フォトグラファー 三小田 智子 氏×α7R III
特集:この一台で、挑む。すべてに応える。
〜α7R IIIのスピード感が与えてくれる「撮れる」という自信〜
他のプロカメラマンとは一線を画した異色の経歴を持つ三小田智子さん。子育てが終わってからカメラを本格的に始めたため、キャリアはまだ6年ほど。しかもαアカデミーや、その前身である αcafé体験会で写真の技術を学び、αcaféに作品を投稿していた、いわばαの一ファンからプロへの転向を遂げたという非常に稀有なフォトグラファーだ。
カメラとの最初の出会いはソニーのコンデジ。高校野球をやっていた子どものチームを撮ることに夢中になった。朝練から試合まで、彼らのあらゆる表情を撮りたくて追っかけの日々を過ごす。この頃からいつかは一眼…と思い始める。数年後、初めて手にしたデジタル一眼がα65。あるイベントでかっこいい女性カメラマンに釘付けになり、その方が持っていたのがソニーのカメラだったことから直感で選んだという。撮影の上達を目指してαcafé体験会(現αアカデミーの前身)に参加し、αcaféにも作品を投稿。そこで自信をつけてさまざまなコンテストに応募し、数々の賞を獲得する。 「趣味で終わらせるのは何か違う気がして。より多くの方に喜んでもらえるといいな、と思いストックフォトに登録しようと思い始めたのが2016年の冬。そこからすぐにストックフォトからの契約依頼があり、SNSで繋がっていた一般企業から“一緒に仕事ができないか”という話があったので、これは流れに乗るしかないと思いました」と三小田さん。こうして写真を生業とするプロフォトグラファーとしてのスタートを切った。 αでその技を磨いてきた三小田さんはα7 IIやα7R IIを所有。今回、新モデルα7R IIIを使用した、率直な感想や魅力的に感じた機能などを語っていただいた。
三小田 智子/フォトグラファー 横浜生まれ。子育てが一段落した2012年、念願であった一眼カメラを始める。ファインダー越しに見る世界の美しさに心奪われ、夢中で撮影する日々を過ごす中、花や風景を中心としたスナップ撮影に加えて本格的なテーブルフォトの勉強も始め、テーブル上に作り上げた世界観を撮る楽しさにはまっていく。ソニーαcaféやαアカデミーなどでも写真を学ぶ中、周囲から作品の支持を多く得られたことが自信に繋がり、やがて趣味の領域を超えてプロの写真家となることを決意。現在は商品撮影の他、美しい海外の風景、街並みを追い求めながら多方面に作品を提供、同時に2020年に向けて変わりゆく東京都中央区晴海の街も撮り続けている。JPS展など受賞作も多数。
羽ばたく鳥もしっかり撮れる。
自信に繋がるAF追従性能の高さ
――まずはα7R IIIを実際に使用した率直な感想から教えていただけますか?
細かい部分ですごく使いやすくなったというか、楽になった感じがしますね。例えば、私は単焦点レンズを使うことが多いので、もうちょっと近寄りたい、と思った時にAPS-Cサイズに画角を切り替えることがあります。その切り替えをカスタムボタンのC3に入れているんですけど、背面左上という位置がすごく使いやすい。ほかにもAFでフレキシブルスポットを使うときも、タッチフォーカスで瞬時にフォーカス位置を移動できたり。細かいところでの進化がたくさんあって、撮るまでの作業が簡単にできるようになったという印象です。
あと、AF追従がすごく良くなっていますね。例えば晴海埠頭で撮影したカモメの写真もα7R IIだったら撮ることがなかったと思います。
飛んでいる鳥の姿は撮ろうと思っても簡単には撮れない、と思っていましたから。でもα7R IIIはAF追従の性能も飛躍的に向上したということだったので、連写を併用しながら試してみたんです。そうしたら簡単に撮れてしまって(笑)。体が大きくピントが合わせやすいので、比較的撮りやすい鳥だとは思いますが、撮れたことで自信がつくんですよね。自分でも撮れることがわかれば、次も鳥の撮影にチャレンジしてみよう、という気持ちになり、自分が撮っている被写体の幅がさらに広がります。 この時は夕日を入れて逆光状態で撮影しましたが、暗部のディテールもきれいに出ていますよね。通常ならば黒く潰れてしまうところだと思うのですが、ダイナミックレンジの広さや階調性もよくなっているからこそ、ここまで表現できたんだと思います。
花の撮影で実感した
高い解像感と忠実な色再現性
シャッターを切った後、撮った画像をファインダーを覗いて見る癖があるんですが、α7R IIIはファインダーで被写体を見ているのか、撮った画像を見ているのか、どっちかわからないくらい色が同じなんです。これには本当にビックリしました。上の画像もレタッチは一切していない、JPEGの撮って出しです。色の再現性も見事ですし、オートホワイトバランスを信用できるのも、とてもありがたいことですね。
上の作品はストックの花びらを撮影したものです。FE 90mm F2.8 Macro G OSSのシャキっとした部分と、柔らかいぼけを両方出せればと思い、分解した花びらに下からライトを当てて撮影しました。花びらの中にある細かな筋まで描写している解像感がすごいですよね。グラデーションもきれいに出ていますし。 これは手持ちで撮っていますが、ここまでマクロで寄ってもブレなく撮れるのはボディ内5軸手ブレ補正のおかげだと思います。手ブレ補正も向上していることを実感できるほど、手持ちでのマクロ撮影ではその効果を存分に発揮してくれました。
睡蓮の花畑とツバメの競演は
α7R IIIでなければ撮れなかった
――α7R IIIを持って海外にも出かけられたとお聞きしましたが、どのような被写体を撮影したのですか?
α7R IIIの実力をもっと知りたい。そして自分の可能性を広げてくれるかも!とワクワクしていました。ちょうどタイ・ネパールの撮影ツアーに参加することになっていて、これはカメラと自分を試す良いチャンスになると思いました。
これはタイの睡蓮畑です。観光用の8人乗りくらいの船で20分くらいかけて到着するんですけど、驚くほどの広さで思わず息をのみました。夜明けとともにツバメがどこからともなく飛んできて。晴海埠頭でカモメが撮れたことで自信をつけたので、ここでもツバメの撮影にチャレンジしました。 でもツバメはカモメよりも小さくて動きも速いので、けっこう苦労しましたね。AFはしっかり追従するんですけど、追いかけていると構図はどんどん変わってしまうし、睡蓮と絡めるだけでも大変で。ツバメは低空飛行で、奇想天外なところから出てきて大騒ぎしますから。そのためコンティニュアスAFで追従して、ひたすら連写しました。おかげで翼をきれいに広げていて、なおかつ睡蓮も写っている写真が撮れたわけです。 おそらく、α7R IIを使用していたときの自分だったら、このような写真を撮ろうと思っていなかったかもしれません。α7R IIIを手にしたからこそ新たに挑戦した1枚ですね。
待たせる恐怖がなくなり
人物を撮る勇気を与えてくれたカメラ
――人物写真もよく撮られているのですか?
コンデジでは高校野球のメンバーの表情を追っていましたが、いざ一眼カメラを手にしたら、人に向けるのが怖くなってしまって。待たせてしまうことが、すごく悪い気がしたんですよね。でもα7R IIIでは設定を整える間、設定もスピーディにできるし瞳AFなどのAFも速くて信頼できるので、怖がらずに人物を撮ることができるようになりました。そういう意味では、人物を撮る勇気を与えてくれたカメラといえます。ネパールでは瞳をキラキラ輝かせた子どもたちが私の周りに集まってくれて、本当に幸せでした。ありがとう〜!を連発しながら瞳AFを使って、かわいい子どもたちをカメラに収めました。
海外で撮影してみて、バッテリーの性能が飛躍的にアップしていることもわかりました。正直なところ、今までは心配で1台につき3個は持って出ていたんです。でもα7R IIIはフル充電で朝ホテルを出て、撮影が終わって部屋に戻っても十分バッテリーが残っていましたから。バッテリー切れの心配なく、ガンガン撮影できるのも魅力ですね。
世界を広げてくれたαは
私を育ててくれる頼もしい相棒
――三小田さんにとってαはどんな存在ですか? 仲間をいっぱい作ってくれて、自分を思わぬ方向に連れて行ってくれる。本当に世界を広げてくれた存在ですね。αを買っていなければαcaféにも参加していなかったから今の仲間とも知り合っていませんでしたし、αアカデミーで講師の方に教えてもらうこともなかったと思います。いろいろな作品を見て、どういうものを撮りたいのかがわかったのもαがあったから。実際、こんなに海外に出かけるようになったのも、撮りたいものがそこにあるからなんです。だから、αは私の人生に大きな広がりをもたらしてくれた。その一言に尽きると思います。
――最後に、αユーザーへのメッセージをひと言お願いできますか? 私は友人に「カメラに関しては、機材が人を育ててくれるよ」とよく言っています。カメラやレンズなどの道具が人を育ててくれるから、迷ったら一段上の機材を買った方がいい、というのが私の持論です。私自身もターニングポイントにちょっと贅沢なレンズを買い足して世界が広がった経験があります。よく「撮る被写体を決めてからレンズを選ぶべき」という方もいらっしゃいますが、買ってから何を撮るか決めてもいいと思うんです。使ってこそイメージが広がって何を撮るべきかが見えてくると思いますし。そして私も、α7R IIIを新たに手にしたことで、いつもとは違う挑戦ができるのではないかと思っています。
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