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光の自然現象を印象的に魅せる
卓越した高解像と豊かな階調
〜α7R IIIが描く北海道の風景〜

風景写真家 高橋 真澄氏

α Universe editorial team

風景の中にきらめく光の自然現象をアーティスティックな感性で撮影し続けている高橋真澄氏。α7RIIIを持って撮影に繰り出すのは、高橋氏の撮影拠点である北海道の富良野や美瑛。今回は果たしてどのような幻想的な風景を描き出したのか。撮影した作品を見ながら、独自の撮影方法やカメラの魅力について語ってもらった。

高橋真澄/風景写真家 1959年北海道生まれ。大学時代から北海道の山を中心に撮影を始め、40年近くにわたって美瑛・富良野の自然風景を独自の感性で表現し続けている。写真展・著書多数。

EVFを使うことで感性を具現化できる。
だから撮り方も一変した

――高橋さんは、以前からαの一番の魅力は「EVFで仕上がりが見えること」だと言われていますが、具体的にどのようなシーンで役立っているのですか? 私が撮影する被写体では、どんなシーンでも大活躍です。以前から何度も言っていますが、露出や絞りまでEVFに反映されて、仕上がりが見えるのは本当に夢の機能です。太陽など、明るすぎて見えなかったものが暗くすることで見えてくるし、光を撮ると絞りの羽根のエッジまで見ることができる。αは「きれいに写る」という次元ではなく、「今までできなかったことができる」のが一番の強みです。仕上がりが見えることで私自身、撮り方そのものが変わりましたから。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 16mm,F16,1/1000秒,ISO100

例えば上のような日輪の作品の場合、少しずれるだけで円が丸くなりません。さらにフレアも出るような状況です。きちんと正円になっているか、フレアが出ていないか、どちらも撮る前にEVFで確認して、すぐに補正ができるわけですよ。さらにこのときはF16で撮影していますが、絞りを開ければ滲み(にじみ)ますし、絞ればエッジが立ちます。そういうことまでEVFで見えますからね。今までは感覚で撮影するしかありませんでしたが、事前に見て、どの状態がいいか自分で選べるのがαのすごさだと思います。
今までは感覚的な部分を具現化することができませんでしたが、αはEVFで仕上がりが見えるのでそれができるんですよね。つまり、感覚的に画をつくり込んでいける、ということ。カメラは機械ですが、その壁を越えて画づくりに終始できる。絞りや露出は頭で考えなくてもEVFで結果が見られるわけですから、つくり込みの基準点が違うんです。そう考えると、美的感覚の優れた人がいい写真を撮れるようになってしまう時代がきますから。我々も美的感覚を磨かなければいけませんね。
私個人の意見としては、風景写真を撮るプロであればEVFがついたミラーレスを使わないと時代に取り残されてしまうと思います。撮影現場で画を作り込むことができてしまう時代です。だから今まで撮れなかったものが撮れる。見えなかったものがEVFで見える。単純なことですが、その恩恵は素晴らしいものです。

天候や温度で状況を予測しながら
効率よく撮影できるスケジュールを立てる

――高橋さんの作品は光の状態や天気に大きく左右されると思いますが、撮影スケジュールはどのように立てているのですか? 天気、光の状況、温度によって撮れる被写体が変わるので、それにより狙う被写体を決め、効率よくその季節に見られるいろいろな被写体を撮影できるように1日のスケジュールを決める、という感じです。
私がよく撮影に行く美瑛、富良野、旭川は、位置的には近いですが、天気はまったく違います。しかも前日の天気予報はあてになりません。一番重要なのは朝の気温です。各地の気温データをチェックして、早朝の天気を踏まえてスケジュールを組みます。
虹など、光によって生み出される自然現象はすべて予測しています。その時の光や天気を見て「何か出そうだな」と思ったときは、予測して割り当てた場所に行って撮影します。もし出ていなければ、待たずに移動。粘っても出るとは限りませんから、時間を有効に使う方を選びます。
今なら、まず早朝にサンピラーを撮影して、山ならまだ日が出てないだろうと山に行って、と効率よく撮影場所を巡ります。初雪、紅葉、新緑など、どんな風景も完璧に狙って訪れているので、偶然で撮れた作品は一枚もありません。そのくらい、いい状況を見極めて撮影しているのです。
ここからはそんな「必然」で撮影した作品を見ていきましょう。

EVFで確認して適正の色で撮れるから
虹のグラデーションもきれいに表現できる

――下の作品は、田んぼに映っている虹でしょうか?

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F16,1/160秒,ISO400

みなさん、よく勘違いするのですが、田んぼに虹が映っているわけではありません。田植え後のぬるんだ水に緑藻が発生して、その藻がプリズム現象で虹をつくるんです。プリズムになる媒体は雨粒や雪粒などがありますが、この場合、藻が媒体ということ。もう少し稲が大きくなると藻は消えてしまうので、1週間くらいの限られた時期だけ田んぼ一面が虹になります。これは肉眼で誰の目にもはっきりと見えるものです。もちろん時間帯、太陽の高さ、角度など、いろいろな条件が必要ですが、見たままを撮っています。
虹を撮影する場合、以前はアンダーで撮影して、後処理で持ち上げて色を出すのがセオリーでしたが、αならEVFで見れば表現したい色が出ているかどうかがひと目でわかります。表現したい色で撮影できるので、素直ですっきりとした色に仕上がるんです。RAWで撮影して後で微調整するよりも、表現したいものに近い形で撮影した方がグラデーションもきれいに出るので、作品のクオリティーも上がります。
さらに、虹撮影ではPLフィルターを使って色を出したり、出さなかったりしますが、それもEVFでダイレクトにわかる。いろいろな意味で撮影が楽になるわけです。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F16,1/3200秒,ISO50
林の奥に見える朝日の光芒を撮影した1枚。通常、直射日光を見ることはできないが、EVFを使えば暗くすることで周囲の風景も見えてくる。この美しい風景は、仕上がりが見えるEVFでないと発見すらできない。

絞りまで反映されるEVFにより
「絵画的に撮る」という発想が生まれた

――「ねこじゃらし」も高橋さんが撮影すると、とても幻想的ですね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 321mm,F32,1/60秒,ISO200

これは絞りをF32にして被写界深度を深くし、風景を面で捉えて日本画のように仕上げた作品です。色と形を強調するために、ぼけを一切排除しました。こういう発想も、絞りがEVFに反映されるからこそ生まれるもの。面にしたいと思っても、どのくらい絞れば自分の思い通りになるのかわかりませんし、明るさも始めは勘頼みになってしまう。でもα7R IIIは、そういった感覚的な部分もEVFで確認して詰めていくことができる素晴らしいカメラです。


αだからここまで完成度を高めることができた、ということですね。こうしたい、ああしたいと思った時、今までのカメラはいろいろなテクニックを使わなければなりませんでした。でもαは仕上がりが見えるので、それに対して画をつくり込んでいけますからアプローチの仕方が違うんです。何をすれば自分の思い通りになるのか明白なので、その後の対応も素早くできるわけです。

α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 21mm,F16,1/13秒,ISO400
これも面で見せた作品。16mmの超広角で煽る(あおる)ように撮り、漆黒を背景に紅葉が散らばっているように見せている。超広角は隅々まで目が行きづらいが、EVFを見ると細かいところにも目が行き、つくり込むことで完成度の高い作品に仕上げられる。
α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 53mm,F16,1秒,ISO400
縦線、横線をシンメトリーにしながら形と色を強調した1枚。単純にきれいだな、と思う部分を絵画のように見せている。目線を持っていく位置を、EVFを見ながら瞬時に計算できるのもうれしい。

圧倒的な高解像でディテールまで再現。
光から影へのグラデーションも美しい

――これは縞模様が印象的な作品ですが、被写体は何ですか?

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 100mm,F22,1/200秒,ISO400

これは豆や麦などを育てている段々畑です。夕日の光が強烈だったので、しっかり遮蔽(しゃへい)して撮影しました。EVFを見てエッジを潰しながら、すっきりはっきり見せるようにつくり込んでいます。仕上がりが見えることで余計なことをやらずに済むので、ふだんは目が行き届かないところにもこだわることができます。冷静な判断ができる、精度が上がるということも含めて、総合力の高いカメラです。
光から影へのグラデーションや、雪の粒などの細かい部分までしっかり表現している解像感はα7R IIIならでは。横浜で行われたカメラと写真の総合イベント「CP+2019」では巨大モニターでこの作品を紹介しましたが、大画面で見るとさらにそのすごさがわかります。
形や模様で見るのか、色で見るのか。見る人によっていろいろなアプローチができ、想像をかきたてられる作品に仕上がったと思います。

赤い太陽を際立たせる空の柔らかな色彩も
階調豊かに描き出す

――下の作品は淡い色合いの空と雲が真っ赤な太陽を際立たせた、美しい作品ですね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F16,1/80秒,ISO400

私もお気に入りの1枚です。実は今年の年賀状にも使いました。これは夕日ですが、パターン化された色のグラデーションもきれいで、α7R IIIらしい豊かな階調で表現されています。このような柔らかい色合いの夕日はなかなか見ることができません。5月に撮影したので春霞が出ていて、その大気の塵(ちり)によって太陽が赤く見えるんです。
もちろん加工などは一切していない、見たままの色。このくらい太陽は赤かったということですね。沈む前はもっと赤かったんですよ。エンジ色のような赤から、だんだん写真のような赤に変わる。私は春になると赤い太陽をたくさん撮りますが、作品を見せるとたいていの人は「そのままの色なの?」と驚きますね。時期や場所を限定されますが、実際に見ることができる風景です。
400mmで撮ると夕日が大きく写って単純化されてしまうので、全部見せるのではなくうっすら見せて、色で心地よさを持たせながらバランスで良いところに持ってきました。すっきりとした美しい夕日を印象的に見せることができたと思います。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 150mm,F16,1/125秒,ISO400
朝日の光芒がカーテンのように降り注いでいるシーンを撮影。背景をうっすらと遮る繊細な光も豊かな階調表現で描かれている。

最短撮影距離が短く描写力も優れている。
「彩氷」撮影ではFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSが活躍

――次は、虹のように輝く「彩氷」の作品ですね。

α7R III,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 218mm,F22,1/6秒,ISO800

太陽の角度とレンズの角度、そしてPLフィルターのかけ具合を調整し、氷が七色に輝く「彩氷」を撮ったものです。被写界深度や光り具合をEVFで確認できるα7R IIIは、彩氷の撮影でもとても重宝します。 大きさをわかりやすくするためにフロストフラワーも入れていますが、実際はこの画角でA4くらいの大きさです。通常、彩氷は望遠マクロで撮影します。光の屈折は、ある程度の距離と角度が必要なので、近くで撮ることができません。今回使ったレンズは「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」でマクロではありませんが、最短撮影距離が短いので撮影が可能です。一般的な100-400mmのレンズは最短撮影距離が1.5mくらいですが、これは0.98mとずば抜けて短いので被写体に近づいて撮ることができます。さらに「G Master」らしく圧巻の描写力で周辺までしっかり解像する、風景写真には最適なレンズです。 望遠端で撮影するのでピントがかなりシビアになりますが、αは電子シャッターなのでブレによる失敗がほとんどありません。きっと、あらゆる機能とレンズを含めたαの総合力がなければ、こんなに歩留まりよくいい写真を撮ることはできませんね。

α7R III,FE 24-70mm F2.8 GM 24mm,F11,1/1250秒,ISO200
1本の木の上にサンピラーが立ち上がり、虹がハロになっている神秘的な作品。使用した「FE 24-70mm F2.8 GM」もお気に入りで、カリッとした表現が素晴らしい。すべてをシャープに写し出すことができた。

作品の良し悪しがダイレクトにわかり
上達に繋がる「自分で撮る」カメラ

――高橋さんはα7R II、α7R IIIともに使っていますが、とくにどのような変化があったと思いますか?
すべてにおいて精度が高くなったのが一番の変化ですね。α7R IIIになってかなり底上げされていて、本当にすごい。それによって作品の精度も上がり、撮影が充実しているのは確かです。α7R IIIで撮るのは、本当に楽しいですから。今、写真集を2冊つくっているので、撮影の新しい切り口はこれからもまだまだ見つかると思いますよ。
――高橋さんはα7R II、α7R IIIともに使っていますが、とくにどのような変化があったと思いますか?
自分らしい風景写真を撮るなら、風景の見方を少し意識することですね。あとは、写真以外の芸術に触れて、美意識を写真で表現できるようになると楽しいと思います。α7R IIIは作品の良し悪しがダイレクトにわかるカメラです。今までは「カメラが撮ってくれたもの」ですが、α7R IIIは「自分で撮る」カメラですから。だからいい作品が撮れれば「自分の力で撮った」と自信もつくと思います。
EVFを使えばできあがる作品を自分で確認しながら撮影できるので、なぜ悪いのか、なぜいいのかわかるようになり、ステップアップに繋がると思います。そのためにも、いろいろな景色を見て、美意識を反映した作品をたくさん撮って欲しいと思います。

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