Only Railway鉄道写真家 中井精也 氏
× FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS Vol.4
美しき鉄道風景を、中井氏がαで撮る! デジタルカメラマガジンとの連動企画を毎月コラム形式でお届けします
みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。
第4回目の舞台は、日本を飛び出してポルトガルのリスボンにやってきました。
そして、今回の相棒となるレンズは、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSです。最近は魅力的な望遠ズームが数多く登場していますが、G Masterの妥協のない光学設計によって生まれたこのレンズは、僕が最も信頼しているマストアイテム。
まるで超望遠単焦点レンズのような美しいぼけ味は、有効画素数約6,100万画素を誇るα7R IVと組み合わせることで、最高の描写力を見せてくれます。
早速ですが、今回最初の1枚をご覧ください
ポルトガルの首都・リスボンは、石畳の道路や素朴な建物など趣ある町並みが残っています。さらにその迷路のような街のなかを、レトロな市電が走るという、鉄道ファンではない人にとっても実にフォトジェニックな街です。オススメの路線は、古い車両だけで運行され、旧市街に分け入っていく28番と12番。 なかなか行く機会は無いかもしれませんが、もしも行かれるようなことがありましたら、お勧めです!古い階段を上ると、背景にテージョ川が。イベリア半島で最長の川であるテージョ川は、まるで海のよう。オレンジ色の瓦とよく似合います。 α7R IVとの組み合わせで、奥行きのある描写になったと思います。
2枚目になります。
ここは迷路のような旧市街を走る28番の中でも、もっとも狭い路地を走る場所。自転車に乗っていて、前からこんなトラムが現れたら驚くだろうなぁ(笑)。
折り重なるように立つ街並みの奥には、青空と教会の尖塔が。まるで3D画像を見ているような、立体的な写真になりました。
3枚目と4枚目は、続けてご覧いただきます!
こちらの2枚は望遠レンズで風景を立体的に見せました。 ぜんぜん違う場所で、意識もしていなかったけれども、期せずしてどちらも116mm相当での撮影でした。こういうシーンでは広角レンズでパースをつけて狭さを強調したくなりますが、望遠レンズにすることで建物を圧縮して迫力を出すのも有効です。 とにかく狭い街なので400mmにすることはあまりないですが、空や余分と思われる空間を除くのに、望遠レンズはとても便利なのです。 それにしても、なぜ116mmなんだろう。偶然とは思えません。今後はちょっと意識して116mmの謎に迫ってみようかと思いました。(笑)
5枚目になります。
こちらは市電が行き交うコンセイサン大通りで撮った1枚。網の目のように市電が行き交うリスボンは、どこから電車が飛び出してくるか予測不能。 遠くのトラムを狙っていたら、新型のトラムが前を横切ったので瞬時に焦点距離を変更!手前のトラックの運転手や歩行者が入り、リスボンの喧騒(けんそう)を描写することができました。何が写るかは運次第。ズームレンズは、こんな時にとても重宝します!
スナップは一瞬の勝負!もたもたと三脚など立てていては、せっかくのチャンスを逃してしまいます。 望遠レンズでスナップと聞くと意外だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このレンズは黒が引き締まった高コントラストのシャープな画質と、400mmならではのぼけと圧縮効果を生かした写真、その両方を手にすることができるので、僕は今回のような撮影でも、お勧めします。
それでは6枚目、7枚目、そして今回最後の写真まで、一気に3枚、続けてご覧いただきます。
旧市街を走る市電の撮影は、鉄道写真というよりもストリートスナップの感覚に近いところがあります。そんな時、中望遠の100mmから超望遠の400mmまでを幅広くカバーできるこのレンズは、これ以上ない武器となりました!
α7R IVとSEL 100400 GMの組み合わせでのスナップは、まるで宝探しのようです。「何を撮るか?」 ではなく、その時「何に心が惹かれたか?」 を意識するのが最大のコツだと感じました。
最後の1枚は、夜のスナップです。リスボンの名物であるタイルは、歩道の一部にも敷かれていて、それが街の灯りを受けて妖美に輝いていました。市電が通り過ぎたその時、不意にカップルが道路に躍り出てきました!リスボンでしか見られないタイルの輝きと、懐かしいトラム、そして陽気なリスボンの人々の生き生きとしたシルエットが重なりあって1枚の作品に仕上がりました。まさにこのレンズとこのカメラでしか撮れない、奇跡の瞬間でした。
それでは来月もこの場所で。中井精也でした。
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