Majestic TRAIN- 威風鐵道 -
鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.3 × FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS

こんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 第3回目となる「威風鐵道」の被写体は、新型へと生まれ変わった小田急ロマンスカーです。東京生まれ、東京育ちの僕にとって、子どものころからロマンスカーはいつも特別な存在でした。 何より憧れたのは、先頭部のパノラマ席。いつも乗っている普通電車にはない、いや新幹線にすらない、そのスペシャルなシートに、いつか座りたい！ と子供の頃いつも願っていました。 6歳のころ、そんな憧れのシートに乗れるチャンスがとうとう僕にもやってきました。しかもその当時の最新3100形NSE（1963年から2000年まで運用　当時の愛称はNew Super Express ）にです！テンションが上がりすぎた僕は、ワクワクし過ぎて前夜まったく眠れず、新宿で乗車してすぐに爆睡。終点の箱根湯本駅で起こされて大泣きという悲劇に終わりました。あまりに不憫に思ったのか、両親が帰りも展望席を取ってくれ最後尾ではありましたが、夜の展望席で目をキラキラさせて乗ったことを今でも鮮明に覚えています。 それでは今回、最初の1枚になります！

時代は流れロマンスカーも進化し、活躍中の最新モデルは、バラの色を基調とするローズバーミリオンが光輝く70000形GSE （Graceful Super Express　現在の愛称）です。ホームから超望遠レンズでGSEのフォルムを切りとると、展望席には子どもの姿が。きっといつまでも忘れない旅路になっていることでしょう。

そして次の1枚です。僕は特定の被写体を狙うとき、必ずテーマを持つようにしています。今回は「GSEと沿線の風景との融合」をテーマにしました。最初に狙ったのは、箱根の美しい緑とGSEのローズバーミリオンの色の融合。山の中を列車が走る場所を見つけ、低速シャッターで流し撮りします。今回は列車と自然が溶け込むように1/4〜1/8秒という低速シャッターで流したため、難易度はかなり高め。そこで威力を発揮してくれるのが、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSに搭載されている手ブレ補正機構です。手ブレ補正モードスイッチでMODE2に切り替えると、流し撮り時に効果的な補正が効いて、成功率が飛躍的にアップするのです。緑とオレンジが融合する瞬間を、みごとに撮ることができました。

3枚目の写真は木々の美しいグリーンを意識した構図です。流し撮りをしながら瞬時に構図を変えて、狙いを明確にしていきます。動画でも僕の撮影シーンをご覧ください。かなり遠い場所から、突然あらわれる列車を流していることがお分かりになると思います。最初に何回か振っているのは、練習（素振り）です。

撮影シーンの動画はこちら

さて今回「GSEと沿線の風景との融合」がテーマだと述べましたが、そのテーマでのベストショットが4枚目のこの写真になります。流れが比較的ゆるやかで水が綺麗な場所に棲息するというハグロトンボとGSEを撮ることができました。 絶えず飛び回っているトンボとGSEが通過するタイミングが合うかドキドキしましたが、ちょうどトンボが羽根を休めた瞬間に撮ることができました。それにしても、アウトフォーカスでも存在感を失わないGSE。自然の美しさと溶け合い、ステキな風景が完成しました。

その他にも、こんなステキな写真が撮れましたので是非ご覧ください。

それでは来月もこの場所で！中井精也でした。