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解像・AF・動画性能をチェック!「ソニー製Eマウントレンズ」徹底検証

α Universe editorial team

中原一雄/カメラマン 1982年北海道生まれ。化学メーカー勤務を経て写真の道へ。広告写真撮影の傍ら写真ワークショップやセミナー講師として活動。カメラ雑誌、ムック本の執筆のほかカメラバッグのプロデュースも行う。写真情報サイトstudio9代表。ライフワークは写真をより楽しむための情報を発信すること。
近著に「写真のことが全部わかる本」(インプレス)、「Lightroom[美]写真メソッド プロが教える感動写真の仕上げ方。」(エムディエヌコーポレーション)など。
Webサイト:http://photo-studio9.com

この5年ほどでカメラのボディの性能は飛躍的に進化し、高画素化とAFの高速化、動画撮影機能の向上など我々ユーザーにとっても分かりやすい変化が次々と起こっている。しかし、どんなにボディの性能が良くなっても、光をカメラに導くレンズの性能が追いつかなければ性能を100%生かすことは出来ない、ということも忘れてはならない。 かつては上位機種でも2000万画素程度であったカメラの画素数は今やα7R IVの約6100万画素、レンズはこれまで以上に正確に像を結ぶことを求められる。拡大しなければ高画素は必要無いと思う人もいるかも知れないが、スマホやテレビ、パソコンのディスプレイといった視聴環境は4K(約800万画素)のものが増えており、8K(約3300万画素)のものも出てきている。さらに現代のレンズは「より高速に」正確な像を結ぶ性能も求められている。たとえば、α9では20コマ/秒の連写を実現しているが、この超高速連写に追いつけるだけのAF性能が必要だからだ。 もう一つ忘れてはならないのが動画への対応についてだ。αは静止画だけでなく、大型センサーを生かした本格的な動画撮影を簡単に行うことができ、一度の撮影で静止画と動画の両方を撮るといった撮影シーンにも対応出来る。つまり、レンズには静止画向けの機能だけでなく、ズーミングやフォーカシング時でもレンズ特性が変わらないといった動画向け機能も求められるようになってきたということだ。 Eマウントに対応したレンズは年を追う毎に増え、αユーザーにはレンズの選択肢が多く用意されている。ユーザーとしては嬉しい反面で何を基準にしてレンズ選びをしたらよいのか、実のところよく分からないという人も多いことだろう。そこで今回は、αの性能を100%引き出すためにはどのようなレンズが必要なのかということを「解像」「AF」「動画対応」の3つのポイントに着目し、ソニー製ミラーレス専用設計レンズを使用した実際の検証結果とともにお伝えしていきたいと思う。

検証1 解像性能
周辺部に至るまでの優れた描写性能と美しいぼけ味との両立

最近のレンズは開放から1〜2段ほど絞ると画面中央部は非常に高い解像性能を発揮するものも多いが、画像周辺部の描写は絞ってもなおレンズの解像性能の差として違いが出やすい。また、解像性能を追求しすぎるとぼけ味が硬くなってしまうこともあり、解像とぼけの両立というのはレンズにとって重要な課題である。
ソニー製ミラーレス専用設計レンズは自社開発するイメージセンサーに最適化されていることはもちろん、ソニー製だからできるボディの将来を見据えたレンズ設計がなされている。特にG Masterはぼけの美しさを保ちながら1億画素にも対応出来る光学設計がなされているとされる。 最初に人気のSEL2470GM、SEL24105Gを使用し、比較対象にマウントアダプターを介して一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ(24-70mm,F2.8通し)を入れて解像性能とボケの描写性能について検証してみた。カメラはα7R IVを使用している。 まずは広角側を見てみよう。先ほど述べたように中央部は近年発売のどのレンズもよく解像しているが、周辺部を拡大して見るとレンズ毎に差が大きく見えてくる。

α7R IV,FE 24-70mm F2.8 GM 24mm,F5.6,1/100秒,ISO100

F5.6の状態で画面端の描写を比較したのがこちらだ。約6100万画素のα7R IVのJPEGを等倍まで拡大している。

左からSEL2470GM F5.6、SEL24105G F5.6、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ F5.6

ソニー製ミラーレス専用設計レンズであるSEL2470GM、SEL24105Gでは周辺に配置した小さな被写体をしっかり解像している一方、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズでは緑のバッジまではきちんと解像しているものの、そこから少し外側にある黄色のバッチでは一段解像感が下がっているように見えるのが分かるだろう。
最新設計のレンズでは中央から周辺まで一貫してキッチリ解像することで、引きで見た際にも画面全体がシャキッと見えることが期待できる。もちろん撮影後に大幅なトリミングが必要になったというシーンでも心強い。 望遠側も見てみよう。70mmで手前の本の背表紙にピントを合わせて背景をぼかした。

α7R IV,FE 24-70mm F2.8 GM 70mm,F2.8,1/50秒,ISO100

F4同士で周辺の解像を比較してみるとSEL2470GMは望遠端でもよく解像していることが分かる。SEL24105Gではやや柔らかい印象だ。比較対象にした一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズも望遠側はよく解像しているものの、後述するフォーカスを合わせる際の画角の変動であるフォーカスブリージングにより、実際よりも画角が広がっている点も気になる。

左からSEL2470GM F4、SEL24105G F4、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ F4

もう一つ注目して欲しいのがぼけ味だ。開放時の玉ぼけを比較するとSEL2470GMの玉ぼけは輪郭も美しく、口径食も少ないキレイな円形をしている。同じ開放F2.8の一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズは若干いびつな部分があり、よく見ると輪郭にエッジのようなものが感じられる。また、実際の画角が広がったことによりぼけのサイズも小さくなっている(同じカメラ位置で撮影)。
SEL24105Gは開放F4のため玉ぼけの大きさや描写はやや不利だが、右側の葉や小物入れのぼけ具合はSEL2470GMによく似た被写体の形を素直にぼかしていったような滑らかな描写をし、ゴワつきや芯のようなものが見当たらないのも好感が持てる。

左からSEL2470GM F2.8、SEL24105G F4、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ F2.8

私は撮影用途やシーンに応じてSEL2470GM、SEL24105Gの2つの標準ズームを使い分けているのだが、コンパクトなSEL24105GでもG Masterに似たぼけ味の写真を得られることも私がソニー製ミラーレス専用設計レンズを好んで使用する理由の一つである。

検証2 AF性能
カメラボディのスピード性能を最大限生かす優れたAF速度とその精度

高性能のαボディの実力を引き出すとき、違いが最もよく現れるポイントが連写時のAF性能だ。連写性能はαの強みの一つであり、ベーシックモデルのα7 IIIでもAF、AE追従を行いながら10コマ/秒、α9に至っては20コマ/秒の超高速連写を実現している。
ここで重要なのは、ボディ側の高速連写機能にしっかり対応出来るレンズを使用しなければボディの性能を十分に引き出すことができない、ということだ。αミラーレス機では、ソニー製Eマウントレンズだけでなく、他社レンズやマウントアダプターを介したAマウントレンズなど多くのレンズを使用することができるが、連写時のAF機能においては、ボディとの連携がしっかり出来ているソニー製のミラーレス専用設計レンズに分がある。 検証のために、室内でモデルに動いてもらい瞳AFを使いながら連写時のAF追随性を確認してみた。比較するのはSEL2470GM、SEL24105G、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ(マウントアダプターを使用)の3本だ。カメラは20コマ/秒のスピード性能を持つα9を使った。 レンズを70mmにセットし、部屋の奥からカメラ側へ小走りで近づく人物モデルをAF-C(瞳AF 人物)、連写Hi(20コマ/秒)の設定で撮影した。短時間で被写体が大きく近づき、画面外に抜けていくというレンズにとって非常に厳しいテストだ。F値はそれぞれのレンズの開放値で検証した(レリーズ優先、AF追従感度5)。

撮影中の動画がこちら

α9とSEL2470GMとの組み合わせでは約4秒間の撮影で約80枚もの撮影ができた
α9, FE24-70mm F2.8 GM 70mm, F2.8, 1/1000秒, ISO500

秒間20枚の連写と高いピント合焦率により、全80枚の中から、表情と躍動感が際立った1枚を選ぶことができた

検証の結果、ソニー製のミラーレス専用設計レンズのSEL2470GM、SEL24105Gはα9の20コマ/秒をしっかり生かし切っており、合焦率も非常に高い結果となった。一方、マウントアダプターを介した一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズは、連写が20コマ/秒から約半分程度に大幅に制限されてしまい、結果得られた写真も約半分に減ってしまった。さらにはピント合焦率も大きく下がってしまう結果となったので、スポーツなどその瞬間毎に表情が変わるような撮影ではこの差は非常に大きい。このような厳しいAF環境においては自社ボディに最適化された専用設計レンズの強みが大きく現れると言って良いだろう。
今回は動体へのAFという厳しいシーンで比較をしたが、静止物に対するAFでもSEL2470GM、SEL24105Gは迷うことなくスッと合焦してくれるため、動体をあまり撮らない人でも撮影時のAF快適性は大きく感じることが出来るはずだ。

検証3 動画対応
動画撮影時ならではの繊細な問題にもしっかりと対応する安心感

最後に紹介するのが動画性能だ。動画をあまり撮影しない人にとってみれば、写真がしっかり撮れるレンズであればそのまま動画も撮れるのではないか思うかも知れないが、動画撮影においては、録画中にズーミングやフォーカシングをしても画面が安定して表示されるという性能が求められるのだ。
中でも違いが現れやすいのが、ピント位置によって画角が変わってしまうフォーカスブリージングという問題だ。レンズの画角は無限遠にピントを合わせた時が基準になっており、近接撮影をすると撮影できる範囲が大きく変わってしまうことがあるのだ。大きくぼかした状態から近くのものを撮影しようとAFしたら画角が変わってしまったという体験をしたことがある読者も多いはずだ。これが動画撮影中に起きてしまうと途中でズーミングをしたような違和感が生じてしまうことがある。他にもレンズによってはズーミング時の軸ズレやピントずれが問題になることもある。
これを解決する方法の一つはシネレンズなど動画撮影向けに専用設計されたレンズを使う事だがこのようなレンズは非常に高価であることが多い。ソニー製ミラーレス専用設計レンズはこれらの動画撮影時に起こる問題についても対策されているのだ。 例として、SEL24105Gと一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ(28mm-75mm,F2.8通し)を用いてフォーカスブリージングの比較を行った。以下二つの動画は、撮影中の動画だ。奥のフォーカスポイントから手前のフォーカスポイントまでAFを動作させたときの挙動と画角の変化に着目して欲しい。

上の動画はフォーカスブリージングが発生してしまう、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ

対してソニー製のミラーレス専用設計レンズ「SEL24105G」はフォーカスブリージングの発生しない、スムーズなフォーカシングだ

SEL24105Gは非常に滑らかにフォーカスが遷移するだけでなく、画角の変化がほとんど無いことが分かるだろう。一方、一般的な一眼レフカメラ用標準ズームレンズ(24mm-70mm,F2.8通し)ではAFに迷いやガタつきが見られ、画面の端に着目してみると画角も大きく変化していることが分かる。これはMFでフォーカシングしたとしても起こってしまう現象で、このようなレンズは動画には使いにくい。撮影した動画に違和感が残るからだ。
参考までにSEL24105Gのズーミング時の軸ズレ、同じくズーミング時のピントずれを検証したが、動画撮影でも全く問題なく使える性能を持っていることが分かった。
今は静止画の撮影しかしていないという場合も、将来何かのきっかけでフルサイズセンサーを活かした本格動画撮影をしたくなる日が来るかもしれない。そんなときでも、動画撮影にも対応したレンズを最初から持っていれば、追加投資なしにすぐに高品質な撮影を楽しむことが出来るのだ。
また、静止画の撮影時でも厳密な構図を決める撮影が多い人はフォーカスブリージングや軸ズレのないレンズを使うと非常に快適に撮影できるということもぜひ覚えておくと良いだろう。

●まとめ

以上のようにソニー製ミラーレス専用設計レンズを使用し、「解像」「AF」「動画対応」の3つの点について比較検証を行った。サードパーティ製レンズやアダプターを介して手持ちのレンズを使って楽しめるということはαの大きな強みだが、革新的なイメージセンサーを搭載したボディの性能をしっかり引き出すなら、同じソニーの作る専用設計レンズが最適だ。ボディとレンズがお互いの未来を共有しながら開発されているというのは非常に安心できるポイントとなる。
レンズはボディよりも長い付き合いになることが多い。これから共に長く連れ添うレンズは将来のボディの高性能化にもしっかり対応出来るかどうかという点にも着目して選ぶことをおすすめしたい。

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