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meet to α99 II アサヒカメラ佐々木広人 編集長が
開発責任者を直撃
ソニー α99 IIのルーツと
フラッグシップ機としての
使命とは?

α Universe editorial team

アサヒカメラ2016年12月号掲載誌面を再構成

2012年10月に登場したα99から4年。待ち望まれていたα99 IIが2016年11月にソニーから発売された。 沈黙を守り続けていた伝説のAマウントモデルはどのように進化し、新たなステージを迎えるのか。ソニー イメージング・プロダクツ&ソリューションセクターデジタルイメージング本部のILCビジネスユニット長・田中健二氏と商品企画部統括課長・岩附豊氏にアサヒカメラ佐々木広人 編集長が聞いた(以下、文中敬称略)。

ソニー イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター デジタルイメージング本部 商品企画部統括課長・岩附豊氏(レンズ交換式カメラの商品企画を統括)

Aマウントユーザーに向け
4年かけて技術進化を凝縮

佐々木広人編集長 各社の商品サイクルが短くなる傾向のなかで、満を持しての4年ですね。

田中健二ILCビジネスユニット長  長いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はα 99の発売から4年というタイミングは計画どおりなのです。最初から4年間を見越して、その間に得られたすべての技術を凝縮したモデルを出そうと考えていました。フラッグシップモデルにおける4年は決して長いわけではなく、ありとあらゆる進化に対応するために必要な時間と考えています。

佐々木 ユーザー視点からは、やはり待望の新製品という感があります。どんな方に使ってほしいとお考えですか。

田中 現在Aマウントのレンズを保有している方のために作り上げたモデルです。開発当初から揺らぐことのないコンセプトとして各担当者が共有し、積み重ねてきたうえでの商品化です。

佐々木 手にしてみて、実に練られたモデルだという印象を受けました。実際にAマウントユーザーの意向も反映されているのでしょうか。

田中 ユーザーの声は大きな原動力になりました。グリップやシャッターの感覚についても、実際にユーザーに手にしていただきながら、さまざまな試行を繰り返しました。今のAマウントユーザーにとって、どのようなグリップがよいのか、どんなシャッターフィーリングがふさわしいのかを強く意識しながら作り込みを重ねました。

こだわりのハイアマチュアが
進化を実感できる多彩な機能

佐々木 Aマウントを使われている方は、特にこだわりのあるハイアマチュアだと認識しています。

田中 Aマウントはレンズに大きな特長があります。多種多様なレンズ資産をどう生かしていただけるボディーが作れるかが大きなポイントになりました。Aマウントのレンズならではの表現を生かすことに力を入れています。Aマウントのお客様が感じられる「これじゃなきゃいけない」という感覚を守りながら、新たな機能を盛り込みました。

佐々木 α99 IIの一番の進化を挙げるとしたらどこでしょうか。

岩附豊統括課長 やはりオートフォーカスです。Aマウントにはトランスルーセントミラー・テクノロジーという独自の技術があり、これを生かしてAマウントにしかできない、これまでになかった映像体験の実現を目指したいと開発当初から考えていました。新開発のハイブリッド位相差検出AFシステムは、Aマウントユーザーに存分に楽しんでいただけるものになったと考えています。

佐々木 トランスルーセントミラー・テクノロジーの進化によって、どんな瞬間が切り抜けるようになるのですか。

岩附 像面位相差AFセンサーも飛躍的に進化しておりますし、専用位相差AFセンサーにも強い部分があります。これを組み合わせると今までなかったような映像体験になるだろうと考えました。例えば、像面位相差AFセンサーは専用位相差AFセンサーに比べてカバーエリアを広くとれ、余すところなく被写体を捉えられます。組み合わせることによって追従性、つまりAFを最終的に決める際にはより豊かな情報があるほうが有利に働きます。これによりα99 IIは膨大な情報の中からAFを捉えることができています。

田中 もうひとつチャレンジしたのは有効約4240万画素の高解像度です。美しいボケを持つレンズ性能と42メガの解像度という、鋭くとがった二つの表現をユーザーがどう作品の中で仕上げていただけるか、大きな期待を抱きながら楽しみにしています。

充実した機能を搭載しながら
内部構造一新で小型化を実現

佐々木 手ブレ補正の技術も目をみはるものがあります。

岩附 高精細になると、ますます手ブレが目立ち、手ブレ補正の必要性が高まります。ボディー内の手ブレ補正は、APSCとフルサイズでは、動かしている面積、駆動力、物理的な重さなど、全然違うのです。それを2軸ではなく、5軸でやりたいというのがチャレンジでした。また、従来のユーザーが当社に期待することを伺うと、連写にもご要望を多くいただきました。そのためにフロントエンドLSIやシャッターユニットなどのデバイスを新規開発していますので、どうしても大きくなってしまいます。ところが、従来機よりも小さくしたいという目標がありました。IIというネーミングではありますが、内部は一新することで小型化を実現しています。

佐々木 動画機能も大きな進化といえるのではないでしょうか。

田中 一瞬を捉える静止画と被写体を追い続ける動画はまったく違う感覚だと思います。国内のユーザー層を考えると動画を楽しまれるお客様はまだ少ないと認識していますが、欧米では両方の表現を楽しまれるお客様が多いのが実情です。海外のマーケットを考え、Aマウントのレンズを使って動画を楽しみたいという世界中の方にお応えしたものです。

ソニー イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター デジタルイメ ージング本部 ILCビジネスユニット長・田中健二氏(レンズ交換式カメラ事業を統括)

厳しいフィードバックに応え
とがったものをどこまでも追求

佐々木 メモリーにXQDカードを採用する考えはありませんでしたか。

田中 メモリーカードを倉庫と仮定すると、XQDの倉庫内はとても早く作業をしてくれます。しかし、今の物流のボトルネックは倉庫内ではありません。倉庫に向かうトラックがたくさん待っている状態なのです。倉庫内を高速化しても外が混んでいるのでは意味を持ちません。現状ではSDカードが最適な仕様と考えています。8Kの時代が訪れたら変わるのかもしれません。

佐々木 ユーザーのリクエストもわがままになってきていますね。特にAマウントのユーザーはテコでも動かないガンコ者という印象です。

田中 当社でも、よい意味でこだわりの大きな方が多いのでは、と捉えています。厳しいフィードバックをいただき、それを次の商品に生かしています。

佐々木 ちょっとの改良では済まされませんね。これからもこうしたサイクルが続くのでしょうか。

田中 未来の話はなかなか申し上げられませんが、Aマウントユーザーが多数いらっしゃることをしっかり認識しており、今後も期待にお応えしたいと考えています。

佐々木 あまり早いと、かえって頑固なユーザーが納得しないかもしれませんね(笑)。

田中 これからもとがったものをどこまでも追求していきたいと思っています。

佐々木 本日はありがとうございました。

スピードと解像度を追求した
Aマウントフラッグシップ一眼「α99II」

❶新開発ハイブリッド位相差検出AFシステム:専用位相差AFセンサーと像面位相差AFセンサーが同時に駆動するハイブリッド位相差検出AFシステムを新開発。広範囲・高密度に配置された二つのAFセンサーを動作させ、Aマウント史上最速のAF約12コマ/秒の高速連写性能を実現。 ❷有効約4240万画素の圧倒的な高解像:35ミリフルサイズ裏面照射型の有効約4240万画素CMOSセンサーで集光効率が大幅に向上。高解像でありながら幅広い感度域。 ❸高解像性能を引き出す5軸ボディー内手ブレ補正:フルサイズ対応5軸手ブレ補正機構をAマウント用に新開発。高精度ジャイロセンサーが細かいブレを正確に検出し、最高4.5段の補正効果を実現。 ❹小型ボディーに優れた操作性と高い信頼性を凝縮:内部機構のレイアウトを全面的に見直し、α99比で体積比8%の小型化を実現。優れた操作性と高い信頼性を小型ボディーに凝縮。 ❺プロの要求に応える高解像4K動画機能:圧倒的な解像力を誇る4K動画画質を実現。さらにフルサイズ領域での4K動画記録にも対応。多彩な動画機能を搭載。

文/石川悦郎 撮影/古本麻由未 デザイン/弾デザイン事務所 企画・制作/アサヒカメラADセクション

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