フォトグラファー 大西靖 氏
あり得ないぐらいの軽さが、狙い通りの写真を撮るための手持ち撮影を実現する
FE 400mm F2.8 GM OSS
スーパーフォーミュラ、スーパーGTなどモータースポーツの分野で活躍する大西靖氏。オフィシャルフォトグラファーとして各地を回り、レースを撮り続けている大西氏が、G Master 超望遠単焦点レンズ FE 400mm F2.8 GM OSSを手にスーパーフォーミュラを撮影。撮影した感想や、その魅力と実力について話を伺った。
大西 靖/モータースポーツフォトグラファー 1958年生まれ、東京都出身。鉄道写真から写真の世界に入り、動物写真家・田中光常氏に師事。1986年からレース撮影を始め、88年より『オートスポーツ』誌カメラマンとなり、さまざまなカテゴリーのレースを撮影する。レースの他にも自動車専門誌を中心に活動する。現在はスーパーフォーミュラ、スーパーGTのオフィシャルフォトグラファー、ル・マン24時間耐久レースなど年間20レース以上を撮影する。日本レース写真家協会事務局長。
ーー今回、FE 400mm F2.8 GM OSSで撮影していただきましたが、実際に撮影されてみて感じられた印象をお聞かせください。 まず、400mm F2.8のレンズとしては、本当にあり得ないぐらいの軽さだな、と驚きました。ボディも軽いこともあって、一日中サーキットで撮影をしていても身体への負担も少なく、機動力高く撮影ができましたね。ヘアピンのようなフォローする距離が長いシーンで撮影の成功確率を上げるためには、手持ちでの撮影が必須です。一脚では途中で引っかかってしまい、どうしても最後まで振りきることができません。今回の400mmが軽くて手持ち撮影ができたからこそ、限られた時間の中で狙い通りの写真を撮ることができました。また、ホームストレートも横から撮影しましたが、ホームストレートは場所の制約が大きいので、一脚なしで撮影ができたほうがフレキシブルに撮影ができるので有利です。
とても狭いピット内で手持ちで撮影できるというのもとても便利でした。例えば、一般的な400mm F2.8だとピットではとても撮影できませんが、このレンズであればピットでも軽快に撮影できます。軽くて手持ち撮影ができて機動力があるので撮りたいシーンを逃さずに撮影できる。大きなメリットだと思います。ピット内では手ブレ補正をONにして1/160sec.で絞り2.8で撮影しました。F2.8の明るさと強力な手ブレ補正のおかげで、感度を抑えて高画質に撮影することができました。また、明るさだけでなく、手前のぼけを美しくすることができ、さらに目だけにピントが合っている写真を撮れるという点で、FE 400mm F2.8 GM OSSは非常にいいです。写真としても、前にぼけた被写体を入れた構図が取れるので撮影時のフレキシビリティが大きく向上します。また、フレキシビリティという点では、α9のサイレント撮影で3mぐらい離れたところから撮影していたので、ドライバーにも撮影しているのを気づかれにくく、結果的にいい写真が撮れやすかったですね。加えて、色の出方がナチュラルで綺麗なところも良いと思います。特にオレンジに近い赤色やブルーなど、飽和しやすい被写体でもしっかりと色が出てくれます。
ーー今回の撮影を通して、AF性能についての印象をお聞かせください。 AFのあたりは非常に良かったです。こちらが合わせたいところにしっかりと持って行きさえすれば、AFはしっかり来ていました。今回、250km以上のスピードがでているコーナーで、被写体が迫ってくるところを連写で振りながら追うような撮影の仕方をしましたが、AFも遅れることなく狙い通りのところにしっかりと追従し続けていました。フォーミュラのスピードにしっかりと追従できるということは、他のスポーツシーンでも問題ないAF性能がでるはず、と考えています。測光についてもAF位置連動で撮影していましたが、露出が安定していて全く問題ありませんでした。AF, AEともにしっかりと信用できるので、今年もスーパーフォーミュラのオフィシャルで撮影するのにα9とGマスターをどんどんと使っていこうと考えています。
ーー今回、テレコンを装着して撮影していただきましたが、テレコン装着時の性能についても感想をお聞かせください。 テレコンを付けてもAFが遅くなる感じが全然ありませんでした。撮影していて1.4xについてはテレコンを装着していることを忘れてしまうぐらいのレベルでした。2.0xをつけるとそれだけ被写体が大きくなるのでフレーミングが難しくなるのですが、それでもしっかりとフレーミングできてさえいればAFや描写という点ではバシッときていましたね。フォーミュラの場合、形が複雑でAFが合わせにいくところがあるのですが、テレコンをつけた状態でもしっかりとAFは合っていたし、レンズの切れも非常に良かったです。元のレンズの性能が圧倒的に高いからこそ、2倍テレコンをつけてもこれだけの性能が出せるのでしょうね。これであれば800mm F5.6の単体レンズとしても全く問題なく使えます。
ーー操作性面などで何か気になる点はありましたか? 今回手ブレ補正MODE3を使って撮影しましたが、手ブレのより戻しがないおかげでフレーミングが安定していてとても撮影しやすかったです。手ブレ補正を入れて撮影していてもファインダーがひっかかるような感覚や違和感は全然ありませんでした。また、三脚座がコンパクトに設計されているのがとてもいいですね。もっと長めのものが多いのですが、それだと収納に苦労してしまうため、このぐらいが丁度いい長さです。ボタンの位置も構えた時にちょうどいい位置に配置されていて、縦位置で撮影していても違和感がありませんでした。そういった細部の重要なところまで、しっかりと撮影者のことを考えて設計されているところがいいですね。
ソニーのフルサイズミラーレスを使うようになってから、新しい撮影の仕方をトライしてみようという気がどんどん湧いてきています。小さくて軽い。相手に警戒されず自然に撮ることができる。そういった強みを生かして新しい撮影スタイルに挑戦しています。“ここでは高感度性能を生かしてストロボ使わずとってみよう”とか、“ここではローアングルを試してみよう”とか。撮り方という点ではある意味、マンネリが生じてきていたところに、ミラーレスの波がきたことで新しい撮影スタイルを思い起こさせてくれました。これからまた1・2年でソニーのシステムはモータースポーツ撮影のプロの間でも一気に普及してくると思います。 周りのカメラマンの間でも、開発発表以後、“400mm F2.8が出るということは、次はさらにその上もでるな”という話がよくでています。レンズが早いペースでずっと出続けているのはソニーの非常に良いところだと思います。このレンズもそうですが、FE 12-24mm F4 G やFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSなど、どのレンズも非常に性能がいいので、これからのレンズのラインアップにも期待しています。
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