野鳥撮影の現場で多彩な表現が可能な
“隠れG Master”!?
「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSとFE 600mm F4 GM OSSが発売される前までは、ミラーレスに最適化された専用設計レンズとしては、最も長い焦点距離がFE 400mm F2.8 GM OSSとFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSの400mmだった。野鳥撮影で400mmは少し物足りないと思っていた人もいたのではないかと思う。実際、私の知人も「600mmのレンズが出るのを待っている」と言っていた。
山田 芳文/写真家 大阪府生まれ。野鳥を中心に生き物を撮り続ける。作品は主にバードウォッチングの専門誌や自然保護団体の会報誌、児童書などで発表している。著書は『野鳥撮影術』(日本カメラ社)、『写真は構図でよくなる!』(MdN)など
野鳥を風景的に撮る場合は、400mmぐらいでも十分なのだが、寄りで切り取る時には600mmをカバーできるレンズの存在は有り難い。今回、α6400と組み合わせ、35mm換算で900mm域での撮影にも積極的に試みたが、ブラインドなしでも寄りで撮れるので、勝負が早かった。
G Masterにも匹敵するような描写力
描写については、200mm、300mm、400mm、500mm、600mmと小刻みにズーム域を変えながらいろいろな鳥をたくさん撮影してみたが、解像力はズーム全域で高いと感じた。シャープネスと相反する、ぼけについても良好で、フォーカスポイントから離れていくにつれて、なめらかにとろけるようにぼけていく。このレンズは、「解像」と「ぼけ」を高いレベルで両立したG Masterのような描写をするが、G Masterよりもお財布に優しく、購入しやすい価格なので、この点でもオススメのレンズだ。
G Masterに匹敵するような描写をするFE 24-105mm F4 G OSSを、私は勝手に「隠れG Master」と呼んでいる。こちらが標準ズームのそれだとすると、このFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSは望遠ズームの「隠れG Master」だと思った。
AFはスピードも駆動も申し分なし
オートフォーカスの精度は、使用する前から期待していた通り、すこぶる良好で快適に使うことができた。駆動音も静かなので、音が気になって撮影に集中しにくいこともなかった。ひとつだけ心配していたことは、AFのスピードだ。このレンズは、明るさがF5.6-6.3ということもあって、AFのスピードが遅いのではないかと少し心配していたが、使ってみると何の問題もなく、杞憂に終わった。
一眼レフの光学ファインダーの場合、レンズが暗いとファインダーも暗くなり、見え難くなるので、快適に撮影し難いが、αのEVFの場合は、それがないので、ストレスフリーで気分良くシャッターをきっていけるのも有り難い、と改めて思った。
600mmでこの軽さは夢のよう
インナーズーム方式にすると、どうしてもレンズが重くなってしまうものだが、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSは2,115gと軽い。その昔、一般的な600mm F4の単焦点レンズが6キロ程度であったことを思うと、軽くて夢のようだ。軽いと、身体的負担が少なくなるので、操作がしやすいように感じる。
AFのスピードは十分に早いのだが、より迅速なフォーカシングを求めるなら、フォーカスレンジリミッターが便利なので、こちらも有効に活用されることをオススメする。
この1本で多彩な表現ができる
今現在、私はFE 600mm F4 GM OSSをメインに使っている。G Masterなので言うまでもなく、極上で最高のレンズであるが、私のライフワークでもある鳥がいる風景の表現には、このレンズ1本だけでは限界が生じる。一方で、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSは200mm域から600mm域まで画角を調整でき、ズーム全域で解像力が高いので、これ1本で寄りと引きの表現が可能となる。
また、鳥の動きが活発な朝夕の太陽が低い時間帯でも、ナノARコーティングによってフレアやゴーストが出にくいので、安心してカメラ位置を低くして逆光で撮影することができ、ライティングでも変化をつけることができる。 もし、「レンズ1本だけを使って、変化をつけて野鳥の写真を何点か撮影」とお題を与えられたら、私はFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSを選んで撮影するだろう。
軽くて、使いやすく、解像力とぼけを両立したFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSはコスパも最高。1本で多彩な表現が可能となるこのレンズを使って、皆さんも自分史上最高の野鳥作品を撮ってみてはいかがでしょうか。
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