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特集:CP+で届けたかった思い
「瞬撮『真』世界 αが捉えた海鳥の世界とは」
自然写真家 寺沢孝毅 氏

α Universe editorial team

残念ながら中止になってしまったカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+ 2020」。ここでは、ソニーブースのスペシャルセミナーで講師のみなさんが伝えたかった思いとともに、セミナーのために撮り下ろした珠玉の作品群をご紹介します。今回は、世界有数の海鳥の繁殖地、北海道の天売島(てうりとう)を拠点に野鳥の撮影や調査をつづけている寺沢孝毅氏が、αの性能を駆使して野鳥たちの真実の姿に迫ります。

寺沢 孝毅/自然写真家 自然写真家。1960年、北海道生まれ。22歳のとき移住した天売島に住み続け、絶滅危惧種のウミガラスやケイマフリの調査・保護活動を続ける。天売島を「小さな地球」と見立てて人や自然環境の撮影を続けるほか、極地から熱帯までの海洋環境や海鳥を中心に取材し、地球の素顔を伝える活動に取り組む。画像と音を使った講演活動「Photo & Sound Live」を全国展開中。千島列島取材をもとにした作品集『火山と生きる海鳥』(TERRA images)を2020年3月に刊行のほか『ケイマフリ 天売島の紅い妖精』(文一総合出版)、『北極 いのちの物語』(偕成社)など著書多数。 https://terra-images.jp

〜Special Message〜
寺沢氏がスペシャルセミナーで伝えたかった思いとは

海鳥たちの「真実」を伝えるために
カメラで生命の輝きを捉える

僕は野生生物やそれらが住む自然環境など、「真実」を伝えるための道具としてカメラを用いています。その道具として最も信頼を置いているのがα9シリーズと、α7Rシリーズです。 今はデジタルが主流の時代ですから、撮影後に作品をつくり込んでいくことも可能です。もちろん、つくり込んで芸術性を追求したような作品もありますが、僕が伝えたいのは「真実」のみ。生き物にも人間のように、優しい、うれしい、悲しいといったさまざまな表情があります。その瞬間を捉えたり、力強さや生命力を表現したり、そういった部分にフォーカスして作品を撮影しています。 彼らが住む自然の世界に流れる時間の一瞬に潜む「真実」を捉えるために、そして周囲の自然環境を鮮明に写し出すために、選んだカメラがαということです。僕の中の大きなテーマの1つが「海」ですから、CP+2020のソニーブースでのセミナーでは「海」を切り口に、海鳥や海獣の真の姿をお見せしたいと思っていました。 ここではセミナーで紹介する予定だった作品群を披露しますので、ぜひじっくりとご覧いただければと思います。

動きが素早いケイマフリの一瞬を魅せる
精度の高いAFと取り回しの良さ

僕は38年前に北海道の天売島(てうりとう)に移住して以来、周囲12kmの小さな島にずっと住みつづけています。8種類100万羽の海鳥の繁殖地であり、なかには絶滅に瀕(ひん)している鳥もいます。その調査や撮影をするため小型船舶の1級免許を取得し、エンジン付きのボートに乗って海鳥を見つづけてきました。なかでもケイマフリという鳥は僕が一番好きな鳥で、頻繁に撮影している被写体です。

α9,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 560mm,F8,1/2000秒,ISO3200

ケイマフリは俊敏な動きと美しい姿が魅力です。細長い首に小さい顔、色鮮やかな赤い脚と、とてもスタイリッシュな風貌ですし、時速80kmで飛び回り、1秒で10回以上羽ばたくので胸の筋肉がとても発達しています。運動能力が非常に高いので、撮影時はファインダーに入れて追いつづけるだけでも大変で、ファインダーに入ってもピント合わせでさらにひと苦労。撮影するには熟練の技術が必要だったのです。 その苦労を一気に解消してくれたのがα9でした。最高約20コマ/秒の高速連写性能で素早い動きでも足、翼、体勢ともに迫力ある最高の瞬間を捉えることができます。加えて強い味方になってくれるのが「リアルタイムトラッキング」です。小さなケイマフリに一度ピントを合わせてしまえば、フレーミングを変えてもピントを合わせて追いつづけてくれますからね。ピントを合わせる作業をカメラ任せにできることで、フレーミングに集中できるようになったわけです。 さらにα9と「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」の組み合わせも僕にとっては革命的でした。どちらも高性能でありながら小型軽量なので、鳥の動きに合わせてレンズを振って追いかけることができる。ボートを操船しながら撮影をする僕にとっては、軽量ということがとても大事な要素です。しかもテレコンバーターをつけてもAFや画質への影響がほとんどないので、「もう少し近づきたい」という時は積極的に使うことができます。

α9,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 560mm,F8,1/1600秒,ISO4000

特に上の作品は究極ですね。ある朝、ケイマフリたちが群れて求愛や威嚇(いかく)を思わせるような行動をとっていました。僕は少し離れた場所にボートを浮かべて「何か起こりそうだな」と見ていたら、突然、1羽のケイマフリが何かから逃れるように、ものすごい勢いで飛んできたのです。 写真を見てもわかるように、胸から着水していますよね。通常は足から入りますが、慌てていたためこのような着水になってしまったのでしょう。突然の出来事だったので僕はカメラを構えていませんでしたが、このケイマフリが飛び出してきた瞬間にバッとカメラを取り、ボディを顔につけたかどうかのタイミングでシャッターを切りました。つまり、フレームの中に鳥が入ったかどうかもわからない状態だったのです。それでもこの仕上がりですから、α9の性能には脱帽です。 通常、この状態ではフレームの中に被写体が入っていたとしてもピントも合わせることができません。でもα9であれば、シャッターを押しただけでカメラがピントを合わせてくれる。しかも取り回しの良い小型軽量の機材でなければ絶対に動きに追いつけません。この作品を撮ることができたことで、α9と「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」の組み合わせならどんな素早い動きの被写体でもたいていは追いかけることができる、という自信にもなりました。小型軽量がもたらす恩恵は単純に持ち運びが楽というだけでなく、撮影の可能性を広げる重要なポイントとなります。個人的には小型軽量による取り回しの良さがαの一番の強みだと考えているくらいです。

α9,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 560mm,F8,1/1000秒,ISO2500

上の作品は昨年の6月に撮ったものです。実はよく撮影に出かける場所ですが、このような海の色を見たのは初めてのことでした。岩の上にケイマフリが2羽たたずんでいて、その背景はブルー、手前はグリーンに輝いていますよね。水面には直射日光は当たっていませんが、背景の大きな岩に朝日が当たり始め、その光が反射して海に映っているのです。息をのむような光景に遭遇し、夢中で写真を撮りました。 こういった美しいシーンには明るい部分と暗い部分が混在していることが多くあります。見たままを忠実にカメラで写すのは至難の技ですが、α9はダイナミックレンジが非常に広いため目で見た美しさを忠実に再現することが可能です。難しい光でもしっかり写し撮れるので、周囲の環境も美しく記録することができる。海鳥だけでなく自然環境の美しさが相まって、相乗効果でより美しい作品に仕上げられるのは素晴らしいことです。

ボディとレンズの軽さと性能がものを言う
船上での手持ち撮影ではα9 IIの進化を実感

まず、知床半島で撮影した作品をお見せしましょう。知床半島は多くの自然が残っていて、僕にはひとつの島のようにも見えます。そんな自然豊かな知床に行くと、天売島を見つめ直すような気持ちになるのです。知床ではα9 IIに「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」を装着し、さらに1.4倍のテレコンバーターを加えて撮影に挑みました。いつどこでシャッターチャンスが生まれるかわからないので、当然手持ちでの撮影になります。

α9 II,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 1.4X Teleconverter 840mm,F10,1/1000秒,ISO2000

流氷接岸の時期は「接岸の瞬間に立ち会いたい」という思いで、必ず知床半島を訪れます。流氷の接岸は、オープンだった海が氷で閉ざされるわけですから、海に住む生き物にとっては自然環境の激変といえます。 今年は板状の氷が来る前に「氷泥(ひょうでい)」という写真のようなミルク色をしたシャーベット状の氷が押し寄せてきました。そして、全く予想外のことが起きたのです。どういうわけか魚が氷泥の表面まで上がってきて、気を失っているのか死んでいるのかわからなかったのですが、その魚たちをワシが目ざとく見つけて、飛んで来ては捕らえていました。こんな場面を見るのは僕も初めてで驚きましたね。おそらく氷泥の影響で仮死状態になるなど、生きられない条件になってしまうのでしょう。それを利用して、オオワシが獲物にありついているということです。 この場面では、鳥の寄りも撮りたい、氷泥やカモメたちも入れたい、と思っていたので200-600mmという焦点距離の広さが生きました。狙う被写体によって焦点距離を変えられるのはとても便利です。めったにない貴重な瞬間もこの機材のおかげで、思い通りの撮影に成功しました。 下の作品は天売島から3kmほど船で出た北海道の沖合30kmの地点から、北海道にある天塩(てしお)山地を背景に撮影したものです。

α9 II,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 1.4X Teleconverter 633mm,F11,1/640秒,ISO200

遠くにカモメの大群が見えたので、船で近づいてみたらウミネコとオオセグロカモメが群れを成していました。超望遠で撮影すると少しの揺れでも狙った場所がファインダーから外れてしまうものですが、使っているうちに船の上からでも手持ちで十分に狙える、という感覚を得ることができました。手持ち撮影ではα9 IIになっての進化にも助けられています。光学式5軸ボディ内手ブレ補正も5.0段から5.5段に進化しましたし、グリップが深くなってホールド感もよくなりましたからね。 この時は最高約20コマ/秒の高速連写で撮影し、鳥の位置や羽の形など、バランスのいいものを選びましたが、なかには魚をくわえている鳥が写っているカットもありました。拡大して見てみるとマイワシをくわえていたのです。これを見て「マイワシの群れを狙ってカモメたちが集まっていたんだ」と行動の理由までわかります。連写により鳥の生態や海の環境の真実がわかるのも、このカメラの素晴らしいところです。

α9 II,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F13,1/1000秒,ISO1000

波間に見え隠れしながら進むトドを「リアルタイムトラッキング」で撮影。トドに一度ピントを合わせたら追いつづけてくれるので、揺れる船上での手持ち撮影でも構図をつくりながら追うことができる。

α9 II,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F13,1/2500秒,ISO5000

繁殖期になり体全体が光沢のあるグリーンに変化したウミウを、真横から飛んでいる姿を狙って撮影。αは色再現性もよく、背景が黒い崖でも見たままの色を出してくれる。

高解像と高性能が表現の可能性を広げる
α7R IVで新たな撮影法にトライ

次は、今僕がトライしていることを2枚の作品を見ながら紹介したいと思います。海鳥や海の動物たちや生き物が住む環境を表現することが、僕の長年のテーマです。それらを高精細に表現するいい方法はないかと持ち出したのが有効約6100万画素の高解像を誇るα7R IVでした。

α7R IV,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm,F16,1/2000秒,ISO320

上の作品はオオセグロカモメが砕けた波を背景に飛んでいるところを撮影したものです。この日はとてもいい天気でしたが、風速20mの強風でした。天売島は遮るものが何もないので風がダイレクトにぶつかってきます。あまり見たことがない激しい波の中を、海鳥たちは強い風を上手に使って飛んだりするわけです。 そんなカモメの姿をα7R IVと「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の組み合わせで狙ってみました。このような環境では、風に乗って海水のしぶきが流れてきますから、自分や機材を守る意味でも波の近くに行くことができません。ある程度離れた安全な場所からの撮影になるため「もう少し寄りたいのに」と思うこともありますが、高画素のα7R IVなら後でトリミングするという選択肢もありますからね。ただ、トリミングが前提になると、ピントやブレに注意していかにシャープに撮るか、ということが重要になります。 α7R IVはメカシャッターで最高約10コマ/秒で撮ることができるのも魅力です。これだけの画素数にも関わらず連写で10コマ撮れれば十分に満足できます。超望遠で撮る場合、被写体が大きくなることで油断をして距離を空けてしまうと、空気によりピントに歪みが生じる場合がありますから、連写したカットの中からシャープなものを選び、6100万画素を生かして生き物たちの表情までわかるようにトリミングする。そんな活用法があるカメラだということが、今回の撮影でわかりました。今はこのような撮りかたをいろいろなシーンで試しているところです。

α7R IV,FE 16-35mm F2.8 GM 30mm,F2.8,1/80秒,ISO8000

そして、もう1枚が上の作品です。今までは望遠での撮影が中心でしたが、この時は「FE 16-35mm F2.8 GM」の広角ズームレンズを使って撮影しました。僕は、野生の生き物がいる環境、つまり風景を含めた作品も多く撮っています。こういう撮影こそα7R IVを使うのに最適なのではないかと思いこのカメラを選びました。 天売島で繁殖するウトウという海鳥が土の斜面に群れているシーンですが、ここは薄暗くなるとウトウが一気に100万羽近く集まって来る巣穴がある場所です。夜6時半くらいでかなり暗かったため、ビデオライト3灯を照明に使いました。ビデオライトを使ったのは、鳥たちが嫌がらない色や明るさに調整できるから。この時は光の色を眩しい白ではなく赤っぽい色にして、弱めの光を当てました。鳥が巣に戻る前から冷たい雨のなかでじっと待ち続けていると、1羽、2羽と、帰ってくる姿が見えてきます。その後は、あっという間にウトウだらけになるほど一気に巣に帰ってくるのです。 暗いとシャッタースピードを遅くしなければならず、三脚を使うのも有効です。でも、状況に応じて静かにカメラ位置や角度を変えられるように手持ちでスタンバイ。この時は5.5段分のα7R IVのボディ内5軸手ブレ補正が本当にありがたかったですね。さらに、ISO8000まで感度を上げて、シャッタースピードを1/80秒まで上げることができたのも良かった。被写体ブレを最小限にできました。高感度撮影でもノイズはほとんど気になりませんし、レンズの性能も相まって四隅もピシッとシャープに写し出しています。背景の海から空への階調も豊かで、ダイナミックレンジの広さも実感できました。 夜、巣穴に戻って来たウトウの群れのすごさを、どうすれば伝えることができるのか、天売島に住んでから38年間考え続けてきました。その答えがこの方法だったのです。今まで、こういう写真を撮った人は誰もいませんし、僕自身もやっとここまで辿り着いたという感じですからね。かつては残すことができなかった真実を、αは正確に記録しました。αは僕にとって、可能性を見出してくれるカメラです。だからこそ、いろいろなことに挑戦したいと思わせてくれる。αを使っているとカメラの進化によって撮れるものが増えつづけるので、僕は大忙しです(笑)。

今後もさまざまな海を訪れて
未知の世界を多くの人に届けたい

昨年は自分で企画を立て、千島列島クルーズにも行ってきました。ここでしか撮れないような珍しい海鳥、そして自然環境を撮影し、みなさんにお届けすることができたことをとてもうれしく思います。この時の作品は過去のαUniverse記事でも紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。

α9,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 200mm,F3.5,1/2500秒,ISO1600
α9,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter 305mm,F8,1/640秒,ISO1600
α7R III,FE 16-35mm F2.8 GM 21mm,F3.2,1/1250秒,ISO2000

できれば今年の夏にも千島列島へ行こうと、準備を進めているところです。昨年は求愛の時期を狙いましたが今年は巣立ちの時期になるので、全く違う自然を見ることができるのではないかと期待しています。 僕は「地球上の海の環境を表現したい」と思っているので、今後は南極方面にも行ってみたいですね。なかでも、訪れてみたいのが亜南極です。ニュージーランドから南極に向かっていくと小さな無人島がいくつもあり、その島の固有種のアホウドリやペンギン、おびただしい数の海獣類などを見ることができます。そんな「野生の王国」ともいえるような島々があるので、地球上の未知ともいえる自然や野生の真実をαでしっかりと記録して、みなさんにお届けしたいと考えています。 できれば地球上の海の環境を表現できる素材を北極から南極まですべて揃え、子どもたちに見せてあげられるような展示物や本をつくりたい、という思いもあります。誰もが簡単に行けない海には、未知の世界が多くありますからね。そんな見たことのない世界をみなさんに伝えられるように、今後もさまざまな海を探索したいと思います。

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