライダルカメラマンの交流や技術向上を目的とした「ARONA」を発足し、女性対象のワークショップやセミナーを主宰している。

温かみのある映像はすでにありふれていた。
だからこそ、違うところで勝負したかった。

――どのような経緯でウェディングムービーを撮るようになったのですか? 元々は、大学を卒業してからテレビ番組のADをやっていたんです。3年経って辞めたあとに、結婚式のエンドロールを撮影するアルバイトを始めました。その頃、業界では一眼カメラで撮ったムービーが話題になっていたのですが、その会社は取り入れる動きがなくて。そんなときに、一眼ムービーを取り入れていた今の会社(株式会社オンス)に出合いました。カットの切り取りかたや感情の表現方法がビデオカメラの撮り方とは全く違っていて、その映像に魅了されて私もやってみたいと思ったのがきっかけです。

――機材はどうされていたんですか? しばらくは会社が持っていたカメラやレンズで撮っていました。でもやっぱり自分の機材が欲しいなと思って。当時既に流行っていたカメラがあったんですが、その機材で撮影された映像はたくさん観てきたのでせっかく買うなら違うカメラがほしいと思い探していました。
そんな時に、フルサイズセンサーで、しかもとても小型なα7Sが発売されて「このカメラを使ってみたい!」と思い、ソニーのレンズと合わせて購入しました。

会場によってレンズは変える。この日のレンズはSEL90M28G、SEL50F14Z、SEL1018の3本。
一脚や電子スタビライザー、ガンマイクも活用する。

レンズは“軽くて小さいが正義”。存在を感じさせず、 その場の情景を自然に切り取れるのがSEL55F18Z。

――ウェディングだからこそ使いやすいレンズってあるんですか? そのときの空気感を大切にしたいので、「SEL55F18Z」のような小さくて軽いレンズは重宝します。バズーカみたいな大きなレンズを持って近づくと存在感がありすぎて、みんなが委縮してしまったりその場の空気を一気に固くしてしまったりするんです。
「SEL55F18Z」は小さくて軽いのでα7Sやα7S IIと組み合わせると、見た目もとてもコンパクトで威圧感が無いんです。 新郎新婦のお支度中や、家族や参列者の輪の中に入って撮影するときは、この組み合わせで自然な空気感やその一瞬しかない表情を丁寧に残そうと心がけて撮影しています。
その一瞬を撮り逃したら、もう一回っていうわけにはいかないですし、絶対に同じ表情ってないので。それでもカメラを意識される方がいらっしゃったら「私はいないものと思ってくださいね?」って言いながらふわふわ10分くらい撮影していると段々慣れてくれます(笑)。 あとは、絶対ではないですがウェディングムービーって、だいたいカメラは2台持ちのことが多いんです。1台は手持ちや一脚用で、もう1台はスタビライザーにくっつけて、ダイナミックな画を撮ったりします。女性のカメラマンは特にそうかなと思うんですが、2台体制の撮影はなかなか大変で。男性に比べて筋力もそんなにないので大きなカメラに70-200mmの望遠レンズをつけて丸一日動き回るのは、体力的にかなり厳しいんですよね。そういった環境が多い現場において、カメラとレンズの組み合わせがコンパクトで、機動性が生かせるαシステムはとても大事で、女性のカメラマンにも優しいんです。

新郎新婦が大切にしているものを
ちゃんと撮ってあげたい。

――ウェディングムービーのトレンドはどうなっていますか? これまでのウェディングムービーは、何が起こっていたのかを記録する映像でした。ところが、10年ほど前に海外の映像チームである「stillmotion」がウェディングムービーでエミー賞を取ったのをきっかけに日本でも「記録に残す映像」から「記憶に残るシーンを集めた映像」に流れが変わり始めました。そこにいる人をただ記録し、イベントを順番通りに追う撮影方法から、新郎新婦や参列者の気持ちがこもった言葉や表情をフィーチャーしてそれらをベースに映像を組み立てていくという手法が日本でも多く取り入れられるようになりました。私も結婚式を撮影するときは、新郎新婦が何を大事にしているか、その気持ちはどこに表れ誰に届いているのかなど、2人のその時の想いが映像に残せるように意識して撮影しています。例えば、こちらの新郎新婦が丘に立っているシーン。

広角でありながら、画面の端まで歪みもなく綺麗に表現できた(作品2:27より/α7S II+Planar T* FE 50mm F1.4 ZA)

この2人はこれから、この街で生活をしていくんです。それをワンシーンで表現したくて、風景を綺麗にボケさせながらも、2人がくっきり浮き立っている画を撮りました。他にも、新婦さんが一生懸命選んだドレス、お母様が手づくりしたリングピロー。乾杯するシーンは、ワーッて乾杯する人たちで埋め尽くされている画。ファーストバイトのシーンは、食べさせ合っているところよりも、みんなが笑顔で囲んでいる画。それらをちゃんと撮ってあげたいと思っています。これをしっかり表現してくれる「SEL50F14Z」は、今一番愛用しているレンズです。

SEL50F14Zを使って撮っているとテンションが上がる。 そういうときこそ納得できるものが撮れる。

今一番愛用しているレンズ「SEL50F14Z」は、本当に撮っていてテンションが上がるんですよ。綺麗すぎて私自身が楽しくなっちゃうような。レンズを通して見ると、見せたいところがくっきり際立って、その周りが綺麗にボケるので立体感がすごく出るんです。だから新婦さんが悩んで選びぬいたアクセサリーやドレス、一生懸命手作りしたアイテムなどはそれ単体で撮影してもとても印象的に撮影することができます。新婦さん自身の髪や肌の質感もとても綺麗に映るのでファインダーをのぞいた時に驚くことが多々あります。キレがいい分、ピント拡大しなくてもピントが合っているかどうかわかる、そして機動力も抜群なので、思いのままに撮影できる感じがとても気に入っています。

ドレスが風で揺れ、1秒ごとに違う表情を見せるレースの質感が美しい。(作品0:07より/α7S II+Planar T* FE 50mm F1.4 ZA)

もしかしたら、鮮明に映りすぎて嫌だと言われてしまうかもしれません(笑)。でも、新郎新婦が大切にしているものを撮ってあげたいし、その人の綺麗さをちゃんと映しだしたい。結婚式当日にあった本当のことを残したいと思う方なら、きっと喜んでくれると思います。

――他に「SEL50F14Z」を使っていてテンションが上がることはありますか? あとは、操作性がいいこともテンションが上がる理由の一つかもしれません。レンズ本体に絞りリングがあるのが、ビデオグラファーからすると、とても使いやすいんです。基本的にはF2.2〜F2.8くらいで撮りたいと思っていて、静物を撮るとき、例えばブーケなどを撮るときは物が動くわけではないので、できるだけ開放に近いF値で撮っています。ただ、挙式の入場などは人が歩いて来るので、そういうときはF2.8から絞るときはF4くらいまで絞ります。そういう操作も絞りリングですぐ対応できるので、自分が納得できる画が撮れますね。

実際の撮影の様子。欲しいところにピントが合っていることがわかるのが大切なのだそう。

――前田さんがレンズに求めることは何ですか? 感覚的な言葉になってしまうのですが、やっぱり撮っていてテンションが上がることです。綺麗過ぎて撮るのが楽しくなってしまうようなレンズがいいですね。それが、今は「SEL50F14Z」。フレアも抑えられていて、レンズを通して撮りたいもの、納得できるものが撮れるレンズだと思っています。そして、今まで撮れなかった画が撮れないだろうか、という観点でもこのレンズを使いこなしていきたいですね。その結果、表現の幅が広がって、ゆくゆくは人とは違った作風が生まれてくるきっかけになるのでは……と思うので。
過去に、すごく独特な質感でいい画が撮れるのに、フレアが邪魔してもったいないなと思いながら使っていたレンズがあったんです。撮っていてストレスがあると、そっちに気が取れられちゃってだめですね……。

――さらに、これから挑戦してみたいことは? 最近、ズームレンズを使っていなかったので、「SEL2470GM」を使ったらどんな撮り方になるのかなって、たまに考えます。単焦点レンズみたいに、あれだけ綺麗な画がズームレンズで撮れてしまうっていうことを考えると、もっと自由な撮影ができるのかなと。単焦点レンズは綺麗に撮れる分、撮りたいものに近づいたり、画角を決めるのに足で稼いだりする時間が必要になります。その時間がなくなる分、何が撮れるのか試してみたいです。

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