私の中の固定観念が覆ったレンズ
〜FE 12-24mm F2.8 GM〜
Photographer 山隈祐介 氏
山隈祐介/photographer 福岡にて写真を学び、スタジオアシスタントを経て2012年より婚礼における写真撮影、映像制作会社ケーアールケープロデュース株式会社に在籍。2017年には拠点を東京に移し、指名制フォトグラファーとして活動するかたわら、クリエイティブディレクターとして多くの撮影現場の監修。2018/2019には全米最大のフォトコンペティションWPPIにてSilver Award受賞。今季よりフリーランスとして独立し、始動。個性と感性で撮りきる撮影スタイルが持ち味。 Instagram: @tg_ph.yamaguma @yusukeyamaguma
私とαとの出会い
元々一眼レフ機を使用していましたが、AFの追従において不満を抱えていました。レンズの開放値で撮影を行うシーンにおいてファインダー上では思い描いた箇所にピントが合焦しているものの、撮影データを見てみると奥や手前にピントがずれていることが多くあり、思い描いた撮影が出来ずに悩んでいました。 そんな時にとある機材展を通して出会ったのがαシリーズです。当時の婚礼撮影ではαを使用している方はそこまで多くない印象で、自分自身も最初、本格的に使用するかどうか迷ったのも事実ですが、試しにサブカメラとして撮影に使用してみると想像以上の性能と描写力のクオリティに驚き、以前の機器に抱えていた不満が一気に無くなったのを覚えています。ウエディングの撮影現場においては、限られた時間をいかに有効に活用し撮影出来るかがポイントですが、αシリーズを使用してからはモニターでのピントチェックの時間も減り、より多くのシーンを撮影する時間を作り出すことが可能になりました。
このレンズは過去に経験したことがない感覚
今回FE 12-24mm F2.8 GMを使用して感じたのはそれまで私が使用していた広角レンズの16mm→12mmという単なる視野の広がりでは無く、広角そのものの概念を覆すポートレート撮影の世界でした。
私が考えるウエディング撮影での広角レンズの使用目的は、主に各シーンにおける5W1Hを1枚の写真で表現できることです。もう一つは撮影環境が窮屈な場合においても、広い範囲を撮影できることです。よって広角レンズでは「引き絵」が多くなる印象があります。しかし、このレンズの魅力は単に「引き絵」として用いるには余りにも勿体無いと感じています。それは初めて使用した際、過去に経験したことのないポートレート撮影の感覚があったからです。映し出した被写体に目が吸い寄せられるこの感覚は、このレンズの独特の特色と個性でしょう。もっとこのレンズを使ってポートレート撮影をしたい。それが私のファーストインプレッションです。
壮大な絵作りが可能に
私が関わっているウエディングの世界において、このレンズにしか撮れない世界は確実にあると思います。 12mmという世界はこれまで見たことの無い世界を写し出してくれます。結婚式の進行で例えると、フラワーシャワーやバルーンリリースなどの1つの絵にたくさんの被写体を写しこみたいシーンや、会場の作りを生かし、壮大な絵作りを可能にします。また、持ち運びや移動が多いウエディング撮影において、このレンズが小型であることは大きなアドバンテージです。 機動力を優先するが故に、撮影ごとに選定から外すようなレンズもありますが、このレンズはどの撮影現場にもフィットします。多くのターゲットがレンズに写し出される中でも適切かつ迅速に撮影者の意図通りのフォーカスを提供し、ストレスなくスムーズに映し出してくれるのはαの性能のサポートがあってこそです。このレンズとαの組み合わせが、これまで見たことがないウエディング写真を生み出すと確信しています。今回撮影し掲載している写真が、一つの証明になればと思います。
これまでの常識では計れない性能
広角は絞らないと解像度が落ちていたことが過去にはありましたが、嘘だったんじゃないかと疑ってしまうぐらいに、このレンズでは開放で撮影しても隅々まで素晴らしい解像度を保っています。また、下記の写真のような暗所な撮影においても、開放F値2.8で撮影できることは何よりの強みでした。
一方で広角におけるネガティブはフレアやゴーストです。もちろん表現としてあえて使用する場合もありますが、必要以上には発生して欲しくないものです。 下記の写真を撮影した日は素晴らしい天候に恵まれました。 ここしかない、とFE 12-24mm F2.8 GMを迷わずセット。良く広角殺しの「逆光」と言われますが、この日は多くの逆光シーンにおいて美しい青空と、素敵な被写体を写し出してくれました。このような逆光シーンでも広角レンズを積極的に使用出来るのは撮影者にとってかなり嬉しいことだと思います。かなりキツイ逆光の中での撮影でしたが、このレンズはフレアやゴーストの心配をすることなく美しい世界を映し出してくれていました。私にとって信頼の置けるレンズであることは間違いありません。
今回の撮影では、画角を下げてかなり煽った撮影もしていますが、広角独特の歪みがかなり少ないように感じました。通常は歪み補正を行うことが多いのですが、今回は補正を行っていません。真っ直ぐに伸びる線や建物の湾曲が少ないからこそ私はより人物撮影(ポートレート撮影)に使用したいと考えています。
このレンズと新しいチャレンジを
FE 12-24mm F2.8 GMというレンズは、これまでにない表現を手に入れるポートレートレンズだと私は思います。なぜなら最広角12mmでありながらも歪みが少なく、それでいて開放時から隅々まで高い解像性能で美しく描写されている点。また、ぼけ味も滑らかで美しく、まるで35mmや50mmの単焦点レンズで人物撮影をしているような感覚に似ている点があったことも理由の一つです。 私の中では中望遠がポートレートレンズだという概念は覆りました。もともと広角レンズが好きで、多くの場面で使用していましたが、FE 12-24mm F2.8 GMの使用により、一定の撮り方や表現で留まっていたことに気付かされました。今後はこのレンズと共に広角のポートレートという新しい表現へチャレンジしていこうと思っています。
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