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FE 14mm F1.8 GM × 天体写真家 沼澤茂美氏
「14mm F1.8が魅せる星空風景の深淵」

α Universe editorial team

まさに星空風景のためのレンズ

14mm F1.8のスペックのレンズが出ることを初めて知ったとき、これはまさに星空風景のためのレンズではないかと、興奮を隠せませんでした。広い画角とF1.8の明るさ、そして何よりもそのMTFデータの内容には驚かされました。開放での画角全面の画質の優秀さを示していたからです。 最初に手にしたとき、そのコンパクトさには驚きました。フランジバックの短いミラーレスに特化した設計だとこれほどまで小さくできるのかという実感です。もちろん小型軽量ながらの外観の質感、可動部のフィーリングと、どれを取っても「G Master」レンズのクオリティーを手に取った瞬間に感じました。

F1.8の明るさは、
水田に映った天の川までも明瞭に描写

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,30秒,ISO2500

小型軽量がもたらす取り回しやすさは、暗い夜の環境で非常に嬉しく感じました。三脚や赤道儀への負担も軽減され、とにかく快適です。14mmの画角は天の川の季節には最も使いやすく、F1.8の明るさは、星空よりもかなり暗い水田の水面に映った天の川までも明瞭に写し出してくれました。

自然の精緻なテクスチャーを描き切る
G Masterの血統とも言うべき安心感

春先の木々の変化が著しい時期、私はあえて悪天候の日の山野に被写体を求めました。直射光が遮られたグローバル光の環境下では、自然のディティールが精緻なテクスチャーを見せてくれますが、それを絞り開放からしっかりと表現してくれる本レンズは、さすがにG Masterの血統とも言うべき安心感を与えてくれます。絞り開放での最短距離での撮影をご覧ください。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,1/125秒,ISO640
α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,1/250秒,ISO1600

超広角レンズでありながら、ぼけを生かした表現を可能とし、悪天候の下でも植物の生き生きした様子が見事に再現されています。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F8,1/500秒,ISO800

F1.8を安心して活用できる周辺の星像描写力

星空撮影はレンズの開放性能が撮影領域を決定すると言っても過言ではありませんが、本レンズの性能は発表時の諸データからも大きな期待が持てました。そのため、ファーストライト(編集部注: 光学機材が期待性能に達しているかについて行う最初の撮影)に臨んでもそのパフォーマンスにまったく違う余地もなく、実際の実写画像を確認しても何ら違和感なく受け入れられたのは、贅沢な話かも知れません。 開放で星を撮影する際に最も気になる周辺の星像ですが、フィルター無しではサジタル方向とメリジオナル方向に微妙なコマを生じますが、14mm F1.8のスペックからは信じがたいほどの良像と言えます。私は星空の撮影ではほとんどの場合リアに0.1mm厚のソフトフィルターを用いますが、このフィルターを使用した際には周辺像はほとんど点像になり、私にとっては理想的な星像を示してくれます。 また、星の周りに出やすいフリンジ現象も全くなく、色収差が完璧に補正されていることが分かります。従ってF1.8の恩恵を安心して活用可能というわけで、この明るさならばブライトモニタリングによって天の川までもがリアルタイムに確認しながらフレーミングができますので創作に没頭できますし、また、星空よりもかなり暗い水面に映った星空や地上景色の暗部のディティールまでも肉眼以上に明瞭に再現してくれるため、撮影画像からは予期しない発見が多くもたらされました。

α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,30秒,ISO1000
α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,30秒,ISO1600
α1,FE 14mm F1.8 GM 14mm,F1.8,30秒,ISO1600

卓越したマニュアル操作

星空の撮影はマニュアルフォーカスで行いますが、ピントリングの操作性は適度に回した量に追随し、リニア・レスポンスMFの感じはとても良いですね。精鋭な像はピントの山をつかみやすく、それらが相まってEVFを見ながらのピント合わせで外すことはありませんでした。日中の撮影ではAFのレスポンスは素晴らしく、MF/AFの切り換え、絞りクリックの切り換えスイッチなど、最初から意識することなく活用できたことは非常に重要な部分かも知れません。

機材の進化が撮影領域を拡大し撮影意欲をかき立てる

αシリーズは、カメラ本体の進化と共にEマウントレンズも急速にラインアップを増やしてきた感があります。最近は大口径単焦点レンズ、また超広角ズームレンズが増えてきたことは、星空撮影にはとても嬉しいことです。私が使用していて驚かされるのは、最高峰の「G Master」レンズの開放でのパフォーマンスです。いずれのレンズも画角全面にわたって絞り開放から星が点像に再現されることなど、過去には想像もできなかった夢のような進化です。優れたレンズと優れたカメラのパフォーマンスは、私達の撮影領域を拡大すると同時に撮影意欲をすごくかき立ててくれるのです。そんな気持ちをこれからもどんどん膨らませてくれる新しいプロダクツに期待しています。

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