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αと巡るアジア・奇界遺産の旅
<前編:タイ>
写真家 佐藤健寿 氏×α7R III

α Universe editorial team

世界各地を巡り、美しくも不思議な世界を写真に収めてきた佐藤健寿さん。今回はα7R IIIを手にアジア・奇界遺産の旅を2部に分けてお届けする。前編はタイ、旅の裏話とともに語ってもらった。

佐藤 健寿/写真家 武蔵野美術大学卒。フォトグラファー。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・執筆。写真集『奇界遺産』『奇界遺産2』は異例のベストセラーに。ほか著書に『THE ISLAND - 軍艦島』、『SATELLITE』、『世界の廃墟』など。TBS系「クレイジージャーニー」、NHK「ニッポンのジレンマ」ほかテレビ・ラジオ・雑誌への出演歴多数。
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Q.今回の旅の大きなテーマを教えて下さい。 タイ自体はこれまで何度も訪れていて、今回訪れる場所も、実は過去にも行ったことがある場所の再訪がメインでした。ただいずれも前に撮影したのはもう10年以上前だったりしたので、そのあたりがどう変わっているかを見てみたいと思いました。

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 56mm,F4,1/250秒,ISO 64

Q.タイと言えば旅先としても人気のある国ですが、なぜ選ばれたのでしょうか? バンコクやプーケットなど、人気の都市がいくつかありますが、今回はどの都市に行かれましたか? 主にバンコク郊外とあとはタイ中部のコラートという町です。バンコクは誰でも知っていると思いますが、コラートはあまり普通は知らないかもしれません。タイに珍奇なものが多い理由は、正直いって何度来てもわからないです(笑)。ただひとつ言えるのは、人々が異文化的なものにすごく寛容であるのは事実だと思います。変わったものや変わった人を排除せず、まったりと共生する、というか。だから観光本なんかではよく、微笑みの国、と言われていたりしますが、その一方で珍奇なものやちょっとグロテスクなものまで普通に並んでいる。そういう独特のバランス感覚をもった国ってタイ以外ではあまり思いつかないです。

輪切りにされ、雑然と放置された謎の飛行機たち

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 31mm,F5,1/1000秒,ISO 100

Q.まずはこの飛行機の写真について教えて下さい。これはいったいどういった状況なのでしょうか? ここはバンコクの郊外なのですが、見ての通り、飛行機の機体が輪切りにされて雑然と放置されています。飛行機の墓場、みたいな場所は各国どこにもあるんですけど、こういう風に粗大ゴミみたいに捨てられている場所はちょっと他にないです。これがまだ田舎の荒地ならまだしも、隣には普通に道路も走っているし、学校もあったり、少し先には高層ビルも立ち並んでいる住宅街のエリアで、風景とのギャップがすごい。地元の人に聞いてもいつからこれが捨てられているのか、誰が捨てたのかもわからないという不思議な状況ですね。実は人も住んでいて、その人たちが場所を管理しているのですが、詳細を聞いても誰も教えてくれないので結局どういう経緯でこうなっているのか謎の多い場所ではあります。

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 67mm,F4,1/1000秒,ISO 100

Q.ここでの撮影時にα7R IIIの機能、性能はどのように生きましたか? ここでは主に広角レンズを使って撮影しました。特に廃墟的な場所ではよくあることなんですが、飛行機の中は真っ暗で、外はかんかん照りで、外から刺す強い光と中の暗さの中間を取ることがとても難しいんです。でもα7R IIIのダイナミックレンジが本当に広いので、とりあえず明るい方に寄せても暗い方に寄せても、後でRAWから補正できるのでとても助かりますね。

α7R III,15mm,F4,1/125秒,ISO 2000
α7R III,15mm,F4,1/160秒,ISO 100

Q.α7R IIIについて、これまで使用してきた中で印象が変わった部分や、今回の撮影旅行で新たに見つけた魅力などあれば 一年前に発表された時にも少し使ってすぐ感じたことですが、もうミラーレスとして完成系の段階に入っているなと。機動性と高性能を両立して、普通の一眼でできたことは全て網羅した上で、もうその先に行っている。一年前は断言するのはまだためらわれましたが、一年使ってみて、今はもうαを使わない理由がないなという風に感じています。

α7R III,15mm,F4,1/125秒,ISO 1600

Q.今回はどのレンズを使用しましたか? 今回は一箇所一箇所あまり時間もなく、またロケハンなどもできなかったので、とにかく柔軟に対応できるようFE 24mm F1.4 GMの単焦点とFE 16-35mm F2.8 GM、FE 24-70mm F2.8 GMのズームレンズを使用しました。どのレンズも線が非常に細くて、繊細かつ、階調がとてもなめらかなのでどんな被写体にも柔軟に対応できます。専用設計ならではのAFスピードや精度も魅力的ですしね。
一方で専用設計ではないレンズもマウントアダプターを介して使っています。シーンによってはレトロな仕上がりにしたい場面もあったりしますので。このように気分やシーンによって、様々なレンズを使えるのもαの楽しさだと思います。
ただ、純粋に描写力や操作性などで言うとやはり専用設計レンズの方が格段に上で、やはりαの性能を最大限出すには純正のレンズが良いと思いましたね。

α7R III,15mm,F4,1/125秒,ISO 500

タイというと、特にバンコクの中心部なんかは東京と比べても綺麗だなと思わせるくらい大発展を遂げていますが、町の郊外にはまだこういう奇妙な光景があって、その清濁あわせのむようなバランスがある意味とてもタイらしくて面白いなと思いました。

これぞ奇界遺産、「地獄寺」

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 48mm,F2.8,1/4000秒,ISO 100

Q.次に訪れたのは「地獄寺」ということですが、この「地獄寺」について教えて下さい。どういった場所にあるのでしょうか? 寺があるコラートは一応タイでは第二の都市と言われるくらいに大きい町です。ただ観光的な要素はほとんどないので、日本人で行く人は少ないですね。都市といっても実際はかなり田舎町といった風情で、外国人も来ないので町には英語なんかも全然ないです。さすがに今は変わってきていると思いますが、昔来た時は英語も通じないのでお寺を探すのも大変でした。

Q.地獄寺の成り立ちや、タイの中での立ち位置などを教えてください お寺の場所は、もともと何もなかった荒野だったそうなんですが、70年代頃から住職がこの場所に住み着いて、人々の寄進を集めながら段々とこういうお寺を作っていったそうです。入り口からしてゴリラが並んでいたり、パッと見は怖い遊園地ですよね(笑)。それで中に入るとさらに奇天烈なコンクリート像が数千体規模で並んでいて、多分日本人が知らずに来たらここがお寺だとはわからないほどだと思います。 ここには10年前にも一人で来ていて、一体何を意味しているんだろう、と思いながら撮影していたんですが、結局全然わからなくて。それで今回はこのお寺のコンクリートを作った人を探し当てて、その背景とか石像の意味を聞きながら撮影することができました。タイってアジアでも一番敬虔(けいけん)な仏教国で、バンコクに限らず本当にお寺が多いんですよね。だから休みの日に若いカップルだったり、親子連れで散歩みたいにお寺に行ってお参りして帰るのはすごく普通のことです。そういう文化背景の中で、ある意味では子どもを楽しませつつ、悪いことをすると地獄に落ちるよ、ということを少し怖がらせてでも教えるような目的なんだそうです。
だからここで示されている人間の悪事も、例えば「美に執着しすぎてはいけない」とか「暴走族になってはいけない」とか、意外と現代的なものが多くて、古典的な仏教戒律的なものにとどまらないんです。つまり一番面白い場所なんですけど、実はすごくまじめに作られたもので、ひとつひとつの像に意味があることがわかったので、奇妙な感動を覚えましたね。

α7R III,15mm,F2,1/500秒,ISO 100
α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 70mm,F2.8,1/640秒,ISO 100

Q.この場所の持つあまりの奇界さに圧倒されましたが、この「奇界」をありのまま伝えるツールとしてα7R IIIが役立っていることがあれば教えてください。 とにかく撮影は、ロケハンなし、ぶっつけ本番。しかも撮影場所は毎回山とか海とか、今回のように遠い場所だったり、色んなシチュエーションがあります。そういう「移動しながら撮影する」のが基本なので、どこでも携帯できて、常に安定した性能を発揮できるαは本当に頼もしいですね。バッテリーの持ちなども今は逆に気にすることがなくなりました。予備バッテリーも持っていますが、1日の撮影の中ではほとんど切り替える必要もないです。また旅の撮影だと、三脚が立てられないような場所や、移動しながらさっと切り取らないといけないようなシチュエーションも多いので、ボディ内手ブレ補正機能と、あとは最高水準のダイナミックレンジにはしょっちゅう助けられています。

α7R III,15mm,F2,1/2000秒,ISO 100

タイの旅を終えて

本当に何度来ても飽きることがない国です。都市もあり、リゾートもあり、奇妙な場所もあり、訪れる場所によって全然印象が変わる。南部の島で見るようなものすごく綺麗な景色から、今回訪れたような不思議な場所まで、とにかく「これ」というトーンがないことが魅力の国です。ついでに食事も美味しいですし(笑) 今回、比較的我々日本人にとっても身近なアジアのタイという国で、ここまで奇妙な風景があるということには大変驚きがありました。 次回、後編は横浜で行われた、カメラと写真映像の世界最大規模のイベント「CP+(シーピープラス)」でもご紹介頂いた、ウズベキスタンをはじめとした「中央アジア」の奇界遺産について、語って頂きます。

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