特集:CP+で届けたかった思い
「Natural Pet Photo のレシピ with α」
ペトグラファー 小川晃代 氏
残念ながら中止になってしまったカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+ 2020」。ここでは、ソニーブースのスペシャルセミナーで講師のみなさんが伝えたかった思いとともに、セミナーのために撮り下ろした珠玉の作品群をご紹介します。今回は、ペット撮影の第一線で活躍している小川晃代氏が、ペットたちのナチュラルな表情を捉える技を披露。「α7R IV」の性能を生かし、厳しい環境での撮影にも挑戦しました。
小川 晃代/ペトグラファー トリマー、ドッグトレーナー資格などの動物資格を保持するペトグラファーで今までに3万匹以上のペット撮影を手がける。制作会社勤務を経て動物に特化した制作会社&写真スタジオ「アニマルラグーン」を設立。写真教室の講師をはじめ、イベント企画・ペットモデルのコーディネーター等活動は幅広い。 著書は『ねこの撮り方まとめました!』、『こいぬ』、『こねこ』他多数。 http://www.animal-lagoon.com
〜Special Message〜
小川氏がスペシャルセミナーで伝えたかった思いとは
ペット撮影ではAF精度や連写性能が重要。
自然な姿を撮るために撮影にもひと工夫
私はペットのナチュラルな表情を引き出し、ありのままの姿を撮ることが好きなので、「CP+2020」のセミナーでは「Natural Pet Photoのレシピ」と題して、いきいきとしたペットの写真を撮るポイントや、撮影時に活躍するαの機能や魅力について紹介したいと思っていました。まずは普段、私がどのような作品を撮っているのかご覧いただきたいと思います。
この写真は砂浜で撮った1枚です。この子が大好きな紫のプラーを飼い主さんに投げてもらい、くわえて持って帰ってくるシーンを捉えました。後ろ足で砂を蹴り上げていて、とても楽しそうなことがわかる私のお気に入りの作品です。美しい自然の中で、ペットそれぞれの良さや個性が出るように撮るのが私の撮影スタイルです。
上の作品は黒の柴犬ですね。周囲に花があるなど、素敵なシチュエーションを生かすにはフレーミングが重要になります。じっくりと構図を決められるのがベストですが、ペット撮影の場合はそううまくはいきません。モデル犬のように「待て」がしっかりできる子はじっくり時間をかけて撮ることができますが、私が撮影するのは落ち着かない子やまだしつけ途中の子が大半です。そのため一瞬が勝負となります。 最初はペットボトルをワンちゃんの代わりに置き、タンポポがうまく入るように場所を決めたら本番です。この子も「待て」ができる子ではなかったので、動きが一瞬だけ止まるように私が鳴き声のような奇声を出して撮影しました。初めて聞く声だったのでしょう。不思議がって首をかしげてくれて、より可愛く撮ることができました。普段はこんな感じで工夫しながら作品を撮っています。 今回はすべてα7R IVで撮影しましたが、このカメラは高性能なAFと有効約6100万画素でありながらも最高約10コマ/秒という高速連写が魅力です。ペット写真を撮る上でこの2つはかなり重要なファクターなので、私がカメラを選ぶ時もこの2つを重視しています。ペット撮影ではAFも連写も優秀なαが、私の頼もしい味方です。
動物対応のリアルタイム瞳AFが
一瞬を逃さず、確実に捉える
基本的にペットの撮影ではAFの拡張フレキシブルスポットに設定し、フォーカスフレームをペットの瞳に持っていってピントを合わせているのですが、とっさに撮影する時は間に合わない時もあります。しかしα7R IVには動物対応のリアルタイム瞳AFという優れた機能がありますからね。慌ててしまうような時でも、カメラが自動で瞳にピントを合わせてくれるので、良いシーンを逃さずに済んで助かっています。 特に初めてペット撮影にチャレンジする人にとっては、強い味方になる機能です。設定にもたついてしまうと、その間に良いシーンを撮り損ねてしまいますからね。でも動物対応の瞳AFがあれば、シャッターを半押しするだけで瞳にピントを合わせてくれる。これはとても便利ですし、取り逃がしを格段に減らすことができます。
上の作品は薄暗い森の中で、周囲の自然と同化してしまうような似通った色味のワンちゃんを撮影しましたが、この時も動物対応のリアルタイム瞳AFが活躍しました。枯葉が舞ってワンちゃんの顔の前に飛んでくる瞬間もあったのですが、そんな時でもピントはしっかり瞳を追ってくれて一瞬を逃さずに撮ることができました。
上の作品はチューリップに興味津々のワンちゃんです。花の匂いを嗅ぐ一瞬を捉えられたのは高いAF精度のおかげです。大きな前ぼけになるように手前に花を入れ込んでいますが、これまでのカメラなら前ぼけがあるとピント合わせが難しく、少し時間がかかるものです。でもα7R IVなら動物対応のリアルタイム瞳AFがしっかり効いて、瞬時にワンちゃんの瞳にピントを合わせてくれました。
次は小雨の中、こちらに向かってくるネコを撮った作品です。悪天候で暗く、ネコと岩場が同化しそうな状況。さらに奥から手前へと移動する奥行きのある動きなので、瞳AFが効いてくれるか心配でした。それでも素早く的確に瞳にフォーカスするので、本当に頼りになります。 動物対応のリアルタイム瞳AFが搭載されてからは、しつけがされていない子でもより瞬間を逃さずに撮れるようになりました。例え一瞬しかいいポイントで止まることができなくても、そこを撮り逃すことがありません。飼い主さんと一緒に撮影に行くと「今の一瞬で撮ったんですか!?」とビックリされることも多いです。
AFの精度が倍以上良くなったと感じた
α7R IVの比類なき実力を検証
私はα7R IVが発売される前までα7R IIIを使っていました。α7R IIIもAF精度がとても良かったのですが、α7R IVで走るペットの撮影をしてみて驚きました。私の感覚では、ピント合わせの精度が倍以上良くなったと感じたからです。 驚きながらも、「もしかしたら、今までピントが合いづらいと思っていたシーンでも快適に撮れるのではないか」と思い、今回はいろいろなシーンにチャレンジしてみました。暗い場所や茂みの中、小雨が降っているシーンなど、あえて条件が厳しい中で撮ってみたわけです。それでもまったく不便を感じず快適に撮れたので、ここからは悪条件の中で撮った作品をご覧いただきたいと思います。
上の作品は富士山をバックに半逆光で撮影しています。どうしても背景に富士山を入れたかったので、光の方向は選べず、半逆光で撮らなくてはならない状況でした。逆光や半逆光で動きの速いものにピントを合わせるのはとても難しいので、私は今まであえて挑戦してきませんでした。でもこの時は「ピントの精度が良くなっているのでいけるかも」と思って挑戦し、バッチリ撮ることができた1枚です。 しかも、このワンちゃんは顔が真っ黒。目も同化するぐらいの黒さなので、カメラは瞳がどこにあるのか迷ってしまいがちです。それでもα7R IVで撮影した画像を拡大して見たら、瞳にしっかりピントが合っている。さらに、光が当たっているところといないところ、黒の濃淡からツヤまで表現できていますし、目と毛の境目もシャープに出ていてα7R IVならではの解像感や階調の豊かさも感じました。
こちらは紅葉のじゅうたんで撮りました。撮影直前まで雨が降っていたのでかなり暗く、撮影すべきか迷いましたが、紅葉の色や状態が一番いい時だったので撮影を決行。素早い動きに対応するために、思い切ってISO感度を3200まで上げて撮影しました。今まではザラつきやノイズが怖かったので高感度撮影は積極的にしませんでしたが、ISO3200で撮っても非常にきれい。瞳もキラキラした豊かな描写で、このくらいなら常用できると感じました。
上の2枚はイルミネーションとともに撮った作品です。ワンちゃんが動いてしまうためAFでのピント合わせは非常に難しいシーンですが、今回はα7R IVの性能を信じてAFで撮ってみました。結果、AFでもまったく問題なく撮れてしまってビックリ。真っ暗な中で後ろにイルミネーションの光が入っていても、AFがしっかり瞳にピントを合わせてくれます。以前はパソコンで見ると「ピントが甘いな」ということがあったのでイルミネーション撮影はあまり挑戦しないできましたが、今後は何の不安もなく撮影に挑めます。 α7R IVになり、どんな状況でも快適に撮影できる、頼れるカメラになったことを今回の作品撮りで改めて実感しました。ボタン操作がしやすくなり、EVFが見やすくなるなどさまざまな進化がありますが、私にとってはAFの進化が最大の魅力です。AFの進化により、今まで悪条件下の撮影で感じていたもどかしさはまったくなくなりましたからね。どんな状況でも快適に撮れるのがとても楽しかったので、今後もα7R IVでいろいろな環境下での撮影に挑戦していきたいと思います。
屋外では70-200mmの「G Master」、
屋内では35mm F1.4を使うのがおすすめ
ここからはレンズの話をしたいと思います。私がよく使っているお気に入りのレンズは「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」です。ぼけ味がとても素敵で、ピントが合っている部分は非常にシャープに写してくれます。走っているワンちゃんを撮る時も、単焦点より焦点距離を変えられるズームレンズのほうが便利です。とにかく描写がきれいでオールマイティーなので、屋外撮影の9割はこのレンズを使っています。
「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」を使う時は開放のF2.8で撮ることが多いのですが、上の作品は立ち位置が前後して2匹並んでいたため、少し絞ってF4で撮りました。背景を大きく入れてもぼけ味が美しく、「G Master」レンズの描写力がわかる1枚ですね。 そして、もう1本のお気に入りは「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」です。室内の撮影ではこのレンズをよく使います。50mmや85mmでは広めに撮ろうと思っても、後ろに下がれないことがありますからね。F1.4の明るいレンズであれば暗くてもISO感度を上げずに済みますし、部屋の粗を見せたくない時もいい感じでぼかすことができます。
上の作品は「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」で撮影したものです。階段の手すり越しに顔を出したところを猫じゃらしで気を引きながら撮影しているのですが、こういうキュンとするような可愛い表情は一瞬です。「もう一度やって」とお願いできないだけに、ペトグラファーはその瞬間を撮り逃してはいけないと思っています。 ペット撮影においての私のおすすめレンズは、屋外用に「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」、屋内用に「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」という感じです。ただ「G Master」レンズは手が届かない人もいますし、入門編としては重さが苦痛になる人もいると思います。そんな人にはα7 IIIと「FE 70-200mm F4 G OSS」の組み合わせもおすすめです。 F2.8にすると、花がぼけ過ぎて花の形がわからなくなったり、2匹以上を一緒に撮ると1匹にしかピントが合わなかったりするので、こういった場合は私も少し絞って撮影します。撮影の方法や状況によってはF2.8にこだわる必要がない人も出てくるでしょう。「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」よりも「FE 70-200mm F4 G OSS」のほうが軽く、取り回しも楽なので、ぜひ自分に合ったカメラとレンズを選んでください。
愛らしい姿や表情を残すために
素早く瞬間を切り取れるカメラを使おう
AF精度をはじめ、ぼけの美しい描写、レンズ交換による表現の多彩さなどを考えたら、やはり専用機のカメラで撮るのがベスト。今まで一瞬のタイミングを逃して悔しい思いをしたことがある人は、ぜひαでの撮影を試してほしいと思います。 AFの性能が上がり、ピント合わせをカメラに任せられるようになると、背景の選びかたや切り取りかたに目を向けられるようなります。そこでいろいろ考える時間が取れるようになれば、写真も上達するものです。性能のいいカメラを使えば、写真の腕も上がるということですね。 そのおかげか、写真が上手になっている人もかなり増えています。ただ「作品がマンネリ化している」という話もよく聞くので、そう感じている人はレンズを変えてみるのも方法のひとつです。いつもは使っていないレンズを試したり、外に出る機会があれば広い画で風景も入れつつ、ワンちゃんにピントを合わせて背景ぼけを生かした作品を撮ってみたりするのもいいと思います。 ペット撮影で一番大切なのは、なるべく素早く、その子が楽しんでいる時間を切り取ってあげることです。ペットたちの負担を軽くするためにも、パッとピントが合ってくれるカメラを使うことをおすすめします。その点でもα7R IVは最適なカメラです。今回は過酷な環境下でたくさん撮影しましたが、どんなところでも一瞬を逃しませんでしたからね。驚くほど楽に、いい瞬間やいきいきした表情を逃さずに撮れることを私は実感してきたので、みなさんともその感動を分かち合いたいです。
この記事で紹介された写真は、ソニーのAndroid TV ブラビアでご覧いただけます。
閲覧無料、迫力の大画面・高精細で、珠玉の作品をお楽しみください。
※期間終了しました
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※期間:5/21(木)〜7/1(水)
※期間:6/4(木)〜7/15(水)
※期間:6/18(木)〜7/29(水)
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