写真家は「太陽のレンズ」と
ともに旅をする。
大野 雅人 氏 × Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
大野 雅人 氏 × Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
大野 雅人/写真家 1968年 愛知県生まれ。1999年に写真家の妻とともに写真事務所を設立しフリーランスとなる。人物、風景、舞台などの撮影や写真講師・講演、写真誌寄稿などを生業とする。近年は、自然と人間との普遍的な関係を表現することを目的とした作品などが、フランスのフォトアートフェスティバルなどの場で展示発表されている。
小型軽量の機材は旅する写真家に優しい。小さな帆布製バックに、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAを付けたα7R IIIと、Sonnar T* 35mm F2のレンズ一体型のRX1R IIを入れる。ポケットにはRX100Vを、、、レンズはVario-Sonnar T* だ。どうやら私はSonnarが好きらしい。
Sonnarはドイツ語で太陽を意味するSonne(ゾンネ)に由来すると聞いた。旅する「太陽の写真家」だな、、、ツァイスは名前にもロマンがある。
私にとってはどんな撮影にも欠かせないSonnar T* FE 55mm F1.8 ZA。50mmより少しだけ寄った焦点距離が丁度いい。
点ではなく面で見せる画面構成にすることが多い私は、被写体は背景に溶け込ませ、絵画のように背景の造形や色を配し画面を埋めていく。面で見せるためには、このレンズの高いコントラストと高い解像力が生きてくる。
旅にレフ板やフラッシュは持参しない。土地独特の太陽光の色や光質を写真に反映させたい、そんな期待をSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAは叶えてくれる。
このレンズが描き出す素直で嫌味のないアウトフォーカス部の描写は、ほんの少しだけ被写体を強調してくれる。優しいぼけである。
私にとってはどんな場所、天候、条件下でも自然の光を美しく的確に捉えてくれる「太陽のレンズ」なのだ。
島の少女を撮影していたとき、少女の父親からアルバムを見せてもらったことがある。色褪せた写真に残された幼き頃の彼女を見た私は、家族にとっての最高のカメラマン(記録者)は家族なんだと確信した。
それから、旅での人物写真は演出ありきの作品が増えていった。記録者から表現者への転向だ。ポピュラリティーを捨て、被写体の姿をひとつの素材として割り切る。写真の主役が被写体から撮影者に代わると、撮影のジャンルはなくなり、表現のジャンルが写真なのだ、という広く自由な意識に変わった。しかし、被写体に対する感謝の気持ちに変わりはなく、写真を贈るときのドキドキは同じだ。写真を撮るときに最も大切にしていること、それは記録者と表現者の棲み分けである。
最後に、大野雅人氏がSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAで撮影した作品をまとめてご覧ください。
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