鉄道写真撮影におけるα7R IIIの
ポテンシャルの高さ

鉄道写真家 山下大祐氏に、α7R IIIをどのように駆使して鉄道写真を撮影しているのか話を伺った。

山下大祐 / 鉄道写真家 1987年兵庫県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、ロケアシスタントで多様な撮影現場を経験する。2014年から(有)レイルマンフォトオフィス所属。鉄道会社のカレンダーや車両カタログ等の撮影に携わるなか、カメラ広告、鉄道誌のグラフ等で独創性の高いビジュアルを発表している。日本鉄道写真作家協会会員。

α7R IIIの第一印象は「約4240万画素のフルサイズセンサーを持つカメラにしては非常にコンパクトで軽量だな」です。同時にミラーレスカメラの大いなる可能性も十分に感じましたね。鉄道写真は走行中の列車を撮ることが多く、そのため連写性能や被写体に追随するAF性能が大切だとお考えの方が多いと思いますが、α7R IIIは最高約10コマ/秒の高速連写性能とα９譲りの高速・高精度AF性能を持つので、今までのミラーレスカメラでは難しかった約300km/hで疾走する新幹線を確実に捉えることも難しいことではありません。また、AFのエリアが広いことで作画の自由度が増します。これもミラーレス機ならではの大きな特長だと思います。私がさらに感心したのは、そうしたカメラとしての基本性能の高さはもちろんのこと、やはりその画質の良さですね。自然風景の中に溶け込む鉄道を撮影する時、画面の隅々まで見事に描写する力こそ、私がまさにカメラに求めていたものです。α7R IIIはダイナミックレンジの広さも特筆すべきものがあります。ハイライトからシャドーまでしっかりと捉えてくれます。逆光で輝度差が大きく条件の厳しい撮影状況でも、シャドーがつぶれずに、微妙なトーンまでも確実に描写してくれます。またEVF（電子ビューファインダー）もよくできていると思います。従来の光学ファインダーの一眼レフカメラでは、背面液晶画面で再生して、その都度確認しなければなりませんでした。しかしα7R IIIでは、撮影直後の確認も、プレビューの拡大も、WBを変更した時の色味の確認も超高精細なファインダーでできるので、とても重宝しています。さらに動画性能の高さもα7R IIIの大きな魅力といえるでしょう。４Kの記録フォーマットのXAVC Sを搭載し、最大100Mbpsの高ビットレートで鮮明な鉄道風景の動画を撮影できるのは、仕事とはいえ楽しいものです。

Eマウントレンズの使い勝手が良いのもいいですね。専用設計のG Master、Gレンズを様々なシーンに合わせて使いますが、その解像力の高さ、ボケの美しさが優秀なだけでなく、「これは難しいかな」という撮影状況でも、フレアやゴーストが少なく、作画がしやすく頼りになりますね。私は今後もα7R IIIの高いポテンシャルを感じつつ、全国の鉄道風景を追いかけていくことでしょう。

そう何度も見ることができない理想的な雪煙があがった。絶対に逃したくないこの瞬間に、メカシャッターでの秒間10コマは非常に大きなメリットである。

開放から優れた解像を見せてくれるG Masterシリーズは、絞りの効果を思い切り生かすことができ、画づくりにも幅が出る。やわらかい印象にしたいので、クリエイティブスタイルからコントラストを下げ、露出はハイキー目に撮っている。

逆光シーンでの豊かな階調こそα7R IIIにもっとも驚かされた点だ。ハイライトは光源のひとまわり外から、シャドーは光の当たらないシルエット部まで、それぞれにトーンを出すことができるほど豊かに情報が詰まっている。

今回の撮影でこれぞ！と感じた2枚を、9月号の『月刊カメラマン』で公開しています。ぜひプリントでご覧ください。また、『WEBカメラマン』では現場風景を動画で紹介しています。そちらもぜひご覧ください。https://cameraman.motormagazine.co.jp/_ct/17204635
※2018/9/20公開予定

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