Impressive TRAIN Journey
鉄道写真家 中井精也 氏
Vol.11
中井氏が鉄道風景を印象的な作品にすべく旅するデジタルカメラマガジンとのタイアップ企画がスタート!本誌では見られない撮影裏話を毎月コラム形式でお届けします!
こんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回の撮影地は福島県です。 背景には雪をたたえた吾妻連峰。手前一面に広がるのは白い梨の花。ここは「庭坂の大カーブ」と呼ばれる福島県では有名な撮影ポイントです。 最初の1枚は、レンズFE 70-200mm F2.8 GM OSSで撮影しました。この美しい風景を横切る美しい列車は、山形新幹線のイベント列車「とれいゆつばさ」号です。果物の産地として有名なこの付近は4月から5月にかけて、桃やリンゴ、梨などの花が咲き乱れ、とっても贅沢な風景を見ることができます。
次の写真は、レンズをFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSにして撮りました。 さてこの写真のポイント!背景にそびえる吾妻小富士をよく見てください。斜面に真っ白なウサギがいませんか?残雪が残る吾妻小富士の斜面に、この白ウサギが現れると、田植えの時期の到来だと言い伝えられているそうです。福島に春を告げる白ウサギ。とてもメルヘンチックです!このウサギを目立たせたくて、本当なら主役であるはずのつばさ号を低速シャッターでぶらしてみました。その結果、斜面の白ウサギに自然と目が向く構図になっているかと思います。何が自分にとって主役なのかを意識しながら撮影することは、大切だと思います。
さて3枚目の写真ですが、カメラは今回もα7R III。そして レンズはFE 70-200mm F2.8 GM OSSです。 皆さんご存知の通り有効画素数が4,240万画素を誇る超高画素なカメラですが、このカメラ、高解像を生かした遠景撮影などで特に威力を発揮してくれます。僕の大好きな前ボケを生かした撮影でもレンズの力と相俟って(あいまって)、まろやかで優しいボケを生み出してくれます。まるで油絵の筆でキャンバスをなでたようなぼけ味に、惚れ惚れ(ほれぼれ)してしまいます。 ぼけの部分は優しく、遠景の列車の部分はシャープと、ボディとレンズが一体となって、まさに僕の理想とする描写力を見せてくれました。
ちなみに撮影状況はこんな感じです。桜の木の枝がつくる遠景の隙間に新幹線がくるような構図を作って撮影しています。手前の桜の近さと、新幹線との距離(遠さ)がポイントです!
最後にご紹介する写真です。 四輪駆動車で林道に分け入り、険しい山をゆくつばさ号を撮影できるポイントを見つけました。列車はかなり小さめですが、α7R IIIの解像力が高精細に描写してくれました。盆地ではあんなに春色だったのに、山間部の春はまだ遠そう。もう少し先、みなさんがこの連載を読んでいるころ、新緑が輝くころに、また撮影に来たいと思いました。 そして今回で約1年続いた「Impressive TRAIN Journey」も最終回を迎えることとなりました。毎月お付き合いいただいて本当に有難うございました。
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