Only Railway鉄道写真家 中井精也 氏
× FE 600mm F4 GM OSS Vol.8
美しき鉄道風景を、中井氏がαで撮る!デジタルカメラマガジンとの連動企画を毎月コラム形式でお届けします
みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回のセレクトレンズは「FE 600mm F4 GM OSS」です!ついにこの超望遠レンズの登場です!超望遠レンズは鉄道写真でも使用頻度は比較的高く、このクラスのレンズも過去に何度か使ったことありますが、このレンズを初めて手にしたとき、先ずはその軽さに驚愕しました。専用ハードケースで手渡しされたのですが、決して大げさではなく、「これ中身入ってますか?」と思わず聞いてしまったぐらいです(笑)。 そして解像感もぼけ味も文句のつけどころがない素晴らしさ。絞り開放で撮影すると列車のような大きな被写体でも、ピントを合わせた被写体が背景から浮き上がるような描写が本当に快感です。そんなレンズが狙う被写体は、「東海道新幹線」です。 それでは早速今回の1枚目、TOPにもなっている写真をご覧ください。2倍テレコンを装着して1200mm相当で撮影したものですが、大迫力の写真になりました。キレがあり、クオリティー高い描写に仕上がっているかと思います。
超望遠レンズは圧縮感を生かした迫力あるカットが撮れますが、ただ全体を入れたアップのカットだけでは面白くありません。列車を画面からはみ出させると迫力が増すのですが、その際にどれくらいはみ出させるかが重要です。京都で撮影したこの1枚目のカットでは、ほんのわずかですが車輛を画面からはみ出させています。如何でしょう? 2枚目になります。 こちらの写真は、少しだけ左に傾けることで動感が増すように工夫してみました。夕日を受けて輝く新幹線のフォルムが、なんとも美しく、さらにこのレンズのパワーのお陰で立体的な描写になっていると思います。
ここからは3枚、一気にご覧いただきます。 どれもこだわったポイントは、新幹線の美しいフォルムの表現です。
東海道新幹線の主力はN700とN700Aですが、どちらも先頭部のフォルムがとても美しい車両です。これは空力や風切り音を究極まで抑える形状を追求して生まれた機能美ともいえます。 どことなく鳥の嘴にも似ているこのフォルムを見ていると、自然界は太古の昔から風を切って進むための最適なフォルムを知っていたのかもしれないと、しみじみ感じました。ちなみにこの先頭部の形状ですが、職人さんが打ち出しで造り上げているとか。その技の素晴らしさも含めて、フォルムの美しさを表現したかったのです。 3枚の内の1枚目は夕日に向かって走る新幹線をバックショットで。夕日の光を反射して、美しく輝く姿に酔いしれながら撮影しました。2枚目と3枚目は暗闇を背景にラインライトで浮かび上がるシーンを捉えました。2枚目は朝、3枚目は夕やけの空の光が車輛に反射しているのですが、ラインライトのハイライト部分に露出を合わせてローキーにすることで、新幹線のフォルムが浮かび上がったような表現が可能になります。 見せたい部分の光を意識し、そこに的確に露出を合わせられるかどうかが大切なポイントになります。
今回6枚目の写真になります。 流し撮りです!超望遠レンズでの流し撮りは先頭部のみのアップが多いかと思いますが、敢えて離れた場所から撮影できる場所を探して撮影してみました。 車両を約2両半入れての流し撮り。本来流し撮りは列車の動きが直線的なのに対して、カメラの振りはどうしても弧を描いてしまうので、列車とカメラの動きを完全にシンクロさせるのは難しいのですが、遠くから望遠レンズを使い真横から撮影することでシンクロ率を上げることができます。 というわけで、ここでは2両半写っている列車全体を写し止めたちょっと不思議なイメージで表現することができました。600mmの超望遠レンズならではの表現方法とも言えるでしょう。
7枚目の写真ですが、600mmの超望遠レンズでの撮影となると自然と圧縮効果を活かした迫力重視の1枚を撮ろう!となりがちだと思います。しかし敢えて、この写真では迫力の1枚よりも幻想的な1枚を撮ってみようと思い挑んだ1枚です。 前ぼけの正体はススキです!ふわっとした優しい幻想的な1枚が撮れたのではないかと思います。
最後の写真は、先に撮影状況からご覧いただきます!
意味ありげに赤い枠線で囲っておりますが、あの部分を狙いました!
背景には関ヶ原の山々。架線柱と架線柱のわずかな空間を切り取りました。新幹線の沿線は人工物が多く、なかなか旅情を感じられる1枚を撮るのは難しいと思います。 とにかく探し回ってようやくこの場所を見つけました。600mmだからこそ見えてきた、旅情満点の鉄道風景になったんじゃないかと思います。
今回は600mmの超望遠レンズ1本で新幹線に挑むという、とてもエキサイティングな撮影旅となりましたが、このレンズの凄さを実感しながらも、さまざまな新幹線の姿を捉えることができてとても楽しい旅となりました。 それでは来月もこの場所で!中井精也でした。
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