至高のフルサイズミラーレス
至極のポートレート
モデル：黒木麗奈　さん　ヘアメイク：MIHO
スタイリスト：東 久美子　さん

ハイアマチュアからプロフォトグラファーにまで、幅広く高い支持を受ける「ソニーα7Rシリーズ」。その最新モデル、「α7R III」が2017年冬に発売された。4,240万画素という圧倒的解像力に、高速＆高精度AF、高速連写、強力なボディ内手ブレ補正を備えたもはや"至高"ともいえるフルサイズミラーレス機α7R IIIを携え、写真家・舞山秀一氏がポートレートに挑む。

撮影者のパフォーマンスを最大限まで引き出してくれる一台

上写真のアザーカット。連写し、髪の形と表情がベストな一枚を選んだ。髪が目にかかることもあったが、AFは迷うことなく瞳を捉え続けていた

これらのカットは「風になびく髪の動きを捉えた寄りのカット」というイメージで撮影に挑んだ。思いきり顔に寄り、表情と髪の揺らぎがベストになる瞬間をじっくりと狙った。結果は狙い通り。目に髪がかかっても、追随性能の高い「瞳AF」は安定して瞳を追いかけてくれた。また、画面の隅まで広範囲かつ高精度のAFセンサーがカバーするので、構図の自由度も高い。ロケーションを生かした引きの絵でも、「瞳AF」がしっかりと瞳を捉えてくれる。一度体験するともう手放せない、αシリーズが誇るポートレート撮影に欠かせない機能だ。
　画質に関しては言うまでもなくすばらしく、風に暴れる髪の毛一本一本、水面の質感、曇天の曖昧な濃淡も精細に再現している。4,240万という超高画素ながら、秒間10コマの連写は驚くべき業。さらに5.5段分のボディ内手ブレ補正の強力なサポートで、片手でノーファインダーで動き回ったり、モデルと一緒に走ったり、アクティブな撮影も可能にしてくれるので、右写真のような一瞬の自然な表情を捉えることができる。もちろんここでも「瞳AF」は確実に瞳を追ってくれた。光量の足りないシーンでも三脚なしで問題なく撮れるのはありがたい。
　当日の撮影は予定より2時間早く終了。スピーディーに行える理由のひとつに、ミラーレス機の強みであるボディのコンパクトさがあるだろう。撮影者が身軽に動けるということはもちろん、大きな一眼レフカメラに比べてモデルへの威圧感も格段に減る。お互いにリラックスした状態での撮影が可能になり、短時間でもさまざまな表情や仕草を引き出すことができるからだ。そしてミラーレス一眼カメラのもうひとつの魅力はなんといっても“ファインダーに映し出された像がそのまま写る”こと。明るさや色みを認識しながら撮影できるので、一眼レフカメラではありがちだった露出やホワイトバランスの凡ミスは確実になくなる。
　今回、レンズは普段から愛用しているDistagon T* FE 35mm F1.4 ZA をメインに使った。絵に表れる親密さ、まるでそこにいるかのような濃密さが気に入っている。α7R IIIと組み合わせると驚くほどシャープな描写なので、好みにもよるがポートレートの際は現像で少し柔らかく仕上げるといいかもしれない。なにしろ画素数があるので、仕上げの段階でトリミングや画像編集で自分の好みに持っていくことができる。そういう意味でも自由度の高いカメラだ。
　安定感のある「瞳AF」、文句のつけようのない連写スピード、強力な手ブレ補正機能、そして片手で撮ることもできるコンパクトなボディサイズ。しかも、圧巻の高画素・高い画質。一瞬のシャッターチャンスを逃すことなく、しかも最高の形で切り取ることができる。まさにカメラマンのパフォーマンスを最大限に引き出してくれる一台だといえる。