特集:CP+で届けたかった思い
「αシリーズと「G Master」レンズで描く野鳥風景〜α7R IV、α7R III、α6600の優れた機能〜」
写真家 山田芳文 氏
残念ながら中止になってしまったカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+ 2020」。ここでは、ソニーブースのスペシャルセミナーで講師のみなさんが伝えたかった思いとともに、セミナーのために撮り下ろした珠玉の作品群をご紹介します。今回は、野鳥の姿だけでなく周囲の景色や環境まで美しく写し撮る写真家の山田芳文氏が、αと「G Master」レンズの組み合わせで撮った作品とともに、レンズによる「描き分け」について語ります。
山田 芳文/写真家
写真家。「100種類の鳥よりも1種類を100回」をモットーに野鳥を撮り続ける。撮った写真はカメラ雑誌や児童書、自然保護団体の会報誌などで発表。ライフワークは鳥がいる風景写真。主な著書は『写真は「構図」でよくなる!すぐに上達する厳選のテクニック23』(エムディエヌコーポレーション)、『野鳥撮影術』(日本カメラ社)、『やまがら ちょこちょこ』(文一総合出版)など。
最新刊は『α6600 基本&応用 撮影ガイド』(技術評論社)。
https://twitter.com/yamaday18/
〜Special Message〜
山田氏がスペシャルセミナーで伝えたかった思いとは
周囲の風景や環境とともに野鳥を写し、
異なる焦点域のレンズで描き分ける
野鳥を撮影している人はたくさんいると思いますが、超望遠一辺倒の人がほとんどではないでしょうか。私は、超望遠で鳥を大きく写すのではなく、周りの風景を含めて撮ることを信条にしています。ですから今回は、数ある「G Master」レンズを使って「描き分け」をしたいと考えていました。私の手法である「必然撮り」で、同じ個体を焦点距離の違う「G Master」レンズで撮ってみようと思ったわけです。 「必然撮り」とは、観察を繰り返して、行動パターンを読めるようになってからカメラを持って行って撮ることです。文字通り、偶然ではなく「必然」の状態で撮るという、私が勝手に名づけた手法です。例えば、下の作品も「必然撮り」になります。
昨年の4月上旬に撮ったアオサギですが、桜が咲く前から「こういう風に撮ろう」と決めていました。それ以降、この地に通いつづけ、アオサギの行動パターンを確認していたのです。その結果、思い通りの作品を撮ることができました。 都会に住んでいるアオサギはあまり警戒しないので、焦点距離が短いレンズで近寄って撮ることができます。僕はこのように鳥を小さく写して風景とともに撮ることが多いので、ポテンシャルが高いカメラでないと納得のいく画になりません。小さく写した鳥でも高解像で姿、形や羽の質感まで、しっかり捉えられなければ意味がありませんからね。そういった意味では、α7Rシリーズと「G Master」レンズの組み合わせは最適と言えます。
同じ場所で同じ個体を撮影し
「G Master」レンズで多彩に魅せる
ここからはαと「G Master」レンズで撮影した作品を見ながら、話を進めていきましょう。私は「G Master」レンズを気に入って常用していますが、一番の魅力は滑らかなぼけと、像を結んだ部分のシャープさを両立しているところです。特にぼけの描写は非常にきれいで、“ぼけの階調”といいますか、滑らかにぼけ味が変化していくところが気に入っています。 これから紹介する5点の作品は、すべてジョウビタキを同じ場所で撮影したものです。先ほど言った「必然撮り」で、昨年の12月上旬から今年の3月上旬まで、この鳥をずっと追いかけていました。4本の「G Master」レンズで描き分けてみたので、まずは「FE 24mm F1.4 GM」で撮ったものからご覧ください。
画面の左手前から奥に向かって、曲線で流れていくようなイメージで、右向きに止まった時に「こう撮る」と決めて撮ったものです。スズメほどの小さな鳥なので最短距離で撮らなければなりませんし、ジョウビタキが影にならないよう太陽が低い時間の順光は避けなければいけない。杭の右側に止まると尻尾が杭で隠れてしまうので、杭の左側にいなければいけない。さらに広角レンズは手前が大きく奥が小さく写ってしまうので、形が変形しない横向きを狙う。そんな限られた条件の中で、何日も通って撮った1枚です。 24mmという広角ながら、ぼけが非常にきれいですよね。「G Master」レンズで撮る時は美しいぼけを生かすため、あまり絞らないようにしています。このレンズは描写力が優れているだけでなく、とても軽くて取り回しが良いのも利点です。 下の作品は、同じ杭に止まっているところを「FE 85mm F1.4 GM」で撮影したものです。
曇天の空、常緑樹のグリーン、ピンク色に染まった梅の木が背景になるように、梅の開花に合わせて撮影しました。この美しい背景を圧縮して見せたかったので85mmを選択。この鳥は寒いと体を膨らませるのですが、警戒している時は膨らんでくれません。そのためリモコンが作動するギリギリの距離、9〜10m離れた位置からリモートで撮影。安心して体を膨らませたところを撮ることができました。
次は「FE 135mm F1.8 GM」ですね。ロープが奥に行くにつれて、だんだんと滑らかにぼけていく。この様子をどうしても135mmで撮りたかった。実は、僕はこのレンズが一番好きです。自分ではもっとも「G Master」レンズらしいレンズだと思っています。AFは速くて静かですし、とろけるようなぼけが本当にきれい。ピント位置はとてもシャープに見せてくれて、これこそ「G Master」レンズの真骨頂、という作品です。
次は「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」で撮影。シンプルに圧縮するために400mmで撮影し、画面を単純化させました。100-400mmという焦点域は野鳥撮影ではかなり利便性の高いレンズです。しかも見た目よりも軽く、α7R IVとのバランスも良好。左下に少しだけ入れた梅も、右上の木漏れ日も、ぼけ味がふんわりと柔らかく、ピントが合ったジョウビタキの姿を際立たせてくれます。
上の作品は「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」をα6600に装着して撮ったものです。α6600はAPS-Cサイズのセンサーなので、400mmで撮ると600mm相当の画角が得られます。さらに、「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」は98cmまで近づくことができるのでマクロ的に撮ることができるわけです。この時は最短撮影距離から杭に引っかけた爪に寄って撮ると決めていました。 このように私は鳥を観察しながらずっと同じ場所に通い、同じ個体を撮りつづけています。同じ個体を撮る上では、レンズを変えてバリエーションを撮ることも大切です。同じ個体でも背景や距離、撮影のタイミングによってまったく違う作品になりますからね。
画素数が上がっても優秀な高感度はそのまま。
クロップしても高画素を保てるのも魅力
α7R IIIを使っていた時から高感度に強いところが気に入っていたのですが、α7R IVでは画素数が1.5倍になったので「高感度撮影しても大丈夫だろうか?」と少し心配していました。でも下の作品を見て、その心配は一気に吹き飛びましたね。
泳いでいるマガモを撮ったものですが、少し暗かったのでシャッタースピードを上げるためにISO感度を1600まで上げて撮ってみました。ご覧の通り、ノイズ感はほとんどありません。有効約6100万画素もあるのに高感度でこれだけ画質が良ければ、暗いシーンでも安心して撮影できます。
α7R IVになり画素数が上がったので、クロップも積極的に使うようになりました。上の作品はアオサギをアップで撮ったものです。「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」を使い、テレ端にしてAPS-Cにクロップしました。600mm相当でより近くから撮れるので、近寄れる鳥に対してはこの撮りかたを多用しています。 クロップをしても約2600万画素もありますからね。実はα7R IVは“最強のAPS-C機”かもしれない、と思っています(笑)。クロップを使えることでフルサイズ機とAPS-C機、2台持っている感じがしますからね。私は比較的、引きで撮ることが多いので、変化を出すために寄りでも撮るようにしています。そのためクロップがあるとかなり便利です。
精度の高いリアルタイムトラッキング。
高画素でも約10コマ/秒の連写が可能
下の作品はウミネコの幼鳥を手持ちで撮ったものです。私はあまり手持ちでは撮りませんが、ミラーレス機はミラーショックによるブレがないので、αを使うようになってからは手持ちでも撮るようになりました。135mmの「G Master」レンズで撮りましたが、ブレもなく非常に写りが良いですよね。まだミラーがあるデジタル一眼カメラを使っている人で、ミラーレス機に乗り換えようか迷っている人がいれば、こういう利点があることも知っておいてもらえればと思います。
このように、飛んでいる鳥を追いかける時はリアルタイムトラッキングをゾーンに設定して撮影します。リアルタイムトラキングは非常に精度が高い。鳥の行動パターンさえ読めていればトラッキングで外すことは考えにくいですからね。1枚目さえピントを合わせてしまえば、2枚目以降は画面の中に入れるだけでしっかりと被写体を捉えつづけてくれます。 この時は連写も使いましたが、有効約6100万画素でありながら最高約10コマ/秒で撮れるところも気に入っています。手持ちで撮れるし、リアルタイムトラッキングで飛んでいる鳥にも的確に素早くピントを合わせることができ、連写も優秀。高画素にも関わらず、あらゆる機能が優れているところも野鳥を撮る上では頼りになります。
さまざまな焦点域のレンズを使い分け、
撮影領域や表現の幅を広げて欲しい
私が長年α7Rシリーズを使いつづけている理由は、「優れたAF性能」と「バッテリー性能」にあります。このふたつが第4世代となった「α7R IV」の一番の強みであり、ダントツに素晴らしい部分だと思っています。ミラーレスでは弱いと言われてつづけてきたこのふたつが強みになっているのは、ソニーが長い年月をかけて技術を磨き上げ、進化しつづけた“たまもの”といえますね。 今回の撮影ではα6600も使いましたが、このモデルはレンズだけでなくバッテリーもα7R IVと共有できるのが魅力です。スタミナ抜群のZバッテリーを共有できるので、2台持ちで出かける時も荷物が軽くて済みます。 さらにミラーレス専用設計レンズのラインアップが豊富なところも魅力のひとつです。先ほども言った通り、レンズを変えて撮るだけでいつもと違った作品を撮ることができます。ソニーは素晴らしいレンズがたくさん揃っていますから、野鳥撮影=超望遠と決めつけず、広角や標準、中望遠など、さまざまな焦点域のレンズを使ってみてください。撮影領域や表現の幅が広がるはずですから、みなさんもα7R IVに多彩なレンズを組み合わせて素敵な写真ライフを送ってください。
CP+2020で披露頂くはずだった作品の一部をご紹介
この記事で紹介された写真は、ソニーのAndroid TV ブラビアでご覧いただけます。
閲覧無料、迫力の大画面・高精細で、珠玉の作品をお楽しみください。
※期間終了しました
※期間:4/30(木)〜6/17(水)
※期間:5/21(木)〜7/1(水)
※期間:6/4(木)〜7/15(水)
※期間:6/18(木)〜7/29(水)
※期間:7/2(木)〜8/12(水)
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