最先端の現場+α Vol.12
「S-Logを使い始めて"色の演出"が
可能になった」
宮尾昇陽:ジャンルにとらわれず様々な映像を
作るマルチなディレクター
α7Sを持って世界を飛びまわる若きクリエイターの宮尾昇陽氏。動画の撮影、監督、編集をすべて自分でこなす彼の撮影スタイルに迫る。
宮尾 昇陽/ディレクター&フォトグラファー ZONVOX/GROUNDRIDDIM 所属 東京都福生市在住。 2014年の「パリスファッションウィーク S/S 2015」など海外へも活躍の場を広げ、ファッションルックブックやMV、Web広告等の映像製作を手がける。
フォトグラファーとして活躍しながら映像の編集・監督までマルチにこなしてしまう宮尾昇陽さん。映画「夜明け前が一番暗い」がデジタルフロンティアグランプリでベスト・ドキュメンタリー賞を受賞するなど国内外で活躍している。ソニーα7Sで撮った映像に惚れ込んで、今では多くの作品をα7Sで撮影・監督している。
――デジタル一眼の映像に面白味を感じていたそうですね。 宮尾 フォトグラファー出身なので写真を撮りたいと思った時にもすぐに切り替えられるというのが楽しいですね。αは高感度にも強いし、HS(ハイスピード)も撮れる。理想的なカメラです。
――STUTSのMV「Renaissance Beat /Pushin’」は背景が変わっていく映像です。実際どう撮影しているのですか。
宮尾 トラックの荷台に大きなターンテーブルを置いて、三脚、DJ機材を配置したセットを組んで、トラックごと移動しています。ロケーションを変えて、セットを組んで演奏して撮影。現場ではパフォーマーと楽器、背景の位置を合わせていくのが大変でした。コマ撮りアニメで使うようなワンシーン前の映像が確認できるソフトを使ったのでズレずに撮影できました。大きなカメラだとそれだけでセッティングも大変なのでαだから撮れた映像だと思います。
――AYANA Resort Bali Promotionはリゾートホテルのプロモーションです。
宮尾 インターナショナルウェディングの映像を作りました。東京ドーム16個分の大きなリゾートで、そのホテルの魅力を伝えようと思いました。撮影はFS5とα7S、俯瞰ではドローンを使っています。スケール感を出して欲しいというのがホテルの要望なので、すごく寄っているところと引いているところの変化を意識して撮りました。αは機動性がいいので助かりますね。
――「A Touch of Art in Niigata」 は新潟のムービーカメラマンと共同で制作した作品だそうですね。
宮尾 この映像は全編HSで撮影しています。DRAGON76というニューヨークで活躍するアーティストが新潟駅前に37mの壁画を描くプロジェクトです。彼の描いている時間が3週間あったので、新潟で映像制作をしているスタッフに手伝ってもらい、僕は監督兼撮影として参加しました。新潟のチームもFS5とαを使っていて、S-Log収録なのでトーンも揃えやすかったですね。つなぎ目が気持ちいい映像にしたいと思っていて、三脚やスライダーを使ってばっちり撮るというよりも、わざと手ブレさせたこともあります。動いているものと動いていないもののコントラストを見せたい。そういう映像が好きなんですね。動いている被写体はオーソドックスに撮影して、逆に動きのないグラフィックではカメラがダイナミックに動く。それによってそれぞれの特長を活かそうと考えました。
――集まった素材をどうまとめたのですか。 宮尾 オフライン編集で骨組みを作ってBPM(演奏のテンポ)を合わせるなど、メリハリを調整しています。ドキュメント要素のある映像を作る時にはその土地で撮る意味はなにかを考えています。3ヵ月の間には大雪もありましたし、気候や環境の変化が激しかったです。朝から夜遅くまで収録しましたが、街灯の明かりや作業中のライトなどかなり色設計が難しいシチュエーションでしたが、S-Log収録していたおかげでグレーディングでも色が合わせやすかったですね。S-Logのおかげで今は色編集が楽しいなと思っていますし、僕自身が目指している新しい表現に挑戦できる可能性を感じました。
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