旅客機から戦闘機まで幅広い飛行機写真を撮り続ける写真家の伊藤久巳氏。瞬間を切り抜く瞬発力と機体のディテールを忠実に再現するというカメラの総合力を試されるシーンで α7R IIIはどんなポテンシャルを発揮するのか。
伊藤久巳 HISAMI ITO 1958年、東京都生まれ。航空写真家。学生時代から撮影の仕事に携わり、83年に伊藤久巳写真事務所設立。旅客機の機内取材から戦闘機の空撮まで軍民航空業界のあらゆる分野を撮影、取材し、航空雑誌のほか航空会社、航空機メーカー、空港会社の広告に写真を提供。写真集「伊藤久巳×飛行機力」(イカロス出版)、「さよなら日本のジャンボ」(ネコ・パブリッシング)など著書多数。公益社団法人日本写真家協会会員。日本航空写真家協会会員。
航空機撮影を始めるきっかけは、趣味でJALのDC-8を撮影したことだ。そこから仕事へとつながり、今では航空機撮影がメインになった。ミラーレス一眼が出たばかりの頃は、仕事の道具としてまだまだ使えるとは思わなかったが、2018年にα9を使ったことがきっかけで、今では一眼レフカメラと併用している。現在は、α7R IIIを使っているが、このカメラはとても気に入っている。
α7R IIIの魅力はやはりセンサー性能がいいことだ。有効約4240万画素の高画素センサーがもたらす「ディテールの再現性」は素晴らしい。航空機の細かい金属質感も見事に再現しながらも、ダイナミックレンジがとても広いので、極端な白飛びを抑えることができる。仕事での撮影では、JPEG+RAWで撮影。撮影時にはできなかった微妙な露出コントロールをRAWで後処理する場合にダイナミックレンジの広さはとても重宝するのだ。
また、航空機写真では重要視されるAF性能も申し分ない。本来なら追従しづらいであろうシーンでもしっかりと被写体を追いかけていくし、ピント面もとてもシャープだ。ヒット率が高くさらに高精度なAFは、高速で空をかける戦闘機の撮影には心強い。安心してカメラに任せることで、撮影に集中することができ、結果として満足のいく撮影が可能になる。
ここ数年の進化を一番感じるのは「EVF」だろう。航空機撮影において、遅延が発生しやすいEVFはやはり不利な点もあるが、昔ほどではなくなった。とてもタイムラグが少なくなったことで少し工夫をすれば、自分のイメージしている写真を撮ることができる。細部にわたる細かい機能の進化が、結果カメラの総合力を上げてくれる。α7R IIIには、その進化を強く感じるのだ。
α7R IIIを語るうえで外せないのが、レンズ群の高性能ぶりだ。航空機撮影では、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを中心に、新製品のFE 600mm F4 GM OSSを使っている。どちらのレンズにもいえることだが、絞り開放時でも中心から周辺まで高い解像感を維持しているので、積極的に開放値から使えるのがいい。FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSに関しては、どの焦点距離で撮影しても解像感が落ちていると感じないので、写真のフレーミングの自由度が上がり、構図の幅を広げてくれるのだ。驚きなのが、1.4×テレコンバーターを使っても解像感がそこまで落ちないと思うこと。本来なら甘くなりがちなのにもかかわらず、レンズの性能低下が最小限に抑えられている。レンズの素性のよさがうかがえる。
カメラはやはりシステムとして判断するべき。ボディーとレンズの両方のバランスがとても重要なのだ。ソニーのαシリーズにはその両方が兼ね備わっている。これからもαシリーズで新しい表現にチャレンジしていきたい。
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