みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。
今月から装いも新たにスタートする新企画。「COLORS」。COLORS、‘色’のことですね。なぜこの言葉を選んだのか最初に簡単ですけどご説明します。 皆さんもご存知のとおり日本には四季があります。その季節ごとに変化する様々な色彩に満ちあふれた世界は、いつも私たちを感動で包んでくれます。
僕は、世界でもとりわけ日本人は自然界のさまざまな「色」を大切にし、愛でる人が多いんじゃないかと思っています。そこで今回から始まる新企画 では、そんな日本の美しい色彩に着目してみたいと考え、テーマを「COLORS」としました。
これから毎月、テーマカラーを決めて美しい“色”に溢れた鉄道写真を皆さんにお届けしたいと思っていますので、どうぞ宜しくお願いします。
さて記念すべき第1回目の“色”ですが、「青」に決めました。
さっそくトップの写真にもした写真をご覧ください。
自然界で青色と言えば海や川、そして空の色もですよね!
実は僕のこれまでの長いキャリアの中で、忘れられないほど今も印象に残っている青と出会ったことがあるのですが、それは十勝岳を望みながら走る富良野線の背景に広がっていた夏の空の青です。今回、僕はあの時の青を求めて、北海道・富良野へと向かいました。
最初の写真と2枚目は、最新のGマスターレンズとなるFE12-24mm F2.8 GMで撮ったのですが、美しい青空と富良野線を僕が思い描いたまま見事に描写してくれました。
前述したとおり2枚目も同じ場所からFE12-24mm F2.8 GMで撮りました。
1枚目と2枚目ですが、雲の表情が違うだけで、大きく印象が変わることが分かってもらえるかと思います。1枚目もですが、この写真でも今回のテーマカラーである“青”を打ち出すべく空を構図に大きく取り入れています。夏空をとてもクリアに描写してくれています。そして空の青のグラデーションが本当に美しいと思います! 3枚目になります。 空の“青”から今度は海の“青”です。
海は、空の色を映す鏡のような存在のようだと僕は感じています。曇り空では海も白くなりますし、青空のもとではより一層青く輝きます。ここは札幌と小樽の中間にある銭函付近の海岸。崖の上から海を望むと、深い青に染まっていました。ここではレンズを変えてFE16-35mm F2.8 GMで撮影しています。海と空という2つの青が溶け合う贅沢な世界を、海からの風を感じるような臨場感とともに撮影することができました。 さて、ここからご覧いただく3枚の写真は時間帯を変え、日没から夜にかけて広がる“青”の世界を追い求めてみました。
この日没から夜にかけて展開される青い世界は、とても美しい青の時間になります。夏は夜明けが早く一番列車の前に日が昇ってしまうので、チャンスは夕方のわずかな時間のみです。時間的には日没後の30分くらいがベストなので、時刻表とにらめっこして場所を決めていきます。訪ねたのは、富良野線の美瑛〜美馬牛にあるジェットコースターのような線路。ここは踏切から手軽に北海道らしい作品が撮れる有名なポイントでもあります。
坂を上ってゆく列車のテールランプをポイントにしました。ジェットコースターの坂の中央付近は左右が抜けていて、そこだけ光が回るので、そこに差し込む日没後のわずかな光をメインに、テールランプを狙った1枚です。
次の写真になります。
この場所で僕が狙いたかった本命です。向かってくる列車を捉えたこの写真は、踏切が閉まる前のかなり遠い位置から撮影をしています。ヘッドライトによって線路が光輝き、とても幻想的な1枚になりました。撮影時間は夜の8時少し前です。ほぼ夜の時間だからこその「青」を表現することができました。 そして今回ご覧いただく最後の写真になります。
翌日、日没後に撮影した写真です。美瑛ならではの丘の風景に日が沈むと、麦畑がゆっくりと青に染まります。手前の麦畑を青い波に見立てて、望遠レンズの圧縮効果で自然の力強さを強調しました。
やがて列車の音が近づいてくると、カーブした線路が輝きだします。ハイビームで列車が現れたとき、麦畑は僕が思い描いた青に染まりました。
今回から始まった新企画「COLORS」 第一回目の「青」は如何でしたか?
これからも日本の美しい色を追い求めていきます。そして、この企画を通して、どんな色と出会えるのか、今からとても楽しみです。
それでは来月もこの場所で。
中井精也でした。
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