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虹色に表情を変える、
美しい滋賀県を魅せるプロジェクト
撮影レポート〜2016年 秋〜

「虹色に表情を変える、まだ見たことのない滋賀」
をテーマに滋賀・びわ湖の魅力を映像で届ける
プロジェクト。秋の撮影の舞台裏を、
日本を代表するカメラマン 瀬野氏に伺いました。

α Universe editorial team

「虹色に表情を変える、美しい滋賀・びわ湖を魅せる」をテーマに、季節ごと、時間ごとに印象を変える、滋賀県・びわ湖の多彩な美しさを表現した映像を制作するプロジェクト。このプロジェクトの映像制作を手掛ける日本を代表するカメラマン 瀬野 敏氏に、撮影の裏側を語っていただく連載が始まります。今回は秋の撮影のエピソードを伺いました。

[カメラマン 瀬野敏(SATOSHI SENO)] 1951年京都府出身。
株式会社東北新社勤務後、SENOVISION設立。 1993年カンヌCMフェスティバルグランプリ受賞「日清食品 カップヌードル hungry?」その他、ACC賞、アジア広告祭グランプリ等、ムービーを中心に様々な賞を受賞。2015年琵琶湖の写真展「Café at the Lake」を開催している。

滋賀県だからこそ見ることができる
秋の色や空気感を表現したかった。

荘厳な雰囲気を持つ世界遺産の比叡山延暦寺の佇まいと、うつりゆく紅葉を撮影する様子。

――季節ごとにテーマがあるのですか? 季節ごとに特別なテーマは設けていません。ただし、四季を通じて、滋賀県が魅せる豊かな表情を撮影していきたいと思っています。季節を通した取り決めとして「朝から次の朝までのある1日」という時間軸で表現しています。今回は、湖と山々という自然に恵まれた滋賀県だからこそ見ることができる「秋」を、色や空気感を含めて見せたいと考えていました。

――どのような場所を撮影したのですか? 滋賀県には紅葉の名所が多くあるので、複数のスポットで撮影しました。世界遺産に登録されている寺や城の美しい庭園など、すでに多くの人に知られている人気スポットから、あまり知られていない場所まで、滋賀県の秋を象徴するようなところを選びました。注意したのは、場所選びよりもむしろ撮り方です。一般的な観光動画にならないように、新しい表現を探りながら撮影に臨みました。

時間によって表情を変える紅葉や
びわ湖の美しい色を再現したい

――今回の機材もα7S IIとα7R IIだったのですか? ひと言に紅葉といっても、撮影する時間帯によって色の見え方が違うんです。その違いを明確に表現できる「色の再現性」を重視して、今回も35mmフルサイズミラーレス一眼カメラのα7S IIとα7R IIを選びました。極寒で強い風の中、朝霧を撮影しに登山も行ったのですが、朝霧の繊細な質感を再現できるのもこのカメラの描写力があってこそ。山道移動での機動性の良さも含めて、この撮影にベストなカメラでした。

――レンズは何を使ったのですか? レンズは、SELP28135G(FE PZ 28-135mm F4 G OSS)。35mmフルサイズ対応の電動ズームが、即時性が求められる撮影現場でとても役に立ちました。ズームのレンジも、ロングショットではとても扱いやすく、映りもシャープで素晴らしいものがありました。 残念ながら今回は撮影条件が合わず、作品には使っていないのですが、SEL35F14Zがスタンバイしていました。撮影の合間に静止画で開放F1.4とF2の絞り優先で撮っていたんですが、ボケ足の美しさはさすがだなと。次回こそ出番があるといいなと思います。

――自然相手の撮影は難しいと思うのですが、瀬野さんならではのテクニックがあれば教えてください。 今回に限らず全般にわたって特にタイムラプスの撮影を取り入れているのですが、それを約4200万画素のα7R IIで行っています。解像度の大きさを利用してタイムラプスの仕上がり画面でもトリミングしたり、ズームしたりと自由に編集しやすいようにしています。こういう使い方ができるのは、35mmフルサイズセンサーを搭載して、たとえ4K仕上げになったとしても充分に対応できる画素数があるからですね。

観光シーズンに静寂な寺院の
紅葉を表現するのは大変でした。

滋賀県の代表的な紅葉スポットを、どう表現するのか。この並木道が美しく見せられると考え、撮影を決行

――印象に残っている撮影エピソードはありますか? 紅葉の美しさだけを求めるならば、逆光が紅葉に当たって発色がよくなるアングルを定めればこと足ります。でも、今回は撮影場所がはっきりとわかる映像にしたかったので、寺や公園内の建物など、ランドマークがしっかり映り込むアングルを探さなければいけませんでした。観光シーズンだったので、人物が映らないような絶好のアングルを見つけるには、だいぶ苦労しました。しかも、ここぞという場所を確保しても、狙い通りの太陽光を得るためのタイミングはたった数分間。小さなジンバルにα7S IIを取り付けて、レンズは16-35mm(Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS)を使って、アングルと画角調整を即座に決めて撮影を敢行しました。コンパクトなα7S IIだからこそです。

山頂にて、朝に向かっていく夜空を遠景に、星が移動していく様子を宇宙的な視点で撮影。

――山頂での撮影はいかがでしたか? 頂上近くまで車で上がれるのですが、駐車場からは登山スタイルで登りました。まずは荷物をコンパクトにまとめるという点でα7シリーズはうってつけでしたね。実は頂上の撮影シーンでは、朝霧を狙ったわけではなく、朝に向かってゆく夜空を遠景に、星が移動していく様を、びわ湖を見渡すような宇宙的な視点で撮影したいという狙いでした。つまり今回の撮影のなかでは、もっともロングショットだったんです。湖北の夜景、星空、そして遠景のかすかなびわ湖をとらえながら、時間の設定、コマ数の設定など全ての条件をクリアするために何度もチャレンジしました。画素数の観点からα7R IIでタイムラプスを使って撮りましたが、次回の夜バージョンはα7S IIでタイムラプスを使って撮影してみたいですね。

感動的な滋賀県の色を、これからも撮り続けていきたい。

――理想的な色は撮れましたか? 紅葉はロケ現場によっては天気に恵まれなかった場所もありましたが、色鮮やかな紅葉の美しさをうまく捉えることができました。びわ湖の夕景撮影では、変わりゆく天空の色温度にあわせながらさまざまな色を拾いましたが、思いもよらぬ感動的な色が撮れたのは嬉しかったですね。これからも撮影が続くので、はっとするような滋賀県の魅力を皆様へお届けできればと思っています。

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