写真家 小橋城 氏
圧倒的に軽くて高性能な
FE 400mm F2.8 GM OSSとα9と
の組み合わせで広がる未知なる世界
プロスポーツ領域の第一線で活躍する写真家・小橋城氏に、FE 400mm F2.8 GM OSSを実際に使用した感想や、その魅力と実力について話を伺った。
小橋 城/写真家 1974年生まれ、東京都出身。写真家でもある父の背中を見て育つ。日本写真芸術専門学校卒業後、一般社団法人日本スポーツプレス協会会長でもある水谷章人氏に最後の弟子として師事する。スキーを中心に各種スポーツを撮影し、雑誌、広告などで作品を発表している。また、2014年、自身初の写真集『FACE』(桜花出版)を出版。
ーー今回はFE 400mm F2.8 GM OSSで手持ちで撮影していただきましたが、その感想をお聞かせください。
400mm F2.8での撮影は本当にちょっとのレンズの微妙な動きでフレーミングが大きく変わってしまいます。特に今回の撮影ではインパクトのある写真を追及するため、選手にできるだけ寄って大きく写しているのでフレーミングがよりシビアでした。総じて、非常に繊細かつ的確にレンズをコントロールすることが求められる撮影でした。その中でも特に今回のシンクロのバク宙の撮影は、選手の一瞬の動きに合わせて素早く小さな円を描くような非常に繊細なフレーミングが求められましたが、手持ちで撮影できたことでその繊細なフレーミングがしっかりとできました。一般的な400mm F2.8 のレンズで手持ちすると、その重さで筋肉がブレてしまい、そういったブレがフレーミングに影響することで、正確なフレーミングができなくなってしまいます。また、一脚を付けて撮影しようにも動きに縛りがでてきてしまうので、今回のような小さな円を描く繊細なフレーミングは困難です。ヨンニッパ※でありながら圧倒的に軽量なFE 400mm F2.8 GM OSSでなければ、この精緻なフレーミングはまずできなかったと思います。
※焦点距離400mm、開放F値F2.8のレンズの俗称
この写真の良いところは、毎日の練習によって鍛え上げられた筋肉と技術の美しさをコンマ何秒の世界の美しさとして1枚の中に軌跡として表現できていることです。このように、肉眼では見ることができない瞬間的な筋肉美や躍動感をしっかりと1枚の中で表現できるのが、まさに写真の凄さだと考えています。 こういった素晴らしい写真を撮るためには、まず撮影者がしっかりと被写体を追えていないといけません。さらに撮影者がしっかりと追えていたとしても、カメラ側がしっかりと応えてくれないといけません。そういった撮影者の技術とカメラの技術の両方がうまくマッチングすることでこの写真のような「本当にこれは自分が撮ったのか?」と驚くような作品が撮れるのだと考えています。“自分がしっかりと追えてさえいれば間違いなく撮れる”、“カメラはしっかりと動いてくれる”というのが今回撮影した印象です。また、α9のブラックアウトフリー連写によって、コンマ何秒の世界でもしっかりと被写体が見えていたので、ノンストレスでフレーミングができました。このシーンではブラックアウトありの従来のメカシャッターのカメラでは、被写体の動きを逃していた可能性が高かったと思います。加えて、20コマ/秒の連写のおかげで、コンマ世界での最高の瞬間をしっかりと撮影することができました。
ーーレンズの描写性能の印象をお聞かせください。 開放F2.8で撮影していても周辺まで像が流れることなく非常にシャープでした。このレンズの高い描写性能のため、シンクロのジャンプの写真では、被写体の肉体の美しさはもちろんのこと、脇役である周辺の水滴まで流れることなく美しく描写されています。その水滴により、メインの被写体の美しさもより一層引き立ち、写真全体に神秘的な美しさが生じていると思います。レンズ性能が悪くて周辺の水滴が流れてしまうと、この写真のような神秘的・宇宙的な印象が損なわれて興ざめしてしまうかもしれません。これはFE 400mm F2.8 GM OSSならではの美しさだといえます。
ーー棒高跳びの撮影でも手持ちで撮影していただきましたが、棒高跳びでも手持ちならではのメリットは感じましたか? はい、今回のアングルでの棒高跳びの撮影を一脚付きでやるとなると、まず選手が上に上がるタイミングで自分がレンズごと後ろにグーッと大きく下がる必要があります。そして、その後すぐに選手が落ちるので、今度は素早く前に出る、という動きが必要になります。また、動きがどうしても縛られて固くなってしまうので正確なフレーミングを行うのは困難です。今回は手持ちで素早くかつ柔らかい動きができたことで、選手が上に上がり始めるところから着地するまでを思い通りのフレーミングでしっかりと追い続けることができました。
ーーAF性能についての印象をお聞かせください。 α9以降のソニーのAF性能はずば抜けていいと思っています。AFが抜けるようなシーンでもAFポイントの位置など設定をシーンに最適なものにしっかりと変えることで確実にピントが合ってくれました。シーンに応じてAFポイントを適切な位置に置くことと、被写体をしっかりと追うことさえできていればフォーカスがしっかりと食いついてくれます。また、連写の途中で抜けたとしても20コマ/秒の連写で1コマ後にはピントがしっかりと戻ってきます。これまで使用してきていたFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSと比較しても、今回のFE 400mm F2.8 GM OSSを使用しているときのほうが格段にAF性能が高くなっているように感じました。今回新規のフォーカスアクチュエーター(XDリニアモーター)の搭載により、AF駆動速度が速くなったとのことですが、その恩恵が表れていると思います。400mm F2.8の浅い深度でもここまでシャープにピントがしっかり来るのか、とビックリしました。凄い写真を撮るためには、カメラの技術と自分の技術が両方が高くないといけない。今回、AF性能がこれだけ進化しているということで、いままで撮れなかったもっと凄い写真が撮れるようになると思います。例えば、いままでだと「ぼけを優先したいからF2.8で撮影したいけれども、F2.8だとピントが甘くなってしまう可能性があるからここはF4で撮っておこう」と考えてしまうようなシーンでも、このレンズであれば躊躇することなくF2.8で撮影できます。
ーー瞳AFについての印象もお聞かせください。 走り幅跳びの撮影で瞳AFを使いましたが、走ってくるところまでは瞳AFでピントがあうだろうとは思っていましたが、跳んで空中にいる時であったり、落ちて着地した後などは厳しいと思っていました。実際は、どちらのシーンも瞳AFでしっかりと追従して撮影できました。これはいい意味で予想外でした。幅跳びは着地した直後に選手が横にスライディングして顔の位置が大きく動いてしまうのと、選手の前に砂が舞ってしまうので、通常のAFモードで撮影しているとベストな構図で瞳にピントがしっかりとあっている写真を撮るのは難しいです。
こういう動きの予測が難しいシーンでも瞳にピントが合い続けるというのは本当に素晴らしい機能ですね。瞳AFを使うことによって、スポーツシーンにおいてもいままでは撮れなかったような写真が撮れるようになる、そんな可能性を強く実感しました。
またシンクロナイズドスイミングでも、選手が水滴を巻き上げながら高速で回転するシーンを瞳AFで撮りましたが、被写体の動きがとても速いのと、水滴が顔の前に来ているので、普通のAFでは瞳にピントを合わせ続けるのは極めて難しいシーンでした。今回の瞳AFを使った撮影では、選手が一度後ろを向いた後の、振り向きざまの顔が真横を向いているタイミングでもう既に瞳に合焦できていて驚きました。普通のAFでは動きについていけないか、顔の前にある水滴にピントがあってしまうかで、瞳にピントがあっている写真はまず撮れないと思います。瞳AFはそういう難しいシーンを普通に撮れるようにしてくれる、画期的な機能だと実感しました。 今回の撮影でも瞳AFやサイレントのような画期的な機能を持つα9の実力を実感し、それに加え圧倒的に軽くて高性能な400mm F2.8レンズとの組み合わせで未知なる世界が広がるに違いないと確信しました。今後も、我々をどのような商品で驚かしてくれるのか大いに期待したいです。
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