α Universe editorial team
柘植泰人 / ディレクター
つげ・やすひと
1983年愛知県生まれ。2012年、日本の風景を収めた映像が大きな話題を呼び、以後、広告をはじめとした数多くのプロジェクトに参加。 代表作 宇多田ヒカル「真夏の通り雨」など。
http://yasuhitotsuge.com/
美しい映像で描かれるドキュメンタリーを次々と発表。Vimeo等の動画サイトを通じて世界中にファンを持つディレクターの柘植泰人さん。それまで所属していたaugment5を経て2015年にnovemberを設立。ドキュメンタリーを中心に活躍の場を広げている。
ーー柘植さんの撮る映像には同業者のファンも多く、独特の情感があります。それはどのように身に付けたのですか。
柘植 特に意識したことはないですが、自分でカメラを回していたので、その時「いいな」と思えるような情景を抑えられているのかもしれません。 本当は監督に専念したいと思っているのですが、まだ撮って欲しいという要望が多いですね。
案山子窯 - のとつづり
能登金剛遊覧船 - のとつづり
ーー最近撮影した映像について伺います。「のとつづり」は能登の様々な風景や人物などをじっくり追った作品です。
柘植 「のとつづり」はnovemberを立ち上げてすぐに声かけてもらった仕事です。多田屋という温泉旅館が自分の旅館のプロモーションをする前に能登をプロモーションをしたいという考えで始めた企画です。写真と文章でまとめられていたのですが、1年かけてその動画を作ることになりました。取材は1回数日間、1日3〜4ヵ所回って撮りました。
どこで取材するのかは決まっていましたが、何を撮るのかは決めていませんでした。αは駆動音が静かなので1台で撮影から音の収録までできるのがいいですね。この撮影のスタンスとしては下準備をせずにその場で聞きたいことを聞こうと。先方に「こういうことを聞きますと伝えて収録するのはドキュメンタリーとは言えないな」と思うようになって、予定調和ではないものを作ろうと考えました。その際にαの存在は重宝しました。不意のシーンにも即座に対応できるし、マイクを付けてこの1台でインタビューも収録しています。身軽さがいいですね。
1年間撮りためて1本の映像にまとめる予定でしたが、短くてもいいから少しずつ発表しようと撮っているうちに考えました。能登は広いので撮影素材が多すぎて発表のペースは失速して来ていますが。ニュートラルな視点でその時に聞きたいことを聞こうというのは「のとつづり」で学びました。
ーー「TAKE OVER」はフォーミュラー・レーサーの金丸悠さんのドキュメンタリーです。
柘植 金丸さんに「まず一度レースを見てください」と誘ってもらったので、α7S IIを持って行きました。レースは初めてでしたが、いいカットが撮れたし、まとめてみようかなと思いました。
ーーフォーミュラー・カーは被写体としては面白いですか。
柘植 面白いですね。ただ当たり前ですけど車が速過ぎて(笑)。実際どうまとめていこうかと悩みました。F1レーサーを目指し、若くして海外でチャレンジしている金丸さんを応援したいなというスタンスで編集しました。
ーー独立後はほぼα7S IIで作品を撮っているそうですが、柘植さんが考えるαの面白さはどんなところでしょうか。
柘植 αには瞬発力があります。ドキュメンタリーの映像を撮る人間にとって、撮りたい時にすぐ撮れる機動性が映像制作に役立っています。また全編手持ちで撮ることも多く、他のカメラでは編集時にカメラの細かい揺れが気になることもあるのですが、αは内蔵の手ブレ補正が効いていて満足しています。
TAKEOVER
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