商品情報・ストアデジタル一眼カメラ α α Universe

航空写真家 伊藤久巳 氏×α7R III
特集:この一台で、挑む。すべてに応える。

〜α7R IIIが写し取る航空機の多彩な表情〜

α Universe editorial team

旅客機から戦闘機の空撮まで、あらゆる分野の航空写真を長年撮影し続けている伊藤久巳氏。無機質な飛行機を感情を宿したかのように表現する彼の作品には、独特な迫力と類い希なセンスを感じます。航空写真の世界で、ミラーレス一眼のα7R IIIはどのような活躍を見せたのか、デジタル一眼レフを超えることができたのか、現場での使用感を率直にお聞きしました。

伊藤久巳/航空写真家 1958年、東京生まれ。航空写真家。学生時代から撮影の仕事に携わり、1983年に伊藤久巳写真事務所設立。旅客機の機内取材から戦闘機の空撮まで軍民航空業界のあらゆる分野を撮影、取材し、航空雑誌のほか航空会社、航空機メーカー、空港会社の広告に写真を提供。写真集『伊藤久巳×飛行機力』(イカロス出版)、『さよなら日本のジャンボ』(ネコパブリッシング)など著書多数。公益社団法人日本写真家協会会員。日本航空写真家協会会員。

――実際に航空機を撮影してみて、α7R IIIの印象はいかがでしたか?

これまでミラーレス一眼は、高速で動く航空機撮影では重要なAF性能や解像感が発展途上に感じていました。しかし、α7R IIIはデジタル一眼レフと同様の感覚で撮影できます。とうとうここまで来たか、という印象ですね。そのうえでミラーレスならではの良さがある。これなら飛行機撮影でもかなり使えると実感しています。

とくにAFに関しては進化を感じましたね。マニュアルで追っていたら、欲しい位置にピントを合わせるのは大変、という場面でもAFでしっかり合わせてくれましたから。さらに、AF追随での粘りもある。食いついた時のしつこさというか、追随性の高さも飛行機の撮影では魅力です。もちろん、時速300kmの飛行機を追いかけるわけですから外してしまうこともありますが、ピント合わせが難しい場面でも十分に頼れる機能だと思います。

――ここからは撮影していただいた作品を見ながらα7R IIIの使用感や撮影方法などをお聞かせください。この着陸する飛行機の作品ですが、どのように撮られたのですか?

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F8,1/60秒,ISO3200

これは着陸する飛行機を真正面から撮っています。伊丹空港に着陸する飛行機で、誰でも撮ることができる街中の路上から撮ったものなんですよ。高度は120〜140mくらいでしょうか。それをFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを使って400mmで撮影しました。 こういう暗いシーンでの撮影は、ミラーレスは最適です。デジタル一眼レフだと機体は全く見えず、見えるのは飛行機のライトだけですが、ミラーレスは仕上がりと同じ映像をEVFで見ることができますから。 夕方に撮影したので、刻一刻と露出が変わっていくんですよね。そんな中に飛行機が入ってくる。近づいてくると機体に光が反射して下手すると露出オーバーになってしまう、という場面だったんですけど、自分の目で確認しながら絞りを変えたり、ISO感度を変えたりしながら撮影できるんですよ。今までこんな経験はしたことがなかったので、「すごいな!」と思いましたね。

――夕暮れに撮影された作品はドラマチックな雰囲気に仕上がっていますね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 100mm,F10,1/500秒,ISO400

これも伊丹空港で撮ったものです。夕暮れの微妙なグラデーションも自然のままに表現できて、階調も素晴らしいと思います。 シルエットになっている機体の中も黒潰れせずに、塗り分けされていることまでわかりますよね。解像力もそうですが、階調力もないとこのような仕上がりにはなりません。拡大するとわかるんですが、機体に表示された機体番号までしっかり写しているんですよ。 ここまで表現できるのが、高画素でフルサイズならではの強み。α7R IIIだからこそ撮れた1枚と言えますね。

――青空に映える飛行機も、とても印象的ですね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F11,1/500秒,ISO125

成田で大雪が降ったすぐ後に撮った1枚です。よく見ていただくとわかるんですけど、飛行機のお腹の部分にまで日が当たっているんですよ。雪によるレフ板効果で、お腹まで明るく写すことができました。これは雪が地上にたくさん残っている時でないと撮れません。逆を言えば、こういう状況でさえあれば、ISO125、シャッタースピード1/500秒、F11でこれと同じ写真を撮ることができます。 実は手ブレ補正もオンの状態で撮影しているんですよ。航空写真の場合、真横や真正面から撮る時以外、手ブレ補正は切っておくのが従来の鉄則でした。例えばこの作品では、手前に見えているエンジンの部分、画面の真ん中をブレ防止で止めてしまうとコックピットや先端がブレてしまうものなんです。でもα7R IIIは不思議とブレない。他のデジタル一眼レフでは間違いなくブレていたのに。早い段階で手ブレ補正が効果的に使えることがわかったので、α7R IIIではずっと手ブレ補正をオンにしていました。α7R IIIのボディ内5軸手ブレ補正は本当に優秀でしっかりしていますね。

――舞い上がった雪がアクセントになっていて、ピントをどこに合わせるか悩んでしまいそうな作品ですが、伊藤さんは先端部分に合わせていますね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 235mm,F11,1/500秒,ISO100

右側の車輪から前くらいにピントを合わせています。後ろは舞い上がった雪でワーッとなってしまうので、エンジンのあたりにピントを持っていってもあまり良くないですし。私の目も機首を追っていて、機首を止めようとしています。この場合、画面の右端にピントを持っていきたいわけです。 でも私が使ってきたデジタル一眼レフでは、ANAの最初のAのあたりまでしか測距点がありません。欲しい場所に測距点がないんです。その点でいうと、α7R IIIは画面の広範囲に測距点があるので安心。機体自体が長いものなので、それを大きく目いっぱい撮ろうとすると、機首はどうしても画面の端に持っていきますからね。測距ポイントの広さもこのカメラの大きな魅力だと思います。

――今回撮影した作品の中で、伊藤さんのお気に入りの一枚を挙げてください。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F11,1/500秒,ISO160

正直に言うと、この作品は100%カメラの性能に頼りました。私は飛行機を追ってレンズを向けているだけ。雪がたくさん残っている新千歳空港で撮影したので、雪が反射して正面からでもきれいに撮れる思っていました。測距点はコックピットの窓の中央部分にもっていって、そこでレンズを400mmにして。あとはババババっと連写で撮りました。カメラの性能もありますが、今まで培った経験も踏まえて、なかなかのベストショットが撮れたと思います。 α7R IIIは連写でピントが合っているコマ数の確率がとても高いんです。他のカメラと比べてもトップクラス。10コマ中10コマに近いですよ。ボディもレンズも同等のものを使って撮っても、私の場合ここまでの高確率にはなりませんでした。これは155ノットくらいだから時速290kmですかね。結構スピードが出ているのにここまで合わせられるのは本当に見事です。

――最後に、航空写真を撮っている、または撮ってみたいと思っているαユーザーに向けて、上手に撮るコツを教えてください。

まずは、被写体となる飛行機をカッコイイと思うことです。撮っている時の気持ちは写真に写るものですから。僕がこの事に気付いたのは、ほんの10年か20年前のこと。本当にカッコイイと思わないと絶対にカッコ良く写らないので、そこが一番のポイントですね。どんな見方でも角度でもいいから「カッコイイ」と思うところを見つけて、その部分を追求して、必要なレンズを買って撮り続けることがいい写真を撮る近道だと思います。

僕は、いつもカッコイイ顔を撮ってあげたいと思っています。被写体は金属の物体ですが、私には空中を飛んでいる時、地上にいる時、離陸する時、着陸する時、どの瞬間も違う表情に見えるんです。自分からそう思い込むようにしていると言った方が正しいかもしれません。その表情を写真で表現できれば最高です。みなさんもそんなことを想像しながら撮ると、より楽しみが広がるかもしれませんよ。

記事で紹介された商品はこちら

ワンクリックアンケートにご協力ください

記事一覧
最新情報をお届け

αUniverseの公式Facebookページに「いいね!」をすると最新記事の情報を随時お知らせします。

閉じる
閉じる