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COLORS −鉄道彩美−
鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.10
中井氏が“α”で描く美しき色彩の鉄道風景!
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします

α Universe editorial team

みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回の色は「瑠璃色」です! みなさんは瑠璃色と聞いて、何をイメージされるでしょうか? 僕がイメージする瑠璃色は、まさに地球の色。深くて透明感のある美しいブルーです。 そこでどこに行けば、そんな瑠璃色に出会えるだろうと思案した結果、思い浮かんだのが相模湾の海岸線を沿うように走る伊豆急行でした!あそこならば、僕が思い描く瑠璃色の美しい空と海と鉄道が撮れると思ったからです。 それから今回僕はα1に、一足早く、新しく登場した超広角レンズ「FE 14mm F1.8 GM」と、他に数本のレンズを携えて出掛けました! それでは早速ですが1枚目の写真になります。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F8,1/1000秒,ISO200

片瀬白田駅と伊豆稲取駅の中間点。海岸線ギリギリを走る伊豆急行を写すことができる場所から撮影しました。 瑠璃色に染まる空と海の間を、一筋の風のように走り抜ける伊豆急行。そんなイメージで撮ってみた1枚です。 さていきなりですが、昔から僕の写真をご覧いただいている方はお気づきのとおり、僕はそもそも超広角レンズや超望遠レンズが大好きです。なので、この超広角の「FE 14mm F1.8 GM」は大好物のレンズと言えます(笑) 14mmという焦点距離は、決してメジャーな焦点距離ではありませんが、それだけに写真想像力を膨らませれば、さまざまな印象深い1枚を撮れるポテンシャルを持っています。 因みに超広角レンズというと、やはり周辺の描写力が気になることが多いのですが、そんな心配は杞憂なほどに、この新レンズは周辺部の解像力や光量落ちがほとんど見られず、先ずはその描写力の高さに驚きました。そして軽量コンパクトなことにも! 2枚目になります。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F8,1/640秒,ISO200

撮影する向きを変えて、今度は左に空と海を、列車は右になる構図にしてみました。たったこれだけのことでも、印象が変わりますよね! ここを走る「踊り子(E257系)」は真っ白なボディにブルーのラインをあしらった美しい車両なのですが、それが快晴の相模湾の海と空にマッチして、なおさら美しいなぁと感じました。 ところで、撮影する向きを変えたこの2枚目ですが、向きを変えたことで逆光状態となりました。 逆光状態は、順光に比べるとドラマチックな表現を生み出しやすいと思うので、敢えて逆光を好む方もいらっしゃるかと思いますが、そこで気になるのは逆光によって生じるフレアなどで描写力が低下してしまうことです。超広角レンズですと、その心配も大きくなります。でもご覧いただいたとおりのこの描写力!逆光など意に介さないかのごとく、とてもクリアーで精緻な描写を見せてくれました。 ところでこの新レンズ。先ほども言ったとおり、14mmで開放F1.8とは思えないほど軽量コンパクトなことに驚きましたが、肝心の描写力の方にも、かなり驚きました。 α1との組み合わせですから、さらにその真価を発揮しているというところでしょうか。 超広角の単焦点レンズが、こうした逆光も、周辺の描写力も気にする必要なく美しく精緻な描写力をしてくれると、余計な気遣いをする必要が無いので、撮っていて本当に楽しいんですよね! 3枚目は2枚目と同じ場所から、写真想像力を膨らませた1枚です。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F8,1/1000秒,ISO200

と言うのも、撮影ポジションは2枚目と同じ場所ながら、構図を工夫してみたのがこの写真です。 如何でしょう?列車が迫ってくるような印象がより感じていただけるんじゃないかなと思います。超広角ならではの表現です! この写真を構成する要素は大きく分類すると空、海、列車とレールですが、カメラを思いきって傾けてあげることで、それらの各要素が構図の右上の方に収束するように工夫しています。いわゆる視線誘導というテクニックを利用したのですが、それによって超広角とも相まって、奥から手前にグンと列車が迫ってくるような表現ができたと思います。 みなさんも超広角レンズで撮るような機会があったら、ぜひ一度、試されてみてください! レンズを変えての4枚目になります。

α1,FE 16-35mm F2.8 GM 32mm,F11,1/15秒,ISO100

列車の側面からの構図で、瑠璃色に染まる空と海を背景に撮ってみました。因みに背景とは言いましたが、ここで僕が考えたのはその背景を主役にすること。なので、列車をしっかり写し止めてしまうと、列車の存在感が強くなり過ぎてしまいます。 そこでNDフィルターを使って、1/15秒のシャッター速度にして列車をぶらして写すことにしました。 背景を主役にして、列車の方を脇役にするという、ちょっとした逆転の発想ですが、自分が伝えたいことを明確にするという点で、こういう撮り方もアリなんじゃないかなと僕は思います。 さらにレンズを変えての5枚目。

α1,FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 400mm,F8,1/640秒,ISO400

この写真はFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSで瑠璃色の海をこれでもか!と構図に入れ込んだ1枚になります。 ただ、瑠璃色の海を大きく取り込みつつも、この写真では前の写真とは逆に、鉄道を主役にしたいと考えました。 この日は海風がとても強く吹いており波も高く、海岸線に打ち寄せる白波が瑠璃色の海と対比して、良いコントラストを作り出してくれていました。そのお陰で海岸線に沿うように走る列車へ、見る人の視線を持っていけたと思います。 海岸線を走る伊豆急だからこそ、狙うことができた1枚とも言えるでしょう。 そして今回最後にご覧いただく写真になります。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,1/4000秒,ISO100

最後は、やはり新レンズ「FE 14mm F1.8 GM」で撮った1枚です! 伊豆稲取駅と今井浜海岸駅の間にある第四種踏切(遮断機のない踏切のこと)です。ローアングルに構えて踏切の標識に寄って、超広角らしい構図で表現してみました。ご覧のとおりの逆光ですが、とても美しい描写です! 心地よい海風に吹かれながら、瑠璃色に出会う旅。如何だったでしょうか?僕が思い描いた地球の色が撮れたんじゃないかなって思います。 さて、次回はどんな素敵な色に出会えるのでしょう。 それでは来月もこの場所で。中井精也でした。

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