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写真家 並木隆 氏×α7R III
特集:この一台で、挑む。すべてに応える。

〜α7R IIIで『魅せる』花撮影〜

α Universe editorial team

花や植物を題材に、独自の視点で写真表現を続けている並木氏に、α7R IIIを使用していただきました。細部にわたり「ぼけ味」にこだわる芸術性の高い並木氏の表現に、α7R IIIはどう応えたのでしょうか。

並木 隆/写真家 1971年生まれ。高校生時代、写真家・丸林正則氏と出会い、写真の指導を受ける。東京写真専門学校(現・ビジュアルアーツ)中退後、フリーランスに。花や自然をモチーフに各種雑誌誌面で作品を発表。公益社団法人 日本写真家協会、公益社団法人 日本写真協会、日本自然科学写真協会会員。

――α7R IIIを使ってみて素直な感想をお聞かせください。 α7R IIとの比較ですが、マルチセレクターでフォーカスエリアの選択が、より直感的に操作できるようになりましたね。あと、撮ってみて実感したのは、AFの精度。ピントが合う確率が格段に良くなった気がしました。花びらが何枚も重なっていたり、花の近くで光源がきらきら光っている状況など、今までのAFなら無理だったシーンでもピントが合います。コントラストがなくても、花びらの色が微妙に違っていても、こちらの思惑通りに好きなところにピントを合わせられるようになりました。バッテリーも進化しています。一緒に撮影に行った人はα7R IIでしたが、彼がバッテリーを3本使っているときでも、自分は1本で済みました。EVF(電子ビューファインダー)の見え方もめちゃくちゃきれいになった。長い時間見ていても疲れないんですよね、これは助かります。だいたい、液晶モニターは老眼で見えにくくなってきた(笑)。老眼鏡をかければモニターは見えるけど、そうすると今度はファインダーを覗けないでしょ。ピーカンの日も液晶は見えにくいですよね。だからEVFが見やすいっていうのはとてもありがたい。手ブレ補正機能については、花の撮影というよりも室内のイベントでその実力を思い知りました。先日、妻のフラダンスの発表会があったんですが、そこで1/4秒のシャッタースピードで衣装が揺れているところを手持ちで1.4倍のテレコンバーターをつけて撮影しましたが、ブレてなかった。サイレントシャッターも静かで、まったく写真を撮っている感じがしませんでした。隣で写真屋のおじさんが普通に撮っていましたが、バシャバシャうるさくて気が散りました(笑)。

――それでは、実際にα7R IIIで撮影した草花の作品を見ていきましょう。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F2.8,1/200 秒,ISO200

背景を大きくぼかしてサザンカを控えめに目立たせたかった作品。レンズは70-200mmの望遠ズーム<FE70-200mm F2.8 GM OSS>。Gマスターの描写力とフルサイズの4240万画素の解像度ってものすごいですね。花の小さなほころびも見逃さないし、花びらの色のグラデーションもきめ細かく表現できています。 基本、背景をできるだけ取り込んで写したいときは望遠で撮ります。マクロレンズを使うのは花をメインに大きく写したいときですね。背景をぼかすだけだったら、被写体に寄ればいいんですけど、被写体と背景の距離感を適度に保ちたいと思ったら引いて撮るしかない。その最適な距離感を表現するために、僕たちは場所を探しまくるわけです。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F2.8,1/320 秒,ISO500

こちらは地面から20cmくらいのところでカメラを構えて、レンズに向かって枝が伸びているような角度にセッティングしています。日陰で、明るい背景を生かして明るくすっきり撮ろうと思った。やっぱりレンズがいいんでしょうね。背景はじわじわときれいにぼけています。普通のレンズだと、ぼけが2重になったりするんです。フォーカスエリアは<フレキシブルスポット>の「S」。花芯にしっかり合わせます。「M」だと範囲が広すぎて花びらにピントがいってしまうんです。

――次は、ぼけを生かした幻想的な作品です。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F2.8,1/320 秒,ISO500

花の手前にピントをもってきて、木洩れ日と重なるように被写体をぼかしています。今回の撮影で一番のお気に入りです。このカメラだと、ファインダーで見えるぼけ味がそのまま写るでしょ。自分は、こういう作品にするために被写体を探し歩いたり、見つけたらその周りを動き回って最適な場所を決め、今度は絞りやシャッタースピードやピントをいろいろと調整して撮るわけですから、ファインダーを覗いたときにはもう完成形がわかるというのは、ものすごいアドバンテージなんです。ほかのカメラだったら、いろいろ凝っても、どう写っているかはわからないですからね。

α7R III,FE 90mm F2.8 Macro G OSS 90mm,F2.8,1/800 秒,ISO500

南国の花、オレンジ色の花びらがきれいな極楽鳥花は温室で撮影しました。陽が当たりすぎると色が飛んでしまうので日陰で、グリーンの背景がうまく溶け込むような場所を時間をかけて探しました。α7R IIIは、背景の状況も正直に再現してくれるので、雑には撮れないんですよ。α7R IIだったら、適度に飛んでそれとなく雰囲気が出るような状況でも、α7R IIIはクリアに写る。だから、場所を慎重に選択する苦労が増えました(笑)。これは90mmのマクロレンズ<FE90mm F2.8 Macro G OSS>。ピントは花びらの先端の手前にもってきています。オレンジもグリーンの色もやわらかくて品よく再現されていますね。こういう作品は、ピントの位置が1cmずれただけも違う画になってしまうんです。ピーキング機能でピントの山がどこにあるか確認しながら撮っています。ピーキング機能も進歩していて、輝度差があるところでも効きましたね。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F4,1/8000 秒,ISO100

きらきらした光源を背景にした作品。この状況でコセンダングサの種にピントを合わせるのはとても難しんですが、ピーキング機能でしっかり合わせることができました。しかも、被写体のシルエットになっていて真っ黒くつぶれていないんです! かすかに色が残ってる。階調表現の幅が広がった証拠ですね。今までだったら、強い逆光があると、どうしても被写体は黒くつぶれて影絵みたいになっていた。それが嫌だったらレフ板を使って光を当てて被写体を起こしてあげなきゃならなかった。α7R IIIはレフ板いらず。どんどん攻めていけます。

――赤いツバキの作品は前ぼけを効果的に使っています。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 98mm,F2.8,1/500 秒,ISO800

真っ暗な藪の中にわけ入って、いったん木の下にもぐって撮影しました。みんなが撮っているツバキは花びらの外側ばかりなんです。こうして花の内側を撮りたかったから場所を確保するのに苦労しました。この角度で撮らないと木洩れ日がツバキに入らないんですよね。<FE70-200mm F2.8 GM OSS>で撮りましたが、Gマスターの描写力はケタが違いますね。拡大すると、花びらについた花粉のひと粒ひと粒まで写っています。

――こちらは背景のぼけ味が印象的ですね。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F2.8,1/8000 秒,ISO200

水仙の花は人工ダムの近くで水面の反射がきらきら写り込む状況で撮影しました。陽が強いので、背景をこのくらい出そうと思ったら花びらの白色は飛んでしまうところですけど、ちゃんと花びらの一枚一枚が描写されている。恐ろしいほどの解像と階調性能ですね。日差しが強いときも攻めていける。

α7R III,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F2.8,1/250 秒,ISO100

この写真は背景のぼけ味がすばらしい。水面の反射がこれだけ細かく出ていると、通常はひと塊になって白いぼけが広がってしまう。それが、小さな雲の連なりのように表現されているでしょ。ちょっとびっくりするほどです。

――最後に、カメラファンの方にアドバイスをお願いします。 写真をたくさん見て、自分が撮りたいものをはっきりさせることだと思います。それが決まったら、まずは真似する。それは撮り方というよりも、こういうイメージを撮るにはどうやって被写体を選べばいいのか、どういう光の条件で撮ればいいのかということ。被写体があってから写真を撮るのではなくて、最初にイメージありきです。表現したいイメージがあって、それを実現する被写体を探す。今までとはアプローチの仕方を変えないと、写真は変わらないと思います。フルサイズのミラーレス一眼は、その助けになってくれる。ファインダーで覗いた世界がそのまま写るんですから。イメージがそのまま画になれば、撮る快感に目覚めるはずです。

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