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写真家 佐久間玲子 氏 × α7R IV
特集:先進画質×俊敏性。新しい表現領域へ

〜何気ない自然の吐息をドラマチックに魅せる卓越した表現力〜

α Universe editorial team

写真家になるために、期間限定で長野県にある「石の湯ロッジ」で働きながら修業をしている佐久間玲子氏。自然の中に身を置き、α7R IVでどのような自然風景を描いたのか。研ぎ澄まされた感性とカメラの性能でつむぎ出した、個性あふれる作品を見ながら話をお聞きした。

佐久間 玲子/写真家 沖縄県出身。カメラ片手に海外を放浪した後、日本の自然風景に魅せられる。現在は志賀高原にある石の湯ロッジで働きながら写真修業中。チームチャンピオンズカップに「チームアモーレ!九州沖縄」の一員として出場し、2017年優勝、2018年辰野清賞受賞。

海外旅行で写真に興味を持ち、
運命の出会いがプロへの道を照らした

――まずは、写真に興味を持ったきっかけから聞かせてください。

バックパッカーとして海外で一人旅をしていた時に写真に興味を持ち、一眼レフのフィルムカメラを購入しました。最初はスナップを撮っていましたが、そのうち人物や音楽のライブ写真も撮るようになり、写真のおもしろさにのめり込んでいった感じです。最終的には自然好きが高じて風景写真に目覚め、そこを追求していくスタイルになりました。 プロを目指したのは、一度きりの人生なので「生涯をかけてひとつのことを極めたい」と思ったから。大学では建築を専攻し、卒業して社会人になってからも「極めるべきものは何だろう」と悩んでいましたが、いろいろ考えているうちに行き着いたのが写真だったということですね。

――現在は志賀高原のロッジでプロカメラマンになるべく修業中と聞いていますが、修業に至ったきっかけは何ですか?

『風景写真』という雑誌にずっと憧れていて、いつかこの雑誌で賞を獲りたいと思ってコンテストに応募し始めていた時期でした。その出版社が主催する撮影会に参加して、そこで編集長とお会いする機会があったのです。「プロになりたい」という熱い思いを伝えしたところ、「若手育成プロジェクトに参加してみない?」と衝撃のひと言。タイミングがよかったというか、運に恵まれてそのプロジェクトに参加することになりました。 今、私が働きながら修業している「石の湯ロッジ」は写真愛好家のお客さまが多い宿泊施設で、ずっと写真事業を盛り上げたいと言っていたところ。『風景写真』と石の湯ロッジ、そして私の三者で成立したのが、このプロジェクトです。 実は2020年4月で3年にわたった修業期間が終わります。ロッジで働きながら作品を撮り続けることはとても大変でしたが、被写体を探す力は備わったのではないかと思っています。さらに「石の湯ロッジ」のおもてなしの精神、ホスピタリティーも学ぶことができたのは、今後の人生においてもかけがえのない収穫になりました。

畏敬の念を持って自然と向き合い
被写体のストーリーを読み取る

――初めてαで撮影した時の印象を聞かせてください。

初めて手にしたのはα7R IIIでした。とにかくその軽さに驚きましたね。カメラの設定が反映されるEVFも「なんて便利なんだ!」と感動したことを覚えています。コンパクトで軽いので機動力も抜群でした。私の地元・沖縄では、離島へ撮影に行くこともありますが、小さい島では移動手段が自転車です。自転車での移動や撮影に苦労することなく、手持ちで気軽に撮れる楽しさを知ることができました。それ以来、αは私の良き相棒です。

――風景写真を撮影する上で、ポリシーやこだわりはありますか?

敬意を払い、愛を持って自然と向き合うことを大切にしています。畏敬の念を持ち、謙虚な気持ちで接することで見えてくる世界もある、というのが私の信条です。美しい光景をパッと通り過ぎながら撮るような「つまみ食い」ではなく、じっくり、カメラを通して被写体を探す。そうすると「被写体が持つストーリーや歴史を読み取ろう」という気持ちになります。そのためには日々勉強です。限られた時間の中で被写体と向き合い、そこから何かを読み取ることは、今も学んでいる最中です。

私の中での普遍的なテーマは、自然そのものの魅力をいかに発見し、伝えていくか、ということです。どちらかと言うと「何気ないものの美しさ」を拾いたいという意識が強いと思います。何気ないものを撮るときは光がポイントになるので、光を繊細に表現するαは頼もしい味方と言えますね。

高解像と広いダイナミックレンジが
美しい自然を緻密に描き出す

――今回はα7R IVで撮影していただきましたが、実際に使ってみていかがでしたか?

まず驚いたのは圧倒的な解像感です。例えば下の作品。これはマクロで撮影したものですが、水滴に映り込んでいる周りの景色まで写し取っています。拡大してみると蜘蛛の巣の細い糸もきれいに写っていて、本当にびっくりしました。

α7R IV,FE 90mm F2.8 Macro G OSS 90mm,F11,1/10秒,ISO400

かわいらしいコケと霧によってついた水滴を映したものですが、森の中で撮っているので、水滴の中に森の世界が凝縮されています。小さな水滴の中に大きな森が写っているなんて、とても神秘的ですよね。

拡大すると、水滴の中に空と木々が写り込んでいることがわかる。

この時は30分以上、画角を変えながら撮り続けました。1:1の正方形で撮ったのは、丸い水玉があって宇宙のような世界観なので、丸との相性を考えてのこと。余計なものを入れたくない、という意味でも正方形がベストだと思いました。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 123mm,F11,1/100秒,ISO200

こちらは晩秋、雪が積もる前の草たちの最後の揺らぎを捉えた1枚。「優れた解像感により空気感まで伝えるαだからこそ魅力的に仕上げることができた」と、佐久間さん。

――下の作品は光と影のコントラストが印象的ですね。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 91mm,F11,1/50秒,ISO200

スポットのように光が当たっている柱状節理の岩肌を撮影したものですね。光がとても印象的だったので、思わずカメラを向けました。晴れの日に撮影したので照度差が強く、白飛びや黒潰れしやすいシーンでしたが、ダイナミックレンジが広いおかげで暗い部分の岩肌のディテールまでしっかり表現できました。よく見ると岩肌に黄色やオレンジに紅葉した草が生えていますが、この色合いをきちんと残しているところも見事です。 同じ場所にいると光がどんどん変わり、景色の表情も変わるので「まだまだ撮れる」とかなり粘って撮影しました。この岩肌には落ち葉がたまっていたり、木の根が生えていたりするのですが、こういった細かい部分はこのカメラの解像感がなければ捉えることができなかったと思います。

――佐久間さんは「ここで撮る」と決めたら、かなり時間をかけて撮るほうですか?

基本的には絶好なシーンを逃さないように、時間をかけて撮ることが多いです。「いいな」と思ったシーンは粘りに粘って、最高の瞬間を狙う感じですね。でも、シーンによっては1、2枚しか撮らないこともあります。やはり「いいな」と思った瞬間にカメラを構えるので、何枚撮っても1枚目が一番よかった、というケースも少なくありません。雲の位置が良かったり、光がよかったり、波紋がよかったり。その後はいくら待ってもそれ以上のものが現れない、ということはよくありますね。

被写体の魅力を素直に引き出せる
70-200mmの「G Master」がお気に入り

――今回の撮影ではさまざまなレンズを使っていますが、なかでもお気に入りのレンズはありますか?

やはり「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」ですね。透明感のある描写がとても気に入っています。下の作品はこのレンズで撮影したものですが、色再現もとてもいい感じ。F2.8という開放のぼけ表現の柔らかさや美しさも魅力です。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 158mm,F2.8,1/2秒,ISO100

夕日が沈んでだいぶ暗くなってから、白樺の林の中にポツンと潜む漆の小枝を撮影した1枚です。漆は早い時期に紅葉するので、周りにはまだ緑が残っています。白樺の優雅な林の中で1本だけ輝きを放っている漆。誰も見ていなくても、季節の移ろいに応じて真っ赤に染まっている漆がとても健気に思えてカメラを向けました。 この時は高解像のEVFにも助けられました。暗くても見やすく、合わせたい漆の部分にしっかりピントを合わせてくれましたからね。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 127mm,F16,2.5秒,ISO200

「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」の素晴らしさは上の作品でもわかります。70-200mmは圧縮効果を得やすいレンズで、自分が見ているものに対してストレートにアプローチできます。つまり、「いいな」と思ったものを素直に引き寄せることができる、ということです。このシーンは、枯れ行く樹木と、景色を映した池のコラボレーションですが、構図をシンプルにつくり込むことができます。さらに木の枝先までしっかり表現していて、透明感がありながらシャープな作品に仕上げることができました。

――風景写真では三脚を使うことが多いと思いますが、手持ちで撮ることもありますか?

三脚に据えているとチャンスを逃してしまう、と思った時は手持ちで撮影します。光の状態は目まぐるしく変わりますし、霧が勢いよく流れているシーンでは、いつ場面が現れるかわかりません。そんな時は機動力を生かして、ファインダーから目を離すことなく設定を変えながら撮るわけです。

α7R IV,FE 24-70mm F2.8 GM 70mm,F11,1/15秒,ISO400

上の作品は、全面凍結する前に一瞬だけ現れる薄氷を撮るために、早朝に出かけて手持ちで撮影しました。池の後ろにある山の木々は氷がついていて、そろそろ雪が積もって終わりを告げる運命にあります。そういった寂しげな最後の輝き、刹那的な美しさを捉えたシーンです。早朝で光がどんどん変わっていくため、三脚に据えている時間がもったいないと思い手持ちで撮影。α7R IVは5軸ボディ内手ブレ補正が手ブレをしっかり抑えてくれるので、手持ちでもためらうことなく撮影できます。光が弱い朝晩でも手持ちで撮れる、というのは自分の中でも革命的でした。

正方形や縦長にアスペクト比を変えるのは
日本画を意識した作品を撮る時

――1:1や16:9など、アスペクト比を変えて撮影している作品もありますが、どのような意図で変えているのですか?

最初に紹介した水滴を写したマクロの作品もそうですが、たいてい撮る時点のイメージで決めている感じですね。構図の納まりや被写体との相性で選ぶこともありますが、正方形や縦長で撮る時は日本画を意識していることが多いです。下の作品も日本風なイメージを意識して仕上げました。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 83mm,F16,1/500秒,ISO200

昔、日本には枯れ野を見物する風習があったようで、そのころの「わびさび」のような表現を意識して撮ったものです。特に枯れ草たちの趣と空間の取りかたがポイントで、こういう感覚は日本独自のものだと思っています。夕日が彩るオレンジからピンクへのグラデーションは階調も美しく、いい脇役になっていますよね。この色がさりげなくたたずむ枯れ草たちの趣を演出してくれています。シルエットの枯れ草も、細かな部分まで写し取っていて、まるで極細の筆で描いたような細やかさ。シンプルな作品ですが、このカメラの魅力がギュッと詰まっている1枚です。

α7R IV,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 138mm,F16,1/100秒,ISO100

上の作品は掛け軸を意識しました。志賀高原にある撮影の名所、一沼で撮ったものですが、ここはスイレン科のヒツジグサが有名な場所。でも花の時期が終わった秋に一掃されてしまい、葉が数枚だけぽつんと残っていました。その風景がとても寂しげで、青空を映した水面の美しさとともに撮影しました。α7R IVは本当に水の質感をきれいに捉えてくれるな、とうれしく思ったことを覚えています。 昼間に撮影しましたが、露出をアンダーにして印象的な作品に仕上げました。沼には魚が泳いでいて、魚がつくった波紋がアクセントになっています。黒の表現はデジタルの世界であまり推奨されていませんでしたが、こういう黒の階調を出すような表現をためらいなくできるようになったのは、やはり有効約6,100万画素の解像感があるからこそ。このカメラなら、日本画を意識した作品も積極的に撮りたくなります。

素直な心で自然と向き合えば
自ずと心に響くシーンに巡り合える

――佐久間さんは被写体を見つける感度が高いように思います。どのように被写体探しをしていますか?

私は「かわいい」と思う感覚を大事にしています。その瞬間に素直にシャッターを切るだけ。いい作品を撮ろうと気張り過ぎると被写体を見抜く力が落ちてしまうので、素直になる、というのは意外とキーワードなのではないかと思っています。 あとは、ささやかな自然の営みを探すようにしていますね。自然のささやきであったり、吐息であったり、何気ない日常だけど美しい。そんな自然を拾っていきたいという思いは常に持っています。

――修業期間は2020年4月で終了します。今後、αを使ってプロへの道を進むにあたり、希望や期待はありますか?

今、カメラは驚くほどの進化を遂げていますよね。それに伴って写真表現の可能性も広がっている。そういう可能性を常に見せてもらえるのがαです。私自身はカメラの可能性を最大限に活かしながら、自分の表現も最大限に伸ばしていきたいと思っています。 おそらくカメラの進化は無限大だと思うので、私も一生かけて進化していきたい。自分が極めるべく進んできた道なので、素直な心を忘れずにαとともに進化していきたいと思います。

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