FE 14mm F1.8 GM × 写真家 福田健太郎氏
「表現領域を広げる、新世紀レンズ」
ミラーレス専用設計レンズの最高峰G Master。本来両立しえない高い解像力ととろけるようなぼけ味。精度とスピードを兼ね備えたAF性能。静止画、動画を問わず、新たな映像体験を実現するために生まれたこのレンズはプロの現場にどのような革新をもたらすのか。 今回は写真家・福田健太郎氏×FE 14mm F1.8 GM編。実際にFE 14mm F1.8 GMで撮影した静止画・動画作品とともに、このレンズについて語っていただいた。
福田 健太郎/写真家 1973年、埼玉県川口市生まれ。幼少期から自然に魅かれ、18歳から写真家を志す。写真専門学校卒業後、写真家 竹内敏信氏のアシスタントを経てフリーランスの写真家として活動を開始。日本を主なフィールドに、生命に溢れる自然の姿を見つめ続けている。写真集に『泉の森』、『春恋し-桜巡る旅-』など著書多数。公益社団法人 日本写真家協会会員。
FE 14mm F1.8 GMは
表現領域を広げる、新世紀レンズ
――今回このレンズの存在を知ったとき、どういった印象を受けましたか? 超広角14mm、F1.8、小型・軽量と知って、また夢のようなレンズが登場するぞ!って。ゾクゾクしました(笑)とくに開放絞り値がF1.8と非常に明るいこと。それから、約460gと軽量で、FE 24mm F1.4 GMとほぼ変わらない大きさというコンパクトさは、とても信じられませんでした。 ――実際にこのレンズを手にした時の感想を聞かせてください。 最初に手にしたとき、一番の衝撃はやはりこの軽さです。倍くらい重たくても納得しちゃうレンズなわけで、これは驚異です!私がメインで使用しているα7R IVに装着した印象はベストマッチ。重量バランスがよく、横位置・縦位置、どちらでも楽に構えることができて疲れない。このサイズ感はクセになりますね。いつでも持ち出したいって思います。 ――実際に撮影した際の第一印象はいかがでしたか? 焦点距離14mmは特殊レンズの領域だと思っていましたが、難しさがない。いい意味で普通の感覚で撮影できてしまう。その理由は、先にお話しした小型・軽量であること。それから、ファインダーを覗いて見える世界が素直だからだと考えます。
――FE 14mm F1.8 GMで自然風景を撮影した感想を教えてください。 広範囲を映し出しますが歪みの少ない描写が影響して本当に使いやすい。もちろん、繊細な自然風景を細部までリアルに再現してくれて、シーンに応じて適切な絞り値で撮影すれば画面周辺部までキッチリと解像してくれます。
また、F1.8、F2など、絞り開放付近を選択しての近接撮影では、ぼけ味は滑らかで実に新鮮でした。いつも使っているFE 16-35mm F2.8 GMの絞り開放で得られるぼけ描写とは違っていて、これもレンズの明るさの差なのでしょう、もっと撮影回数を重ねて、このぼけ味だからこそ誘い出せる世界に踏み込んでみたい気持ちになりました。
近接撮影では、昔のレンズだと画面周辺部がブワッと、像の流れが気になるものと私自身は認識していましたが、違和感のない仕上がりがいいですね。手前に主役を置いて、背景には広い範囲の風景を組み合わせてみる。広大な花畑や渓流の風景だとか。遠近感を強調する写し方はこのレンズの特性を生かせますから。 風景撮影に限らず、犬や猫などのペット撮影でも扱いやすいでしょうし、ポートレートの撮影でも背景の雰囲気を生かした写真が生まれてきます。
それから、逆光耐性も高いです。この画角ですから、朝日や夕日の暖色に染まる風景にレンズを向けると画面内に太陽が入るわけですが、ゴーストが激しく出現することはなく、太陽を置く位置をフレーミングで調整すれば回避することができますし、掲載写真のようにコントラストが高く、クリアで気持ちのよい再現となります。
――星景も撮影いただきましたが、いかがでしたか?
F4と比べて2段ちょっと。F2.8と比べて1段ちょっと明るいレンズですが、この差がどれだけのものなのか。夜景、とくに星景撮影を楽しまれている方ならご存知だと思います。 露光時間を短くできますし、画質を優先することもできる。F1.8であることが現場で選択の幅を広げ、その優位性は絶対的。自然の中では他の手段で補うことはできないのですから。 絞り開放で撮影してみると、大口径レンズでも画面周辺部の星が点で再現されています。サジタルコマフレアの発生はしっかり補正されていて、肉眼で見ていると同じ、いやそれ以上の星空の世界を表現してくれます。 ――動画作品について、作品に込めた思いや表現したかったことをお聞かせください。
動画の内容テキストはこちら自然風景だからといって、癒しがテーマではありません。ショートムービーから皆さんそれぞれで感じていただきたいのですが、撮影時、編集作業で私が意識したことは次のことです。 “不変なものはなく” “移り行くもの” “水が潤し” “光に溢れ” “風が起こり” “万物の生命が宿る” 自然や風景を目の前にすると生命を感じることができて、いまを生きている実感がわいてきて嬉しくなります。かれこれ長い年数向き合っていますが、情報通り、予定通りには行かず、分からないことだらけなのが面白い。分かったことは、この世界はとても大きく、広く、深いことです。 ――FE 14mm F1.8 GMだからできた動画表現などはありましたか? 超広角14mmは森の広がり感を出しやすかったですし、動きながらの撮影では前景の流れるスピードがいっそう速く感じられるので動感を誘い出せます。明るいレンズですから闇に迫る時間になっても自然光での撮影が可能でしたし、AFの静粛性は高く、スムーズにピントを合わせてくれた印象です。 やはり小型軽量の機動力は強い味方で、手ブレ補正を効かせた手持ち撮影以外に、ジンバルに載せてもいますが、持ち運びが楽な小型ジンバルのモーターでも安定した撮影が行えました。 それから自然の音は現場で録ったものです。ショットガンマイクロホンECM-B1MとリニアPCMレコーダーPCM-A10を使いました。どちらも100グラム未満の機材。ソニーの強みである小型・軽量の恩恵をここでも受けています。 ――操作性や信頼性などはいかがでしたか? リヤフィルターホルダーがあるのは嬉しく、自然風景の撮影ではNDフィルターを用意したいです。減光効果を得るためで、水の流れをブラして滑らかに再現したい時などに使います。それよりも動画撮影のほうがNDフィルターは欠かせないでしょう。一緒に使うカメラや各設定にもよりますが、自然風景の環境を考えると、だいたい3段分の減光効果が得られるシートフィルターを用意すると、いろいろなシーンで役立つと思います。 それにフッ素コーティングや防塵・防滴に配慮した設計は、自然の中で撮影していますから心強いですし、レンズを保護するために欠かせないフロントキャップがしっかりとした出来で、着脱が非常にやりやすい点は素晴らしいです。
――FE 12-24mm F2.8 GMやFE 16-35mm F2.8 GM、FE 24m F1.4 GMなど広角・超広角域をカバーするG Masterは既に存在しますが、FE 14mm F1.8 GMはどのような方にお勧めされますか? 広角・超広角のG Masterはどれもが魅力的なレンズですが、ワイド側の1ミリ、2ミリの差は大きいですし、開放絞りの1段、2段の違いが影響するシーンは存在します。 ひと月ほど撮影を繰り返してみて、FE 14mm F1.8 GMの特長を知れば知るほど、替えのきかないレンズであることが分かります。 仮に、FE 16-35mm F2.8 GMのズームをお持ちの方でしたら、FE 14mm F1.8 GMとダブルの所有で撮影を行うのが理想です。カメラも2台体制にすると、一夜でたくさん撮ることが難しい星景撮影でも写真のバリエーションが増えますし、無難な選択ではなく思い切ってチャレンジすることができます。私の感覚では当たり前ですが、ちょっと貪欲過ぎるでしょうか。 ――最後に、Eマウントレンズの魅力と今後のソニーレンズに期待したいことをお聞かせください。 現時点でソニー純正のEマウントは64本のレンズラインアップを誇るとお聞きしました。しかも、Eマウントはフルサイズ、APS-C、スチルカメラからシネマカメラ、プロから初めての方まで幅広く使える、共通化された「1マウント」であることは非常に明快で、選択肢の多さが自由度の高さに繋がり、楽しみが広がるというわけです。 私は今回登場したFE 14mm F1.8 GMのように、撮影領域をさらに広げてくれて、画質を損ねることなく小型で軽量。撮影が楽しくなる、夢のあるレンズを期待しています。
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