写真家 佐々木豊 氏 × α7R IV
特集:先進画質×俊敏性。新しい表現領域へ
〜機体の質感を高精細に描き出し
卓越した解像感で魅せる光と影の世界〜
光と影の表現が印象的な航空機の作品を発表している、写真家の佐々木豊氏。α7R IVの卓越した高解像や進化した性能は、自身の作品にどのように生きたのか。作品のテーマとともにカメラの魅力を語ってもらった。
佐々木 豊/写真家 1966年京都府生まれ。これまでモータースポーツをはじめ、さまざまなスポーツ競技を撮影し、雑誌などで作品を発表。その経験を活かし、現在は航空機撮影を主軸に撮影活動を行う。『月刊エアライン』『ヒコーキ写真テクニック』(ともにイカロス出版)や同社カレンダーなどにも作品を提供。どのようなシーンでも、独自の視点やエッセンスを散りばめることを意識して撮影に挑む。伊丹空港を中心に全国各地の空港で活動。日本航空写真家協会(JAAP)準会員。
高解像・高精細を求めて辿り着いたα。
画素数だけでは語れない優秀なセンサーに感動
――どうしてαを使い始めたのですか?
僕は飛行機を撮影するので、常に高解像、高精細に撮れるカメラを求めています。ある時、周りから「αは画質がいいよ」と言われ、ソニーストアに行って確かめることにしました。当時使用していたカメラと近い画素数のα7R IIIで撮影してみると、高画質にびっくり。特に解像感と白飛びせずにデータが残っているところは、圧倒的によかった。画素数だけでは語れない何かがある。ソニーのイメージセンサーの良さを実感し、その場でα7R IIIを購入。実際に航空機を撮影してみると、機械物の精細感、シャドー部を起こせるダイナミックレンジの広さが強い味方になりました。その後α9も買い足して、今ではすっかりαユーザーです。 長玉のレンズが出揃ってきたことも、αを使い始めたきっかけになりましたね。飛行機撮影でのメインレンズは600mmですから。そのころ、「FE 400mm F2.8 GM OSS」が発表されて、ソニーは超望遠の域にも本腰を入れてきたな、と思ったわけです。もし400mmのF2.8が出ていなかったら、ここまで本気でαを使うことは考えなかったかもしれません。
広いダイナミックレンジで忠実に再現。
飛行機を際立たせる光と影の世界
――航空機を撮影する際、自身のテーマや意識していることはありますか?
光と影が印象的な「いいシーン」と航空機のコラボレーションを目指して作品を撮影しています。あくまで基本は光と影。結果的に作品が風景的になったり、飛行機が小さくなったりすることもありますが、光と影が織り成す世界に飛行機を入れ込み、見た瞬間に「きれい」「すごい」と思えるような心に響く作品を残したいと思っています。説明的なキャプションが必要な写真ではなく、ファーストインパクトですべてを物語るような写真が撮れればベストです。 光をコントロールできるのが写真独自の表現法であり、光を利用して被写体を美しく見せるのが写真の醍醐味(だいごみ)ですからね。僕の場合は逆光や反逆光で撮ることが多いです。飛行機は一般的に順光で撮るのがセオリーですが、僕はそういうことはあまり気にしません。太陽が低い位置にある朝や夕方は逆光が引き立って印象的な写真が撮れることも多いですから、シーンに応じて光を使い分けている感じですね。
旭川空港近くで撮影した上の写真も、光と影を意識して撮った1枚です。この日は1日曇天で、時折雨が降るという悪天候でした。実は旭川空港は便数が少なく、夕方の光の中で撮れるのはなんと2機だけ。雲の動きを見ながら、飛行機がここを飛ぶタイミングに光が出てくれることを願って待っていました。そうしたら飛行機が現れた時にちょうど日が射してきて、その瞬間を逃さず撮影。紅葉している木々を美しい黄金色に表現できましたし、飛行機にもきれいに光が当たってくれて期待通りの作品を撮ることができました。 この作品はRAWデータで撮影し、現像時に少し飛行機の反射光を抑えて、暗かった紅葉の部分を少し持ち上げています。明部も暗部もしっかりデータが残っていて、暗部を持ち上げてもノイズがまったく出ない。α7R IVのダイナミックレンジの広さには脱帽です。
金属の質感を美しく見せる高画質。
微妙な色合いも階調豊かに表現する
――ここからは撮影した作品を見ながらお話を聞かせてください。下の写真も光と影が印象的で、機体の美しさが強調されていますね。
これは那覇空港で夕日に照らされた飛行機を撮ったものです。高解像で金属の質感を美しく表現できていますし、微妙な色のグラデーションにも階調性能の高さ感じます。特に金属に反射する光の表現力は、僕の想像をはるかに超えていましたね。僕は飛行機の金属の質感を写し撮るような写真が大好きなので、α7R IVは撮っていてワクワク感が止まりませんでした。 これまでの機材は自分の想定範囲内の結果が出ることが多かったですが、α7R IVと「G Master」レンズは、想像を超えた画を見せてくれた。だから、もっとすごい作品が撮れるのではないか、という気になって写欲が湧きます。
画質や質感表現が優れていることは、上の作品からもうかがえます。これは全日空のボーイング787ですが、特別にスターアライアンス仕様に塗装されている非常にレアな機体です。たまたま羽田空港に停まっていたので、運良く撮影することができました。 まだ就航されたばかりの新しい機体は実にきれいで、その質感や輝きを表現する解像感は見事なものです。こういうシーンでは画質優先のため単焦点レンズで撮ることが多いですが、試しに「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」で撮影してみました。仕上がりを見たら単焦点で撮ったと言ってもわからないくらいの解像感で、「すごいズームレンズが出たものだ」と思いましたね。
頻繁に使ったリアルタイムトラッキング。
高精細AFが航空機をシャープに描き出す
――下の作品は、いかにもAFが苦手そうな構図ですが、AF性能はいかがでしたか?
このシーンでは、リアルタイムトラッキングが役立ちました。今までは飛行機を置きたいところに手動でフォーカスエリアを移動させて飛行機を追っていたので、フレーミングに自由度がなかったのです。でもα7R IVは一度被写体にAFを合わせてしまえばしっかり食いついて追い続けてくれるので、カメラを動かしながら絶好のフレーミングでシャッターを切ることができる。撮影が非常に楽になったので、飛行機撮影ではかなり高い頻度で使っていますね。高画素機ではピントがシビアになりますが、この機能があれば欲しいところに的確にピントを合わせてくれて、高い解像感を生かした作品に仕上げることができます。
撮影場所は伊丹空港近く、池田市の五月山です。飛行機を撮影する我々にとっては定番の撮影スポットで、街の上空を飛ぶ飛行機を撮ることができます。この日は台風の影響で、飛行機が着陸する方向が逆だったんですよ。朝の風の感じから、「1、2番機くらいまでは逆になる」と予想して山に登りました。山の上から着陸する飛行機を撮っていましたが、着陸がやり直しになり、飛行機が上がって行った時に撮影した、とても珍しい1枚です。ビル群をバックに左上がりになる飛行機は、まずありませんからね。
思い通りの画づくりをサポートする
高画素化したEVFも進化の証
――佐々木さんはα7R IIIもお持ちですが、α7R IVになって進化を感じたところはありますか?
EVFが格段に見やすくなったことですね。αはカメラ設定が反映された画をEVFで見ることができるので、EVFの高画素化は大きなメリットになります。 例えば下の作品は、露出を切り詰めてアンダーで撮るパターンも考えられます。そんな時は撮って確認するまでもなく、EVFを見て仕上がりの画がわかりますからね。露出の微調整がEVFを見てできてしまうのは本当に便利です。高画素化により見えかたがOVFに近づいたという印象で、よりはっきりとした画をEVFで確認することができます。
僕はナチュラルな色味に仕上げるよりも記憶色を重視していて、自分の思いや独自の色合いを出したいと考えています。そのため、クリエイティブスタイルは風景モードに設定。いろいろ試してみましたが、このモードの色味が一番僕好みで、見た瞬間のインパクトもあるように思いました。さらに言えば、ホワイトバランスも作品の雰囲気を強調できるよう、まめに設定を変えています。こういった設定もすべてEVFで確認できるので、高画素化は非常にありがたかったです。
6100万画素でも秒間約10コマの連写が可能。
どれも高解像で最高の1枚を選べる
――今回の撮影で連写は使いましたか?
下の作品2点は連写を活用しました。どちらも太陽と飛行機を組み合わせたもので、飛行機の位置、太陽の見えかたによって作品の印象が大きく変わります。連写を使えばバランスのいい最高の1枚を選ぶことができるので、こういったシーンでは非常に便利です。6100万画素という高画素なのに、最高秒間約10コマの連写ができる。画素数が上がってもα7R IIIと同等の連写性能を維持したのは素晴らしいと思います。
夕日を大きく写した作品は600mmに2倍のテレコンバーターを装着して撮影し、エンジンの熱で太陽の光が引っ張られて屈折しているユニークなカットを選びました。ソニーのテレコンバーターは驚くほど画質が良いです。テレコンを使う場合は画質劣化が前提だと思っていたのですが、1.4倍、2倍、どちらも揃って高画質。しかもコンパクトで使いやすいので、あらゆるシーンで活用しています。僕は6100万画素をフルに活かしたいと思っているのであまり使いませんが、6100画素もあるので「もう少し望遠が欲しい」と思った時はクロップ撮影するのもアリですね。
――長時間撮影することも多いと思いますが、バッテリー性能はいかがでしたか?
僕は常に縦位置グリップを付けて撮影するのでバッテリーは必ず2個入れていますが、朝から晩まで目いっぱい撮っても1個で事足ります。電源を入れっぱなしでモニターを頻繁に使っていても、2個目に行くことはありませんでした。そう考えるとスタミナは十分です。
信頼度の高いカメラがあるだけで心強く、
あらゆるシーンに挑戦できる
――今後、α7R IVで撮影してみたい被写体はありますか?
飛行機の格納庫を撮ってみたいですね。とてもメカニカルな場所なので、高解像、高精細に写し撮るとどんな画になるのか興味があります。あとはスターアライアンスのような珍しい機体をもっといろんな角度から撮るなど、高画素機で撮ったらおもしろそうなものはすべて撮ってみたいです。そして大きなポスターにして、その解像感を確認したい。とてもポテンシャルの高いカメラなので、今後も貪欲にいろいろなシーンを撮りたいと思っています。
――α7R IVを使うことで、撮影に向かう姿勢など、気持ちの変化はありましたか?
α7R IVは僕の中で信頼度の高いカメラです。信頼が置けるカメラは強力な“武器”になります。撮りたいと思うシーンに出合った時、「いい作品が撮れるぞ」という気持ちになれる。その武器があるから突進できる。α7R IVを使うことで、そういった心強さを持てるようになりました。さらに、これで撮れば最高の画質が得られる、というイメージもとても重要です。画質の良い写真が撮れなければ、撮る気にならないし、撮れた気にもならない。でもαのシステムは、どんな壁に当たっても安心して突進できる武器ですから、あらゆるシーンにチャレンジして、見る人の心を震わせるような作品を撮り続けたいと思います。
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