特集：「そのレンズが、世界を一変する。」風景写真家　高橋真澄氏×FE 70-200mm F2.8 GM OSS ～カメラが持つ高解像性能を最大限引き出すレンズ～

α Universe editorial team

2019.12.25

美瑛・富良野の自然風景を独自の感性で切り取り、常に新しい表現に挑み続けている風景写真家・高橋真澄氏。「70-200mmの焦点域は風景撮影において感性を育てる」という高橋氏にとって、ソニーの最高峰レンズ「G Master」のFE 70-200mm F2.8 GM OSSの魅力とは何なのか、話を聞いた。

高橋真澄 Masumi Takahashi／風景写真家 1959年北海道生まれ。北海道上富良野町在住大学時代より北海道の山を中心に撮影し始める。丘をはじめとする美瑛・富良野の自然風景を独自の感性で表現し続けている。「風景」四季シリーズ等、著書多数70冊以上。

風景写真を撮る人にこそ使用して欲しい

風景写真の撮影と言えば、真っ先に広角レンズを思い浮かべる人が多いと思うが、私の場合、使用頻度は望遠レンズのほうが圧倒的に多いですね。
もちろん雄大な自然の全景を隅々まで伝えたいような場合、広角レンズはとても有用ではあるのですが、そればかりに頼っていると、時としてそれは記録的な写真になってしまうことがある。そういう意味で望遠レンズは自分の意思で構図を組み立て、自然風景の一部分を切り取る必要があるので、受け手に自分の意思が伝わり易い。言い換えればそれは「作品表現について考える力を養うことができるレンズ」とも言える。
世の中には様々なジャンルの写真があるが、こと風景写真においてはあえて望遠レンズを持ち出し撮影することで、自分なりの感性を磨いてほしい。

望遠ズームレンズという名の「万能レンズ」

FE 70-200mm F2.8 GM OSSは望遠ズームレンズとしても非常に使いやすいが、実はとても万能性があると感じている。
G Masterがゆえの描写やぼけの美しさはもちろんなのだが、実は望遠マクロ撮影性能も非常に素晴らしい。最短撮影距離0.96mと最大撮影倍率0.25倍という優れた近接能力に加え、近接撮影で増加しがちな収差は見事に抑えられている。
私は50～100mm程度でのマクロ撮影はちょっと図鑑っぽい表現になりがちだと感じているので、このFE 70-200mm F2.8 GM OSSの望遠マクロによる、より柔らかい表現がとても好きなのだ。このような表現の万能性に加え、操作性もとても良い。そして北海道・美瑛の冬は大変厳しい撮影環境だが、防塵・防滴に配慮された設計は非常に頼もしく、まさに「万能レンズ」と呼ぶに相応しいだろう。

文句なしの高い描写性能

FE 70-200mm F2.8 GM OSSはさすがG Masterだけあって、その描写性能は文句なしの高いレベルだ。私は光を取り入れた作品を多く撮るが、ナノARコーティングによってフレアやゴーストを抑えてくれるのは本当に頼もしく、逆光でも躊躇（ちゅうちょ）なく撮影ができる。
また先に触れた望遠マクロでは、ズーム時でも開放F値2.8で撮影できる利点があるし、望遠マクロに代表されるようなぼけの描写も円形絞りなので大変美しくとろけるようだ。
さらに、一般的にはぼけがきれいだと、どうしても両立が難しくなる高い解像力をG Masterは持ち合わせている点が特筆すべき点であろう。
自然風景の中でも霧氷などは特にその解像性能が試されるのだが、このFE 70-200mm F2.8 GM OSSはそれを繊細かつ緻密に見事写し出す。

最近α7R IVが発売され、私も毎日のように使用しているが、この有効約6100万画素の高い描写性能をフルに生かせるのは、ミラーレス専用設計でソニー最高峰のレンズ「G Master」だからこそ、と思う。
カメラが一段上になったら、それを引き出せるレンズを使用しなければ意味がない。α7R IVの登場でやはりそれは顕著に現れてくる、と実感した。今後もαは進化を続けるだろうが、その進化を見据えて作られた専用設計レンズはやはり強く、そこにキーデバイスを内製しているαシステムの強さ、安心感を改めて感じている。
写真家としてはカメラの進化に応じて絶えず進化をし続け、それを上回る表現力を身につけなければならない。
常々私が言い続ける「表現を作り込める」αのシステムを手に、私はこれからも新たな表現に挑戦し続けていきたい。