特集:CP+で届けたかった思い
「天空の輝き・α7R IVの次元」
天体写真家 沼澤茂美 氏
残念ながら中止になってしまったカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+ 2020」。ここでは、ソニーブースのスペシャルセミナーで講師のみなさんが伝えたかった思いとともに、セミナーのために撮り下ろした作品も加えた珠玉の作品群をご紹介します。今回は、天体写真家として多方面で活躍している沼澤茂美氏が登場。この1年で世界を飛び回り「α7R IV」を中心に撮影した幻想的な作品を見ながら、撮影状況やカメラの性能について語ります。
沼澤 茂美/天体写真家
天文宇宙関係のイラスト、天体写真の仕事を中心に、内外の写真雑誌、天文雑誌、書籍の執筆、NHK天文宇宙関連番組の制作・監修、プラネタリウム番組の制作などを手掛ける。パラマウント映画社『スタートレックDeep Space9』の特撮映像素材、ポスター制作を担当した。
辺境の地へ取材も多く、2017年「アメリカ皆既日食取材」(NHK)、2016年「インドネシア皆既日食取材」(NHK)、2013年末 NHKスペシャル「アイソン彗星」 カリフォルニア取材では、20日間カリフォルニアの砂漠地帯を晴天を求めて迷走した。代表的なNHK取材として1989年南米チリの「ラス・カンパナス天文台での長期ロケ」、2003年「南極での皆既日食撮影」などがある。
2010年以降ナショナルジオグラフィックツアーの依頼で「イースター島皆既日食」や「西オーストラリアバーヌルル国立公園」、「スピッツベルゲン島皆既日食」などのツアーに同行する。
また、世界最大規模の星の祭典「胎内星まつり」の企画運営を36年間継続。神林村立(現村上市)天体観測施設「ポーラースター神林」、黒川村立(現胎内市)胎内自然天文館の建設監修を行なう。
2011年新潟市国際コンベンションセンター「朱鷺メッセ」で開催された「にいがた宇宙フェスタ」企画制作を担当する。ライフワークとして赤外写真、モノクロファインプリントの表現を追求している。2004年環境大臣賞受賞。著書多数。
〜Special Message〜
沼澤氏がスペシャルセミナーで伝えたかった思いとは
αとともに世界中で天体撮影
感性を大事に撮りつづけた1年
私は長く天体写真を撮影していますが、最初は星空よりも宇宙で何が起こっているのか、「目に見えないもの」に興味がありました。特殊な光学系を使うなどして、普段は見えないものを撮るために一生懸命になっていたのです。デジタルカメラの時代になり、特にαの性能が格段に良くなってからは、撮る視点が地上からの風景に変わってきました。もちろん、天体や彗星などのサイエンティフィックな写真は撮りますが、地上から見た視点のほうがおもしろくなってきたのです。 なぜ地上から見たほうがおもしろいかというと、星空を通して自己表現ができるから。星空や天体の写真は非常にロジカルで、対象がどこまで写っているか、何が写っているか、と評価がとても簡単でした。でも地上から撮ると叙情的な要素が入ってくるため、感性が重要になってくる。すると「心象表現にも宇宙や星空と同じように無限の可能性がある。奥深さがある」と感じるようになってきました。天体写真を撮っていると、心の宇宙を表現しているような気持ちになる。αを使い始めてから、そんな心の変化がありました。 私の心にも、撮影にも変化を与えてくれたαの魅力を語るために、ソニーブースでセミナーを行う予定でした。残念ながらそれは叶いませんでしたが、この1年で撮った作品をこの場でご紹介したいと思います。この日のためにたくさん撮影してきましたので、記事の最後のギャラリーまで、ぜひご覧ください。
悪条件の中で工夫し、粘って捉えた
「絶海の孤島イースター島の星空」
まずは9年ぶりに訪れたイースター島です。見かけは変わっていませんが、状況はずいぶんと変わっていました。一番の違いは、夜、モアイに近づけなくなったこと。モアイが群れになっている有名な場所が4、5ヵ所あるのですが、そこはすべて柵で囲まれていました。世界遺産保護のための柵ですが、その環境下でイースター島らしい写真をどう撮るかが早急の課題になったのです。 頭を悩ませたもう1つの要素は天気です。初日は今にも降り出しそうな曇り空で、次の日は雨。とても星が望めるような状況ではありませんでした。でも、ずっと待機していると夜半から雲が切れ始めて、星が見えるようになってきたのです。イースター島には街が1つしかなく、そこからモアイが立ち並ぶ場所に行くには車で30kmほど走らなければなりません。準備万端で待機し、空を読みながらその距離を移動したからこそ、雲間から星を見ることができたということですね。
上は唯一、モアイの近くから撮影できる場所でした。「アフ・トンガリキ」という有名スポットの、離れたところにある1体のモアイを星空とともに撮影。ここも石を積んだ塀で囲まれているのですが、その塀にカメラを乗せ、赤道儀で自動追尾しています。真っ暗の状態で石の上に三脚の足を置き、アクロバティックな体勢で撮影。かなり大変でしたが、地面のディテールまでしっかり出ていますし、雲や星空の明暗も階調豊かに見せてくれました。暗部を多少持ち上げていますが、この臨場感を再現できるのがαの素晴らしさです。 雲間には日本では見られないようなきらびやかな天の川と、コントラストの高い星たちが写っています。中央のやや左、雲のところにある青い星は織姫です。地上に人工的な明かりがないので、雲が黒い。だから雲が流れているというよりは、天の川が侵食されていくように感じました。日本は人工の明かりが多いため雲が白く写りがちですが、明かりのないイースター島では不思議な感覚で星空を見ることができます。
こちらはアナケナ・ビーチです。右下のヤシの木の陰にモアイがいるのですが、見えますでしょうか? ほとんどのモアイは内陸を向いていますが、ここはモアイが海に向かって立つ特別な場所なのです。左側の明るい星がはくちょう座の「デネブ」で、七夕の「カササギ」の星にあたります。カササギは七夕に織姫と彦星の橋渡しをする役目を担っていいます。ヤシの木のシルエットが印象的で、ドラマチックな星空を際立たせていますよね。 使用したレンズは「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA」です。画角が狭くなると景色とともに星空を写すのが難しくなりますが、50mmくらいになると銀の砂のように星の存在感が強くなり、星空がとてもきらびやかに見えます。その効果がよく出た作品だと思いますし、ソフトフィルターを付けているので星々の粒が生きているかのように見えます。 本当はモアイの近くまで行って撮りたかったのですが、柵があったのでこれが限界でした。撮影ではすべての条件が整い、万全で撮れることはまずありません。撮りたい場所に入れない、天気が悪いといった悪条件が重なることも多い。その中で何かを見つけようと努力するわけです。そうすれば必ず何かが見つかる。悪条件の中でも主題を見つけて撮ることは、意外と楽しいものです。手かせ足かせが多くなると人間は考えるようになりますから、今までと違った視点が見えてきておもしろいと思いますよ。
皆既日食の美しさを再現するために
経験から導き出した動画の撮影法とは
次は「皆既日食のコロナをリアルに再現する」をテーマに、昨年夏にチリで撮影した皆既日食についてお話ししたいと思います。下の作品は、皆既日食の全工程です。南半球なので北半球とは動く角度が違いますが、この時は夕方の日食で、右上から太陽が欠けながら低くなっていき、真ん中で太陽がすっぽりと月に隠れる皆既日食になります。
部分日食の時は濃いフィルターを入れて撮っているため太陽の輪郭がはっきりしますが、皆既日食ではフィルターを外しているため、黒くなった太陽の周りにベールのように広がるコロナが写っています。その後はだんだんと太陽が元の形に戻りながら沈んでいくわけです。
上の作品はα7R IIIを2台とα9を使用し、画像を合成したものです。内側と外側を別々に撮影し、5〜6枚の画像を合成してつくっています。コロナの内側と外側では1万倍から10万倍くらい明るさに差があるので、1枚の写真で忠実に再現することは不可能です。外側を撮ろうとすると内側が真っ白に飛んでしまうし、内側を撮ろうとすると外側は何も写らない。肉眼で見るとこんな風に見えますが再現が難しく、多くの写真家がその様子を忠実に再現しようと努力してきたのです。さらに私は「コロナの美しさをどうにか動画で再現できないか」と常に考えていました。 しかしコロナの階調はとても広く、単独画像での再現すら難しい。何枚も画像を重ねて肉眼で見るのと同じような静止画をつくっているくらいですから、「動画なんてとんでもない」と思われていたわけです。 そんな無理難題に光が見えて来たのは、インドネシアで皆既日食が起きた2016年のこと。α7R IIを使い、撮影後に合成することを前提に露出を変えながらたくさんの写真を撮りました。その中で気付いたのです。JPEGではコロナが白飛びしていましたが、RAWデータを処理すると同じ画像からコロナのディテールまで表現でき、光が美しく広がる画が出てきたわけです。これにはかなり驚きました。「これなら1枚でできる。もしかしたらRAWデータをたくさん撮れば、繋げて動画をつくることができるんじゃないか」と新たな発想が生まれたのです。
そんな発想に辿り着いたころ、α9が登場します。α9は階調性に優れていて、RAW展開した時はα7R IIと同じぐらいの表現力がある。さらに高速転送に適したメモリーカードを使うと、約5コマ/秒に近い速度で圧縮RAWの連写ができる。つまり、α9は約5コマ/秒の動画が撮れてしまうということです。 動画で高階調を再現するには、S-Log2やS-Log3などの特殊なLogカーブを使い、書式に則って再現する、というのが今までのスタイルでした。動画の世界はとてもややこしく、面倒な作業も多い。でもRAWデータなら私たちが常に扱っているものなので、自動処理した高階調画像を大量につくって繋げることは簡単です。実は、現在の映画製作でも「動画のRAW撮影」が行われています。RAWの静止画がたくさん連なっているのがシネマフォーマット、RAWフォーマットというもので、私はこれとまったく同じことをα9の連写でやろうとしたのです。 撮影したRAWデータは膨大な数になりますが、私は手慣れていることもあり、画像処理ソフトで自動処理すると簡単に動画がつくれます。最終的に8bitのJPEGに変換して約5コマ/秒で繋げるのです。約5コマ/秒では映像がスムーズではないので、さらにモーフィングなどの補完技術を使って約25〜30コマ/秒の映像に仕上げます。すると、本当にリアルな、肉眼で見たようなコロナの映像ができました。
皆既日食はインドネシアの後、アメリカでも撮影しました。望遠鏡を介し、α9でF11、シャッタースピード1/13秒で撮った画像をJPEGで展開したのが上の左です。右はRAWデータからガンマ補正をした画像です。 この方法を用いて、チリの皆既日食では動画をつくりました。動画は記事の最後で見ることができますので、ぜひご覧ください。
高画素でも優れた階調性能を実現した
巧みな表現力を誇る「α7R IVの次元」
次は進化を遂げた第四世代、α7R IVの魅力をお話ししたいと思います。 有効約4240万画素のα7R IIIでもかなり満足していたのですが、α7R IV ではさらに高解像の有効約6100万画素になりました。星空を撮る我々にとっては、画素数が上がることで高感度性能が下がり、階調は失われていくのではないかという不安があります。 しかし実際に使ってみると、本当に階調特性がいい。やはりカメラは新しいほど良くなる、ということをα7R IVは示してくれました。画がまったく違いますからね。星を撮る時は天体用のCCDカメラや冷却カメラなどのデバイスやさまざまな光学系を使いますが、α7R IVの画は本当に素晴らしい。35mmフルサイズセンサーにこの有効約6100万画素、加えて最高約15ストップという広ダイナミックレンジ、これらの高いスペックが生み出す画質は、まさにこのカメラにしかない色再現、表現力だと感じさせます。
底知れぬ力を持っているα7R IVの特徴を生かして天体を撮影するには、開放絞り値が小さい明るいレンズを使うことが前提です。上にあるようなミラーレス専用設計の明るいレンズを使えば、このカメラの能力をフルに発揮することができます。
ここからはα7R IVと明るいレンズを使って撮影した作品をご紹介します。上の作品は冬場に見られる「光柱(こうちゅう)」という現象を撮影したものです。上空にある氷の層に海に浮かぶ船の漁火(いさりび)が反射することで、光の柱が浮かび上がります。移動しながら撮影していたのですが、この場所で空を見上げた時に「光柱がありそうだな」と思いカメラを空に向けました。肉眼で見るよりも光柱をはっきりと写し撮っているだけではなく、光柱の微妙な色の差、星の色もとても良く出ています。これが撮れたのは階調や色再現に優れたα7R IVのおかげです。
これは海岸沿いから海に向かって撮った1枚です。薄い雲がまるでベールのようで、雰囲気のある作品に仕上げることができました。街灯が手前の岩を照らし、海の上には漁火がある、という状況です。一般には星々の明るさが人工光に負けてしまい、撮影を敬遠するシチュエーションと言えます。しかし、RAWデータを適切に処理することで人工の光をおさえながら星の輝きを表現し、また、淡い雲のディティールも面白い添景として表現してくれます。まさにこの時ならではの星空のシーンを再現してくれます。 以前は、肉眼で見た星空をいかに再現するかが大きな目標だったところがあるのですが、今日のデジタルカメラは大きく進化しました。特にα7R IVの画像は、肉眼で見た以上の目では気が付かない星空の姿を再現してくれると言って良いでしょう。これは写真を撮るもののイマジネーションを大きく刺激します。常に何か新しい発見が待っているのではないかという期待を抱かせてくれるのです。
上は新潟市にある大きな潟(かた)を有した公園です。私が気に入ったのは、景色のディテールと空の星、どちらも雰囲気良く出ているところ。特に地上の様子は「こんなにしっかり出てくれるのか!」と驚きました。現場は足元が見えないくらい真っ暗だったので、普通は真っ黒に写ってしまうものです。そんな状況でも地上と星空、どちらもバランス良くしっかり写せるのはα7R IVの広いダイナミックレンジがあってこそでしょう。
α7R IVを筆頭にαの特定モデルには搭載されているブライトモニタリング機能は私にとって大きな魅力です。 星空の撮影は常に暗い状態で行いますから肉眼でもよく見えませんし、光学ファインダーや通常のミラーレスでは構図がうまく決められません。そんな時に役立つのがブライトモニタリング機能です。これは、夜に写真撮影をする私にとってはなくてはならない機能で、これがあるからこそαを使っているという部分もあります。 ブライトモニタリングをオンにすると、背面液晶モニターやEVFの映像を明るくブーストしてくれます。以前は明るい星を基準にし、想像しながらフレーミングしていましたが、この機能を使えば暗い星まで撮影前にしっかりと確認できる。思い通りに正確にフレーミングできるので、撮っては動かしてというフレーミングの調整を繰り返さずに済むのです。
上の写真はブライトモニタリングのオンとオフの状態を比較したものです。オフではほとんど星が見えませんが、オンにすると天の川もこんなに見えてくる。だからフレーミングが楽になります。
上の動画はよりわかりやすく説明するために、ブライトモニタリングをオフからオンにするまでを撮影したものです。F1.4で撮影しているのでオフの状態でもオリオン座の形がわかり、おおよそのフレーミングはできます。でもオンにすればこれだけ明るくなりますから、正確にフレーミングができます。 特に林の中から星空を見上げるようなシーンなど、木の枝の間からしっかり星が見えるようにフレーミングする時には威力を発揮します。星の動きは意外と速いので、撮っているうちに隠れてしまうこともありますが、ブライトモニタリングをオンにしておけばすぐに調整が可能です。
最近のαには多くのモデルにブライトモニタリング機能がついていますが、通常メニューの中にはないのでボタンをカスタムして設定しなければなりません。私は削除ボタンのC4に割り当てて使っています。上はα7R IVを使う時の私のカスタム設定です。星空を撮影する人はこんな感じで設定すると便利なので、参考にしてみてください。
開放でも描写が美しい「FE 20mm F1.8 G」。
扱いやすく作画しやすいのが魅力
「CP+2020」で作品を発表するために、2020年3月に発売された「FE 20mm F1.8 G」でも撮影しました。レンズ構成を見ると高度非球面レンズを2枚、さらにEDガラスを3枚も使うという非常に贅沢なつくりになっています。実際に撮ってみると20mmでF1.8の明るさがあれば十分ですし、大口径ですが小さくて軽いので扱いがとても楽です。 このレンズを使って画質の検証をしてみましたので、下の写真をご覧ください。
周辺部と中心部を切り出し、ソフトフィルターの有無で比較しています。予想では周辺部は放射状方向に星像が伸びるかな、と思っていましたが、それがまったくなく、中央から周辺まで鮮鋭な描写を得ることができました。 その他にもいろいろと試してみましたが、このレンズは非常に良いです。昔はこのくらいのスペックになると開放では使えないことが多く、星を撮る人の多くは1段以上絞ってサジタルコマフレアによる星の変形を緩和していました。しかしこのレンズは開放でも安心して使うことができる。これは非常に素晴らしいことです。
上の作品は剪定したばかりの柿の木とともに星空を写したものです。剪定すると独特な枝ぶりになり、まるで生きているかのような感じがしますよね。右下の明るい星は金星で、西に傾き始めた冬の星座をバックに撮影しました。20mmはワイド感を表現できる、作画しやすい焦点距離です。24mmと比べて上下左右の対角が10度ほど広くなっただけですが、この10度の差はやはり大きいと感じます。
これは2月末、空の青さが残る日の出前の薄明に撮影しました。夏の天の川がもう昇って来ていて、中央右に見えるのはさそり座です。なかなか雲が切れず、明るくなり始めたタイミングでやっと撮ることができました。雲の合間に明るい天の川が写っていて、ワイドな20mmが雲の動きをリアルに表現しています。 雲一つない、人工の光の影響を受けない星空を理想の撮影条件とする人は多いのですが、実際私達のみの回るにはそのような星空は皆無です。そして私達はそんな現実の星空の下で、さまざまなシチュエーションの下で感動し、心を動かされます。雲が流れていたり、雲の隙間から星の輝きが見えたり、あるいは電柱越し見たり、人家の上に輝く星など・・・。こういうシーンとの出会いはすべて一期一会の出会いでどれもかけがえのないものです。α7R IVと明るいレンズの組み合わせは、そんな出会いを確実に記録し、作者の思いを表現してくれます。αの進化は撮影表現をどんどん多様化してくれるようですごくわくわくします。
評価は他人に委ねず、心の声を聞いて
独自の視点を見つけてほしい
私は昔から写真表現について考えたり、悩んだりしてきました。目的の星や風景を撮影し、その素晴らしさや神秘性を多くの人に伝えようと努力してきたわけです。だから「偶然の産物」は、あまり認めたくない。私自身、流れ星のように偶然の産物を撮影することもありますが、写真を自己表現と考えた時は「偶然を期待して撮ってはいけない」という思いが心の奥底にあります。 しかし最近はカメラもレンズも進化して、意識したものとは違う画像が撮れることも多くあります。肉眼では見えにくいものも写るようになり、予想と違うものが撮影画像に含まれていたりするわけですからね。撮影者には「被写体や仕上がりを支配したい」という思いがありますが、予期しないものが見えてくるワクワク感も代え難い。予期しないものは偶然の産物であり「自分が否定してきたことじゃないの?」という葛藤はありますが、そこに身を委ねて現状を受け入れることも今は大切なこと。未知のものを見る新鮮さや新しい発見が撮った後に見えてくることで、撮影時の思いや表現方法も変わってきているように感じますからね。そんな思いに到達したのは本当にαのおかげです。期待を裏切られたり、期待以上のものができたり。それが新たな楽しみになりました。 6月から10月にかけては夏の天の川が美しく見えるから、と対象を決めて撮影することも多いと思いますが、「自分のいる場所で見上げる星空」にもぜひ注目してほしいところです。星が見えにくい都会であろうと、その星空は一番身近で、非常に意味があるもの。どんな星空でも眺めれば「きれいだな」と思いますから、その思いを大事にして撮影を楽しんでほしいと思います。今、星空を撮影するなら、フルサイズのαと「FE 20mm F1.8 G」の組み合わせが個人的にはベストな組み合わせです。最新のα7R IVでなくても、α7 IIIやα7 II、α7S IIでも十分に自分の思いを写真で表現することが可能です。明るいレンズを空に向けて、あらゆる設定で撮影してみてください。RAWデータで撮ればJPEGでは得られない多彩な表現がパソコン上ででき、今まで知らなかった星空が見えてくる可能性もありますから、それを楽しみに「そこで見上げた星空」を撮影しましょう。 決してきれいな写真を撮ろうとしなくてもいいのです。撮ってみたいという気持ちにさせる、突き動かすものが重要ですからね。「見上げた星空に感動した」といった心の動きや思いに導かれて自分が撮るべきものを見つけるのも楽しいものです。SNSで「いいね」がたくさんほしいと、評価を他人任せにすると行き詰まってしまいますから、自分の心に忠実に、自分の声を聞きながら自分の視点を見つけてほしいと思います。 最後にチリで撮影した皆既日食の動画を用意しましたので、ぜひご覧ください。
CP+2020で披露頂くはずだった作品の一部をご紹介
この記事で紹介された写真は、ソニーのAndroid TV ブラビアでご覧いただけます。
閲覧無料、迫力の大画面・高精細で、珠玉の作品をお楽しみください。
※期間終了しました
※期間:6/18(木)〜7/29(水)
※期間:7/2(木)〜8/12(水)
※期間:7/16(木)〜8/26(水)
※期間:7/30(木)〜9/9(水)
※期間:8/13(木)〜9/23(水)
※期間:8/27(木)〜10/7(水)
※期間:9/10(木)〜10/21(水)
※期間:9/24(木)〜11/4(水)
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