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COLORS −鉄道彩美−
鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.11
中井氏が“α”で描く美しき色彩の鉄道風景!
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします

α Universe editorial team

みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回の色は「橙色」です! 「橙」あまり見かけない漢字かと思いますが、「ダイダイ」と読みます。みかんの仲間のダイダイという果実が熟して、色鮮やかな赤黄色になった状態を指す色のことです。 ダイダイの収穫時期は12月が最盛期とのことなので、時期的にはズレてしまいますが・・・。 さてそんな橙色。鮮やかな赤黄色で、真っ先に僕が思い浮かんだのが夕日に照らされた新幹線の姿でした。 さっそく、全国の地図を頼りにベストスポットを探してみたのですが、日没と線路の角度がなかなか合いません。 というのも今回の旅で僕が一番撮りたいと思ったのは、夕日を背に橙色の光に照らされ向かってくる新幹線だったからです。 しばらく地図と睨めっこをしながら、ようやく見つけ出したのが上越新幹線が走る埼玉県の熊谷駅でした。 ここは線路が西北西を向いているので、線路の奥に太陽が沈みそうです! それから今回の撮影もボディはα1。そしてレンズはFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSをメインにして臨みました。 このレンズ、カメラグランプリ2020でレンズ賞を受賞している名レンズなんですが、僕はなかなか使う機会が無く、今回が初めての使用となります! 実際に使ってみて、あまりにも良い写りと使い勝手の良さに驚いてしまい、これまで使ってこなかったことを少しだけ後悔することになりました(笑) それでは、早速ですが1枚目をご覧ください。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 385mm,F13,1/500秒,ISO1600

いきなりですが、この撮影ポジションを決めた最大の理由は、この構図で捉えたかったからです!そう言ってしまったら身も蓋もありませんが、先ほども述べたように、今回の旅で僕が最も撮りたいと思って全国の地図と睨めっこをした理由は、輝く橙色の夕日を背にその光に照らされた新幹線を撮りたかったからです。 そしてご覧いただけたらお分かりのとおり、まさに僕の狙い通り、そんな上越新幹線E7系を見事に捉えることができました! 如何でしょう?橙色に照らされた美しいE7系のフォルムが本当に美しく表現できたと思います。 因みにこの写真ですが、超望遠レンズならではの圧縮効果を利用して上部に連なる高架柱を引き寄せ、画面全体に凝縮感を出すことで緻密な描写をしてみています。また、夕日の一部分も入れ込んだ明暗差の大きな構図にしたのですが、α1の広いダイナミックレンジのおかげで、とても美しい階調で表現できたんじゃないかなと思います。 2枚目になります。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 2X Teleconverter 1200mm,F13,1/500秒,ISO1600

実は熊谷駅を撮影地に決めたのには、もうひとつの理由がありました。 ここでは、引退が間近に迫ったオール2階建てのE4系Maxが、夕日になる時間帯に3本下って行くのです。この車両がデビューしたのは、僕が写真家として独り立ちをした時期とほぼ重なります。自分にとっては激動の時代ともいえる時を、共に駆け抜けてきた思い入れのある車両が、いよいよ引退すると知り、最後にその勇姿を撮りたいと秘かに強く願っていました。 このE4系は、全車両が2階建てという特殊な構造のため最高速度は240kmまでですが、ほかの車両にはない迫力を持っています。 その迫力ある姿が夕日に照らされた瞬間、いっそうその迫力は増し、僕は2階立て独特のフォルムとその陰影の美しさに魅了されながら夢中で撮りました。 引退のその日まで「頑張って走れよ!」 橙色に輝く後ろ姿に、思わずそっと心の中で呼びかけている自分がいました。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 2X Teleconverter 1200mm,F13,1/1600秒,ISO1600

3枚目は思い切って新幹線の車体の側面のみにフォーカスしてみました。 この日の夕日は強い光を放っていたので、その光を反射して車両の側面がギラリと輝くのでは?と考えたからです。 ホームに入線するためカーブにさしかかると、1両ごとに車両の角度が変わり、思った通り映り込みがキラキラと輝きだします。 夕日の光の美しきベールを、まるで車両がその身に纏ったかのようです! 新幹線を撮りに行って、なかなか先頭を撮らずに側面のみで撮影を追い込むなんてしないかもしれませんよね。 でも、写真想像力を大いに膨らませ、今その時、自分が撮りたい!と思ったものに一点集中して撮影してみることも、僕はお勧めしたいと思います。 4枚目からは新幹線を離れ、東武日光線へと移動しての1枚です。

α1,FE 24-70mm F2.8 GM 70mm,F13,1/3200秒,ISO200

ここは高い築堤の上を列車が走るため、夕日と列車の両方をバッチリ1枚に収められる大好きな撮影ポイントです。 この場所では今までもさまざまな瞬間を撮ってきましたが、この時は空一面に広がる厚い雲で、これはちょっと難しいかなと思いながら、しばらく粘っていたのですが、そうしたらなんと雲の隙間から、ふいに夕日が顔を出し、まるで映画のワンシーンのようなドラマチックな光の矢を放ち天使の梯子が出現しました!そしてそこにタイミングよく列車が通過していくという二重の奇跡。 こういう写真は狙って撮れるものではありませんが、それだけにこんな素敵な瞬間に遭遇すると本当に嬉しくなってしまいます。 車窓からこの光を眺めた乗客の、感動のため息までもが聞こえてきそうでした。

α1,FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 547mm,F6.3,1/1600秒,ISO200

この5枚目の写真は先ほどの天使の梯子から、さらに40分後に撮影したものです。 天使の梯子は消えて、太陽がさらに沈んでいくと雲の合間から見事な夕日が顔を出しました。 走り抜ける東武日光線の特急スペーシアの先頭部分だけを捉え、太陽と対峙するような印象的な構図に仕上げてみました。 完全なる逆光ですから車両はシルエット状にはなります。しかしα1とFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSの組み合わせは、そのシルエットを細密に描写してくれていることが、お分かりいただけるかと思います。 AFの精度も抜群で、この位置で!と僕が思ったとおりのところでバッチリ車両を捉えてくれました。 この組み合わせ、本当にものすごく良いです。なんで今まで使ってこなかったんだろう・・・(笑) さて最後にご覧いただく写真は番外編ともいえる1枚です。

α1,FE 70-200mm F2.8 GM OSS 75mm,F2.8,1/4秒,ISO6400

気付かれましたか?そう上空に皆既月食が写っています! この日の皆既月食は、満月としては最も見かけが大きくなるスーパームーンと重なるというスペシャルな日。皆さんの中にも撮影に挑戦された人もいるかと思いますが、しかし、この日の空は厚い雲に覆われてしまい、関東ではほとんど見られない状況だったかと思います。埼玉県で撮影していた僕も、この夜はすっかり諦めていたのですが、頭の片隅でぼんやり、今頃は雲の向こう側に皆既月食となった月が浮かんでいるんだろうなぁと思いながら構図を追い込んでいました。そう思っていたら、なんと雲の隙間からおぼろげながらも月が数分だけ見えたんです! そして運のいいことに、そのタイミングで列車も来てくれました! 最後の写真は「橙色」とは呼べませんが、そんな幸運の1枚をどうしても皆さんにも見ていただきたいと思い、番外編として6枚目に選ばせていただきました。 さて次回はどんな素敵な色に出会えるのでしょうか? それでは来月もこの場所で。中井精也でした。

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