新時代のコンパクトなフルサイズミラーレス「α7C」
フォトグラファー&ビデオグラファー対談! PART 2wacameraさん・DAIGENさん編
ソニーのフルサイズミラーレスカメラ「α7C」をテーマに、フォトグラファーとビデオグラファーが語り合う企画のPART 2をお送りします。 PART 1はこちらです。 新時代のコンパクトなフルサイズミラーレス「α7C」 フォトグラファー&ビデオグラファー対談! PART 1 今回登場いただくのは、wacameraさんとDAIGENさん。 登場以来フルサイズミラーレスのユーザーを広げ、今なお評価されているベーシックモデル「α7 III」をベースに、フルサイズミラーレスカメラとして世界最小最軽量*を実現した 「α7C」。基本性能を落とすことなく、持ち出しやすいサイズになったフルサイズミラーレスカメラがもたらすものとは、一体なんでしょうか。
フォトグラファーとビデオグラファー、考え方や立場は違えど、作品制作にかける想いの強さは変わりません。「α7C」に対し、お二人はどのような感想をお持ちになったのか聞いてみました。
wacameraさん Instagram: https://www.instagram.com/wacamera/ Twitter: https://twitter.com/wacamera
DAIGENさん YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCYMk7O2LXe0elRf1s0W1wXw Twitter: https://twitter.com/daigen_bbw
持ち出しやすい=撮影機会が多くなる
――それでは自己紹介からお願いします。 wacamera: フォトグラファーになって11年です。写真館で基礎を学んだ後にウェディングフォトの会社へ、その後独立してから趣味の作品をInstagramに公開していたら、様々な方面からお声がかかるようになりました。現在は旅行系のプロモーション作品などを中心に手がけています。 DAIGEN: 元は製薬会社の営業をしていましたが、自分の子どもに仕事を楽しんでいるかっこいいお父さんを見せたくて、2年半前くらいにビデオグラファーとして独立しました。僕の場合はYouTubeチャンネルの開設を機に仕事が広がりましたね。 ――これまでのα遍歴をお聞かせいただけますか? wacamera: 他社の一眼レフカメラを使っていたのですが、動画を撮りたくて「α7S II」を購入したのが最初です。静止画と動画の両方が撮れるということで選びました。結局その頃は動画を諦めてしまったのですが(笑)。その後は「α7R II」「α7 III」と使ってきました。 DAIGEN: 最初に買ったαという意味では一眼レフの「α55」ですね。ビデオグラファーになろうと思い入手したのが「α6500」でした。その後にメインのカメラとして「α7 III」を購入、これをずっと使っていました。現在はメインに「α7S III」、サブに「α7C」という感じになっています。 ――α歴も長いお二方ですが、お好きなソニー純正レンズはなんでしょう。 wacamera: もう「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」が好きすぎて(笑)。大きくて重いのですが、私の撮影スタイルに一番合う気がしています。 DAIGEN: 愛用しているのは「FE 24mm F1.4 GM」「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」「FE 85mm F1.8」です。 ――では「α7C」の話に入ります。最初に見たときの印象はいかがでした? wacamera: とても小さく軽く感じました。まず、他のフルサイズミラーレスαにあるファインダーの山の部分がない。これには驚きました。 DAIGEN: 私も初見の感想は同じですね。ソニーのフルサイズミラーレスは元々小さいのに、さらに小さいのを出してきたな、という印象でした。一見APS-Cセンサーのカメラのようだなとも。あとは持ち出しやすそうに感じました。 wacamera: 私は手が大きい方なのですが、ボディは小さいのにグリップがしっかり持てたことに好感を覚えました。バリアングル液晶モニターにもなっているし、「小さいのに欲しい機能を盛り込んでいるな」という感想でしたね。 DAIGEN: ビデオグラファーの私からすると、どちらかといえば動画向けにチューニングされたモデルだとも感じました。動画の撮影中では基本ファインダーを覗かないので、「α7C」のようなスタイルで問題ありません。ファインダーを使うのは真夏の明るい陽ざしの中くらいですね。 ――なるほど。カメラが小さく軽いということに、どのようなメリットを感じられますか? DAIGEN: YouTuberとしては、持ち出しやすさがそのまま撮影機会につながり、それはつまり世に出せるコンテンツが増えることになります。それはありがたいですね。 それに、家族で出かけた時も、なるべく記録を残してたいと考えています。そんなときは荷物を少しでも減らしたい。子どもの面倒を見ながら重い機材を持って撮影するのは、本当に無理なんです(笑)。カメラが軽いと子どもにも持たせやすいですしね。 wacamera: 軽ければそれだけ疲労がたまりませんよね。以前は海外の街を1日中歩いて滞在3日目くらいにようやく休むという感じでしたが、いまは1日撮ると翌日は動けない(笑)。カメラが軽くなればなるほど、撮影のチャンスは増えると思います。サブ機あわせて2台を持ち歩いたとしても、どちらかが、あるいは両方が軽ければ、それだけ行動範囲は広がりますし。
wacameraさんの作品
――それではwacameraさんの作品を見ていきましょう。秋の高原にススキの穂が光っていますね。かなり広角での表現ですが、レンズは何ですか?
wacamera: 「FE 20mm F1.8 G」です。このレンズも小型軽量なので、「α7C」とのバランスは最高でした。軽いボディに軽いレンズ。大げさに言うと、手に持っていることを忘れるような軽さでした。そして画質もいい。このとき初めて本格的に使ったのですが、「なんて軽くて良い写りのレンズなんだ」と思いました。描写も繊細で穂の先までシャープです。 DAIGEN: このレンズはαを使うYouTuberにも人気がありますね。周囲の光景を入れながら自撮りするのに最適な画角なのです。 wacamera: 比較的手に取りやすい価格のレンズですが、こういう逆光でもゴーストやフレアが目立つようなことはほぼありません。 ――空が白とびせずに残っていますね。wacameraさんにとってダイナミックレンジの広さは重要ですか? wacamera: はい。最重要項目と言って良いでしょう。ほぼRAW+JPEGで撮影しているのですが、Dレンジオプティマイザーは常に最大の+5にしています。RAW現像のとき、Dレンジオプティマイザーが適用されているJPEGを参考にして作りこんでいます。 ――次の作品も印象的ですね。かなりの望遠に見えますが……
wacamera: 上の作品と同じ高原で撮影したものです。歩いていたら月と遠くにいる人物を見つけ、とっさに「FE 135mm F1.8 GM」に取り替えて撮影しました。少しトリミングしています。 ――トリミングしてもこの描写はすごいですね。 wacamera: このレンズは大きく長いので、サイズや見た目的には「α7C」とのバランスは「FE 20mm F1.8 G」ほどは良くないです。でも「α7C」は他のフルサイズミラーレスαと同じように、純正レンズの素晴らしい性能を引き出してくれる。小さいからと言って、画質で「α7 III」に引けを取る部分はないですね。 ――とっさにレンズ交換して撮影されたそうですが、「α7C」の起動時間や撮影レスポンスは良好ですか? wacamera: 起動までの時間を意識していませんでした。「α7 III」でも気になっていないですが、むしろちょっと速くなっているような気がします。 ――夕暮れ時で望遠とくれば、手ぶれが気になります。「α7C」のボディ内5軸手ぶれ補正の効果は感じられました? wacamera: 日が暮れてくると特にそうですね。私たちフォトグラファーの大半は手ぶれ補正に助けられているのではないでしょうか。小さくなってもちゃんと補正してくれるのはありがたいですね。 ――今度は人物ですね。ぼけがきれいです。
wacamera: 「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」です。優しくなだらかにぼけてくれるのは、やっぱりフルサイズだからかなと思います。小さいので「α7C」にも良く合いますし、小さくてこの写りの良さというのが良いところですね。 DAIGEN: 僕もこのレンズを持っています。とても好きなレンズです。 wacamera: 人物を撮る時には特に、50mm前後のレンズは持っておきたい1本ですよね。 ――この写真では瞳が写っていませんが、お二人は人物を撮られるときに「リアルタイムトラッキング/リアルタイム瞳AF」を使われますか? wacamera: このときは意識的に設定していなかったのですが、シャッターボタンを半押ししたら勝手に追いかけてくれてびっくりしました。 DAIGEN: 使っています。人を撮るとき、とにかく役立ちますね。動画を撮っているときは考えることがたくさんあります。露出は適正に設定されているか、画面の隅に余計なものが入ってないか、などですね。「α7C」は動画撮影時にもリアルタイムトラッキングとリアルタイム瞳AFが作動するので、事前の設定でフォーカスをカメラに任せることができます。フォーカス以外のことに気を配れるのは本当にありがたいです。 ――インスタ映えスポットとして有名な、富士本町通りですね。
wacamera: はい、背景の山は富士山です。1年前にも同じ場所で「α7 III」で撮りました。そのときの写真と、商店街の看板や電線、遠景の階調など、描写力は変わりません。「FE 135mm F1.8 GM」を使っていますが、細かい線がよく出ています。 ――横断歩道の人物はモデルさんですか? wacamera: 実は私です(笑)。三脚を使って友人にシャッターボタンを押してもらってます。車と重ならないよう、何度も撮ってもらいました。車道から撮ったように見えますが、「α7C」を置いている場所は歩道です。写真の手前の道路がかぎ状に曲がってるのです。 ――同じく富士山をバックにした作品です。どうやって撮ったのですか?
wacamera: 「FE 20mm F1.8 G」をつけてコスモスに近づいて撮りました。しゃがんでファインダーを覗いています。小さなコスモスでしたが、広角レンズで近づくと、背景に対してここまで大きく写せます。コスモス以外がぼけているのは、F1.8の効果ですね。順光で強い日差しもありましたが、鮮やかな色合いの花びらやシベの質感が失われていない解像はさすがGレンズだと思います。 ――優しい色合いと階調ですね。レタッチはどのようにされるのですか? wacamera: 私の場合、緑を下げておとなしくすることが多いです。そうした雰囲気にソニーの絵作りがあっている気がします。レタッチはパソコンではなくスマートフォンです。その方がSNSに公開しやすいので。 DAIGEN: wacameraさんのレタッチや切り取り方が好きなんです。カラーグレーディングで、この作品のような色作りを動画でもしてみたいですね。 wacamera: ありがとうございます! ――滝の写真です。三脚を使ったのですか?
wacamera: はい、1.6秒露光しています。バリアングル液晶モニターを使い、アングルを工夫しました。 ――赤い服を着た人物がアクセントになっています。wacameraさんは鮮やかなものをポイント的に配置する作品が多いのですが、αの色再現や色表現はいかがですか? wacamera: 私にとって、発色の具合は重要ですね。ソニーの色は忠実な色再現をベースに、ややマゼンタよりに出るように思っていて、私は気に入っています。ベースの色はほぼそのままで使えるので、一手間加える必要がないのもうれしいです。「α7C」の絵作りもさすがはフルサイズ、階調豊かに表現できました。
DAIGENさんの作品
――それではDAIGENさんの作品を鑑賞しましょう。この企画のために「α7C」で作っていただきました。レンズは「FE 24mm F1.4 GM」と「FE 85mm F1.8」などです。
wacamera: なるほど! お尻が強調されてるのはこういうオチだからなんですね(笑)鹿が可愛い! ――動く鹿がたくさん出てきますが、「リアルタイムトラッキング」は使われました? DAIGEN: くり抜かれた切り株の向こうに鹿がいるとき、タッチトラッキングでピントを合わせています。鹿が細かく動いても良く追随してくれますね。 こういう作品の9割はMFではなくAFですが、ソニーの純正レンズで動画撮影時のフォーカスが遅いと思ったことはありません。レビュー動画で被写体を顔の前に出すのが良くあるじゃないですか。このときピントがすぐに合わないカメラだと困りますよね。動画撮影中も、自分の顔と景色や被写体をスムーズに切り替えられるので、動画撮影時のαの使い勝手は最高にいいと思っています。 ――バリアングル液晶モニターも使われていますね。 DAIGEN: 「α7C」ではよく使います。今回も鹿の背が低かったので、鹿の目線に合わせるかたちで使いました。人間の目線で撮った映像には出せない、良い臨場感が出ているかと思います。 ――ビデオグラファーにとって、上下方向のみ動くチルト液晶モニターとの違いは? DAIGEN: ジンバルを使うとき、モーターの軸を避けてモニターを展開できます。角度が自由なのは本当に便利ですね。 wacamera: 自撮りの時にも使えますしね。 ――動画の一部でスローモーションにされています。こうした効果はDAIGENさんにとって重要なのでしょうか。 DAIGEN: 今回は鹿の動きをスローで表現しました。120fpsで撮影し、それを24fpsにしています。映像に緩急をつける意味でもスローはよく使いますよ。Vlogなどの動画を撮るカメラの機能としてはあった方がいいですね。「α7C」はPC編集要らずでカメラ側でスローとクイックの動画を加工できるので、それも重宝することがあります。 ――「α7C」の内蔵マイクの音質はいかがでしょう。 DAIGEN: とても良いと思います。今回の動画では、車に乗っているシーンはすべて内蔵マイクです。ノイズリダクションをかけていないのですが、そのまま使えました。せっかくの小さなボディに大きなマイクをつけるのは嫌じゃないですか(笑)。「α7C」は内蔵マイクの性能が良く、このまま撮れるのは大きな利点だと思います。 ――収録にどれくらい時間をかけていますか? バッテリーの持ちに不安を覚えましたか? DAIGEN: あわせて約2時間10分くらいです。バッテリーは1本で十分でした。「α7 III」よりちょっと長く持つような気がしますね。 ――wacameraさん、DAIGENさんの作品をご覧になっていかがですか? wacamera: やっぱり動画はやりたいですね(笑)。最初の車のシーンから引き込まれました。暗い中での撮影ですが、感度はどのくらいですか? DAIGEN: ISO3200〜5000だと思います。 wacamera: それくらい上げてもきれいなものなのですね。車から出るシーンはいったん車から出てカメラをセットし、それからまた車内に入ってるのですよね。こういうストーリーに従って撮影するのがすごい(笑)。私はこれまで静止画と動画の2台体制ででかけても、どちらか一方になってしまいました。「α7C」は小さくて軽いので、メインは他のフルサイズミラーレスα、動画用に「α7C」、という組み合わせでチャレンジするのも良いかもしれませんね。
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