『月刊 九州王国』連載企画
「Behind the picture」の
写真家6人によるフォトセッション
〜 αが描く九州の素晴らしい風景 〜
九州の総合情報誌『月刊 九州王国』で、九州を代表する様々な写真家が九州各地の風景を撮影し、紹介していく人気連載企画の「Behind the picture」。その魅力的な風景を多くの人に伝えるべく、ソニーストア福岡天神では誌面で掲載された作品を展示する「Behind the picture写真展」を開催。本誌未公開作品も含め、素晴らしい作品がギャラリーに飾られた。
2019年5月25日(土)に行われた6人の写真家によるトークショーは大盛況。ここではその6人の写真家の作品を厳選してご紹介する。さらにαの魅力や撮影で生きた機能についても語ってもらった。
思い通りの色に仕上げることができる
信頼性の高いオートホワイトバランス
トークショーは、6人の写真家が順番に壇上にあがり、撮影した作品を見ながら解説していくという流れで行われた。
最初に登場したのは峰慎太郎さん。ミツマタ、ツツジなどの花のほか、水辺の風景などのα7R IIで撮影した作品を紹介。
峰 慎太郎(みね しんたろう) 2016年10月 隔月刊『風景写真』と月刊『フォトコン』共同企画TCC(チームチャンピオンズカップ2016長野)に九州・沖縄代表のチームアモーレの一人として参加する。同年、隔月刊『風景写真』7・8月号「輝けアマチュアイズムON and ON」に取材掲載される。2017年TCC(チームチャンピオンズカップ2017長野)においてチームアモーレの監督として参加し優勝する。現在、医療職である臨床工学技士を携わりながら九州を中心に撮影を行っている。
――なかでも下の作品は印象的でしたが、どのような状況で撮影したのですか?
峰:福岡県にある平尾台で撮影したものです。この日はかなり強風でしたが、うまい具合に雲が西に向かって動いていたので、雲の切れ間から夕日が見えた瞬間に撮影しました。αはAWB(オートホワイトバランス)がとても優秀です。下の作品もそうですが、僕がαで撮る作品はほぼAWBで撮影しています。
峰:この夕焼けもそうですが、目で見たままの色を表現したいと思った時に、そのままの色を出してくれます。夕日などの場合はホワイトバランスを太陽光や曇りに設定しがちですが、そうすると見るからに「足した色」になってしまいます。AWBなら自分の思い描いた色が出せる。とくに風が強い日の撮影では一瞬が勝負ですから。信頼性の高いAWBだからこそ、設定に迷うことなく、いい作品を素早く撮ることができるのです。
αは軽くて持ち運びやすく、特にα7シリーズはフルサイズで機能面も充実おり、表現の幅が広く、自分にマッチしているカメラだと思っています。α以外では撮れなかっただろうと実感する作品も多いので、今後も存分に活躍してくれると期待しています。
カメラ設定を反映するEVFのおかげで
夜景のピント合わせが格段に楽になった
2番目に登場したのは『月刊 九州王国』の2019年9月号(8月15日発売)で初めて「Behind the picture」に作品が掲載される大西展子さん。α7R IIIで撮影した星空や滝、由布岳など、ワイドな風景を中心に作品を披露した。
大西 展子(おおにし のぶこ)
長崎県生まれ、福岡県在住。
県展、二科、隔月刊『風景写真』誌、JAPAN PHOTOフォトコンテスト、秋山庄太郎「花」写真コンテスト、富士フイルムフォトコンテストなど入選、受賞歴多数。隔月刊『風景写真』誌、2018 年1-2月号の表紙を飾る。
――今回、大西さんが紹介した作品には夜景が多いですが、夜景撮影時のαの印象を聞かせてください。
大西:今まで使っていたカメラは暗い場所でのピント合わせが大変でしたが、αはカメラの設定を反映した画像がEVFで確認できてとても助かりました。暗くても感度を上げれば明るくなり、ピントの位置もしっかり見ることができますから。さらにEVFで拡大表示できるところも、ピント合わせが楽になった理由のひとつ。EVFを覗いたままですべてが確認できるので、テンポよく撮影できるようになりました。
大西:熊本・阿蘇の大観峰ら撮影したこの作品もかなり暗い状況でしたが、EVFで確認しながら田んぼの中の明かりにピントを合わせることができました。きれいな雲海とともに三日月や星が輝く夜空も写すことができた、お気に入りの1枚です。
α7R IIIは軽くてコンパクトなので、フットワークよく撮影ができるのも魅力です。今までは持ち歩くだけでも腕がきつくて大変でしたが、これなら手持ちで長時間粘っても苦になりません。私にとっては、そこが一番のポイントですね。
光芒(こうぼう)を美しく表現できるレンズを手にして太陽を意識した撮影が多くなった
次に作品を紹介してくれたのは、αアカデミーの講師も務める白水清光さん。ふだんは望遠で撮ることが多いそうだが、広角でいい写真を撮る人が多いと実感し、最近は広角に夢中になっているとか。今回紹介する作品はすべてJPEGの撮って出し。それでも十分きれいだと自信作を披露した。
白水 清光(しろうず きよみつ) 1953年福岡県春日市生まれ。写真家。デジタルフォトレタッチャー。ソニーαアカデミー講師。富士フイルムフォトサロン福岡や、ソニーストア福岡天神で個展などを開く。「JAZZピアニスト 山下洋輔」展を開催した。
――FE 16-35 mm F2.8 GMで撮影した作品が多かったようですが、このレンズの強みはどのような部分に感じましたか?
白水:ずばり、絞り込んだ時の光芒の美しさですね。今までは太陽を入れて撮ることはあまりなかったのですが、このレンズを使うようになってから積極的に入れるようになりました。
白水:こちらの作品はオミナエシの隙間から太陽を撮影した1枚です。光芒がきれいに出るよう、太陽の部分にマニュアルで露出を合わせ、カメラを花の下に置き、少しずつ動かしながら「コンティニュアスAF」で撮影しました。かなり絞って光芒の美しさを主役にした作品ですね。こういう状況ではフレアやゴーストも気になるところですが、驚くほど出にくいのもこのレンズの強みだと思います。
このほか「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」も大好きなレンズ。やはり「G Master」レンズは、ぼけと解像感の両立が素晴らしいですよね。キレがありながらとろけるようなぼけ表現ができる、最高峰と呼ぶにふさわしいレンズだと思います。
場の空気感まで閉じ込める
卓越した描写力がα7R IIIの魅力
一番の若手、佐久間玲子さんは地元・沖縄で撮影した作品を多数紹介。いかにも沖縄らしい、という視点ではなく、沖縄を知り尽くした佐久間さんだからこそ撮れる魅力あふれる作品を見せてくれた。
佐久間 玲子(さくま れいこ) 沖縄県生まれ。隔月刊『風景写真』の若手風景写真家育成プログラムにより、長野県で修業中。2016年〜2018年にフォトコン×風景写真主催の「チームチャンピオンズシップ」に「チームアモーレ! 九州・沖縄」の一員として参加。2017年大会優勝。
――沖縄ではα7R IIIで撮影したそうですが、使用した印象を聞かせてください。
佐久間:とにかく解像感が素晴らしく、色の再現性も目を見張るものがありました。絶妙なトーンもしっかり表現してくれて、まるでその場の空気感まで閉じ込めてしまうような印象です。
佐久間:なかでもこの作品はお気に入り。赤い新芽を見つけて「なんてかわいいんだろう!」と思ってレンズを向けました。どうすれば魅力的に撮れるのか、アングルを決めるまでにかなり時間をかけましたね。光条をきれいに入れて、なおかつ新芽がいきいきと空に向かってのびる雰囲気を伝えたいと思って。腰が痛くなるような苦しい体勢を保って手持ちで撮影したので、5軸ボディ内手ブレ補正が活躍してくれました。印象的な光、さわやかな緑、主役の赤い新芽と、描写力に優れたαならではの作品だと思います。
沖縄では「FE 16-35 mm F2.8 GM」と「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」、2本のレンズを使いましたが、どちらもぼけがとてもきれい。玉ぼけがキラキラした、印象的な作品が撮れるんですよね。今回はぼけの作品を紹介できなかったので、いつか『月刊 九州王国』で掲載できればと思います。
風景を印象的に見せる多彩な「影」の表現。
逆光ではDレンジオプティマイザーも活用
続いて登場したのは清家道子さん。はじめは風景写真を撮るために日本全国を巡っていたが、『月刊 九州王国』に関わったことを機に、頻繁に九州で撮影をするようになったそう。今回は九州で撮影したものに絞って紹介し、その魅力を伝えてくれた。
清家 道子(せいけ みちこ)
日本写真家協会会員。
福岡生まれ。風景写真家。
日本全国で日本の美しい風景を撮影する。特に大分の風景に惹かれ現在は拠点を大分に移し活動している。2012年より企業カレンダーを手がけるほか、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行なっている。2016年に新宿リコーイメージングスクエアにて「またまの宇宙」写真展を開催。同写真集を出版(日本写真企画)。2019年度QTネットカレンダー作家。
――トークショーではたくさんの作品を見せてもらいましたが、なかでも最初に紹介した平尾台の作品が印象的でした。
清家:この作品にはαらしさが詰まっていますよね。ソニーの画は影の表現が非常に優れていると思います。平尾台に咲くシランという花とともに撮影したものですが、何とも言えない岩の質感、光と影がきれいに表現できました。とくに影の表現が印象的で、シャープであったりダークであったりと、表情がとても豊かです。
清家:この時は逆光だったので暗部を起こしてくれる「Dレンジオプティマイザー」を活用しました。Lv.1から4まで動かしながら撮りましたが、実際に紹介したのはLv.4で撮ったものなので、かなり暗部を起こしている状態です。それでも自然に表現できたのでとても満足しています。
ソニーのカメラをお持ちのかたはぜひ「Dレンジオプティマイザー」を使ってみてください。そうすれば黒潰れしていたところもディテールまではっきりと写すことができます。パソコン上で加工すると、どうしてもノイズが気になります。何より、カメラの中で思い通りに近い画をつくることができれば、写欲が上がると思いますよ。
似た色も状況に合わせて撮り分ける
繊細な色再現と抜けのよさに感動
ラストを飾るのは御年74歳のベテラン風景写真家・三笘正勝さん。今回は福岡県糸島市で撮影した作品を紹介。糸島市は福岡市の隣にあり、ちょっと時間を見つけた時に出かけられる場所。近場でも歩いて探し回れば作品になるような被写体を見つけることができる。そんなことも紹介できればと多くの作品を披露した。
三笘正勝(みとま まさかつ) 二科会写真部会員。2014年「全国祭りポスター展」グランプリ(博多祇園山笠)。雑誌『月刊 九州王国』『家庭画報』など取材撮影多数。写真審査 佐賀県展、日向市美展、柳川市美展など多数。写真教室、撮影指導、福岡市、春日市などで多数。
――今までいろいろなカメラで風景を撮影してきたと思いますが、αにはどのような印象をお持ちですか?
三笘:私は写真教室の講師もしているので、いろいろな写真を見る機会がありますが、αは抜けがいいというか、発色がいいですね。さらに高解像であることも一目瞭然。だから写真教室では「ソニーのカメラやレンズを使うと、ワンランク上の作品が撮れるよ」と言っているんですよ。実際に使ってみると、すべてがいいですからね。
下の作品は霧がかかっていますが、淡い感じのグリーンもしっかり表現してくれました。奥に行くにつれて霧が濃くなっていきますが、似たような色を状況によってきれいに撮り分けている。このような高い描写力がαの魅力だと思います。
三笘:この作品を撮るために、同じ場所に2日間通いました。1日目は山のほうから霧が下りてきているのがわかって、「もう少し下りてきてくれればいい写真が撮れるのに」と思いつつも、結局撮らずじまいで。2日目は霧がだいぶ下がってきていたので、ようやく撮ることができました。霧の中で後ろのほうが消えかかっている、非常に幻想的な感じの写真に仕上がったと思います。
あらゆる角度から九州の魅力を発信してくれた6人の写真家。研ぎ澄まされた感性で写し撮る風景は、ときに神秘的に、ときにダイナミックに表現され、『月刊 九州王国』の読者に感動を与えている。
6人それぞれに個性あふれる作品を見て、九州の自然の豊かさを実感することができた今回のイベント。訪れたお客さまはトークショー終了後もギャラリーに残り、写真家の皆さんを質問攻めにするほど最後まで熱気にあふれていた。
『月刊 九州王国』は毎月15日発売。ぜひ書店で手にとって「Behind the picture」で掲載されている九州の美しい風景をご堪能ください。
http://www.a-r-t.co.jp/kyushu-kingdom/
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