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Impressive TRAIN Journey
鉄道写真家 中井精也 氏
Vol.8

中井氏が鉄道風景を印象的な作品にすべく旅する
デジタルカメラマガジンとのタイアップ企画が
スタート!本誌では見られない撮影裏話を毎月
コラム形式でお届けします!

α Universe editorial team

こんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 さて先月1月22日、東京では記録的な大雪が降りましたが、今回のロケーションは雪が似合う鉄道風景を求めて会津へと向かいました。 最初の写真は、今となっては貴重な藁葺き屋根の農家と会津鉄道の風景をα7R IIIとFE 24-70mm F2.8 GMの組み合わせで高精細に描いてみたものです。観光的に保存されている農家ではなく、現役の藁葺き農家はとてもレアな風景ですので、ぜひともその魅力をご堪能ください。実はこの作品に写っている湯野上温泉駅も、駅舎の屋根が藁葺きになっています。藁葺き屋根と雪の相性は抜群ですね。見ているだけで、冬の汽車旅の旅情が、ムンムンと伝わってきます。

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM,F8,1/500秒

こんな雪景色では、つい定番の絶景写真ばかりを狙いがちですが、そんなときこそ自分ならではの視点を大切にすることをお勧めします。絶景を狙うと絶景しか見えなくなりますが、僕は五感を研ぎ澄ませて、「雪の冷たさ」や、「雪国の空の美しさ」など、自分が良いと感じた雪国の風景を探します。

この作品では、クリアな雪国の空気感を表現するために、雪にピントを合わせて撮影しました。列車も風景も後ぼけになるわけですが、だからこそ感じられる空気感がそこにはあるのです。肉眼とは異なる表現ができることが写真の面白さだと思います。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS,F7.1,1/320秒

こちらの作品は雪の上に残されたネコの足跡。足跡の先には、遮断器も警報機もない踏切が……。ネコは律儀にこの踏切を渡って、赤屋根の農家の梁の上でお昼寝しているのかな?そんなストーリーを思わず想像してしまいます。列車が来ない時間帯も、僕にとっては大切な撮影タイムというわけです。この写真はFE 24-70mm F2.8 GMで撮りました。とてもクリアで素直な描写力が持ち味のレンズです。見せたい風景を、ありのままの魅力とともに写しだしてくれていると思います。

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM,F10,1/4000秒

谷を越える鉄橋では、思い切って水鏡に映る列車の幻影だけを撮影しました。その理由は、水面に映る雪国の青空の美しさを強調したかったから。鉄橋そのものを写してしまうと、誰も空を見てくれません。だからこそ水に浮かぶ幻影だけを撮影することで、青空に注目してもらったのです。あえて写真の天地を逆にせず、幻影であることをストレートに表現してみました。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS,F2.8,1/1250秒

如何でしたか?ピント位置を意識して雪にピントを合わせたり、アングルを意識してネコの目線になったり、構図を意識してリフレクションを主役にしたり、フレーミングを意識して大胆に一部をクローズアップするなど、オリジナリティー溢れる写真を撮ることの楽しさを体験してみてください。絶景だけに縛られずに、自分だけの目線で雪国を見てみると、今までは見えなかった、素敵な被写体に気づくことがきっとできると思います。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS,F2.8,1/2500秒

それから、3月1日から4日までパシフィコ横浜で開催されるカメラの展示会『CP+』では、今年もソニーブースに登壇させていただきます。会場で直接皆さんとお会いできることを楽しみにしています!

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