天体写真家/沼澤茂美 1958年新潟県神林村(現村上市)出身、在住。東京デザインアカデミー建築士科及びパース専門課程卒業。建築設計事務所勤務を経て1980年に新潟郵便貯金会館プラネタリウムに入る。1984年独立して日本プラネタリウムラボラトリー(略称:JPL)を設立。天文・宇宙のイラストや天体写真の仕事を中心に、NHKの天文宇宙番組の天体撮影や撮影指導、取材活動を行ってきた。天体撮影に関する著書多数。
長年、天体と向き合い、撮影を続けてきた私にとって星空は観測や記録の対象から、自身の内面を表現する手段、あるいは媒介者のような存在になっていった。星空の下に立ち、時間や空間を意識しながら星空とかけひきするような感覚が楽しく感じられる。 1970年代のフィルム時代から天体を撮影し続けてきた私にとって、現在のデジタルカメラ、とりわけミラーレス機の進化は驚くべきものだ。ソニーのαシリーズに搭載されている裏面照射型CMOSセンサーなどはその最たるものだろう。その昔、裏面照射型の撮像素子は完全に特注品で、車が買えるほど相当勇気が必要な投資額が必要なものだった。それが、今は手頃な価格で手にすることの恩恵は計り知れない。 天体撮影をする上で注目したいα7R IIIの機能は「ブライトモニタリング」だ。従来の一眼レフカメラの光学ファインダーでは不可能だった真っ暗な中での正確なフレーミングがEVFや液晶モニターで確認しながら容易にできるのは素晴らしいことだ。今回撮影で使用したα7R IIIは、有効4240万画素の裏面照射型撮像素子と高性能画像エンジンBIONZ Xとのコンビで、高階調、低ノイズ、そして高精細な天体写真を比較的容易に撮影することができるようになった。FE 16-35mm F2.8 GMとの組み合わせはすばらしく、特に広角端、開放でのパフォーマンスは天体撮影に最適だと感じる。
天体撮影は天候をはじめ街灯りやさまざまな条件によって臨機応変な対応を余儀なくされる。漆黒の夜空が空全体に広がっているような条件を理想と考える人もいるが、実際、地球上にすむ私達はさまざまな悪条件の中で撮影するのが常である。私はどんな条件でも「その時でなければ表現できないかけがえのない1枚が生まれるはずだ」と思い、天空の星空と対峙している。フィルムカメラ時代から今日まで、40年以上試行錯誤を続けながら、さまざまなカメラやレンズで星空を撮影してきた。フィルムからデジタル、そしてミラーレス機など、その時々でベストと思われる機材を選択し続けて今に至っている。 現在はソニーαシリーズをメインカメラとして使用している。その理由はたくさんある。「卓越した高画素フルサイズミラーレス機」ということはもちろんだが、ストレスなく撮影に集中できることと、私の意志を的確に作品に反映できることが、何にも勝る選択理由ではないかと思う。あらゆる撮影においてα7R IIIを使わない環境は現在考えられない。そして、今後α7R IIIとともにどのようなシーンに巡り会えるのかがとても楽しみだ。(談)
今回の撮影でこれぞ!と感じた2枚を、8月号の『月刊カメラマン』で公開しています。ぜひプリントでご覧ください。また、『WEBカメラマン』では現場風景を動画で紹介しています。そちらもぜひご覧ください。
https://cameraman.motormagazine.co.jp/_ct/17188574
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