One and Only
鉄道写真家 中井精也 氏 Vol.1
中井氏が“α1”と探す唯一無二の鉄道絶景!
デジタルカメラマガジンとの連動企画を
毎月コラム形式でお届けします
みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 今回から始まる新企画。その名も「One and Only」がスタートします。また皆さんとこの場所でお会いできることに感謝します。 さてこのタイトルですが、唯一無二という意味になります。 「唯一無二の鉄道絶景をα1を携え、全国を旅しながら探す」という今回のコンセプトにピッタリだと思い名付けました。 それから僕の想いとして、 One and Onlyの「Only」には全国の様々な鉄道絶景ポイントで、僕だけにしか撮れないような写真を撮ってみたい!という決意と、「One」にはメインとなる撮影機材をα1と決めたので、そのワン繋がりという想いも込められています。 そんな記念すべき第1回目の撮影地として僕が選んだのは、東日本大震災から復興10年という節目を迎えた岩手県の三陸鉄道です。 この場所はとても思い入れのある場所で、震災前から震災後も何度となく数えきれないほど訪れ撮ってきた場所です。今年は震災から10年目という節目でもありますし、またこの三陸鉄道は青い空と海を背にして走る路線なので9月にも相応しいと考え、第1回目の撮影地として選ばさせてもらいました。 それでは早速ですが、1枚目をご覧ください。
三陸鉄道を代表する撮影名所「大沢橋梁」で撮影したものです。 青い空と海、そして列車という、まさに三陸を代表する絶景が詰まっています!α1の描写力はもちろんのこと、FE 14mm F1.8 GMのクリアーな描写性能にも助けられ、まるでその場で吹いていた海風までも感じられるような臨場感のある1枚になったと思います。 撮影スポットですが、現地に在る「レストハウスうしお」の屋上からになります。ちなみに、ここで食事をすれば誰でも撮影させてもらうことができます! 国道から撮り下ろすような感じになるのですが、意外に路線までの距離が近いので、ここの美しさの要素を全て写真に取り込むためには、超広角レンズを用意することをお勧めします! ご覧のとおり空も海も鉄橋も、その全てを捉えることができます。
2枚目も同じく大沢橋梁で撮影したものです。 1枚目は順光になるお昼ごろに撮影しましたが、こちらは早朝7時に走る列車になります。この日は雲が多く曇り空になりかけのような空でハラハラしましたが、列車が通過するタイミングで雲が割れ、強烈な日差しが差し込んでくれました!それがアクセントになってくれて、とてもドラマチックな1枚になったと思います。 画面に太陽が入る完全な逆光ですが、実にクリアーで気持ちの良い描写になっています。 ちなみにこの写真、あえて絞りをF16まで絞り込むことで太陽の光条を印象的に写し出しました。列車も黒く潰れてしまいそうな状況ですが、列車の存在感もしっかりと表現できています。 まるでこの風景を肉眼で見ているかのような、もしかしたらそれ以上にドラマチックに写してくれていることに「凄いな!α1」と思った1枚でもありました。
3枚目になります。 三陸鉄道は2019年3月にJR山田線の一部区間を吸収して「リアス線」として生まれ変わったのですが、そのため日本最長の第三セクター路線になりました。 路線が長くなったことで、鉄道ファンにとっては三陸鉄道の車両を撮影できるスポットがさらに増えたことになるので、嬉しいニュースでした! そこでさっそく僕も、山深い雰囲気で撮れる撮影スポットを探してみることにしました。 見つけたのは両石〜釜石の間に位置する山深い雰囲気が撮れる場所です!海沿いのイメージとはまるで異なる、緑一色に染まる景色の中を走る三陸鉄道の車両が、なんとも情緒があって美しかったです。
4枚目になります。 三陸鉄道はリアス式の海岸線に沿って走るというイメージが強いかと思いますが、実は海と絡めて撮影できる場所は思っているほど多くはありません。さらに冬ならばスッキリと撮れる場所も、夏は草が生い茂って撮れないなんてこともあります。 そこで新たな撮影スポットはないかと探して見つけたのが、この4枚目の写真です。 三陸復興道路の建設に合わせて生まれた高台から列車を見下ろすことができる場所になります。 線路が抜けているところを見つけた時は、本当に嬉しく思いました。 まるで色鉛筆の水色のような青空、そして藍色に染まる海。緑に囲まれた中を1両の車両がのんびりと走る姿は、見ているだけで自然と心が穏やかになっていくような光景でした。
この写真は、震災時に津波で壊滅的な被害を受けた陸中野田駅付近になります。津波対策として完成した高さ10mを超える防潮堤の上から撮影しています。 震災直後は海と線路の間に膨大な瓦礫が積み上げられ、線路が流された道床には、列車ではなく瓦礫を運ぶダンプが走っていました。その風景を目の当たりにしたときは、もうこの路線はここで終わってしまうのかもしれないと落胆していただけに、今もこうして元気に列車が走っている光景は、まさに奇跡だと感じます。 防潮堤と線路の間には震災前と同じように、防風林の苗木が植えられています。きっと数年もすればこの木々は成長し、いずれはこの場所から列車は見えなくなることでしょう。
最後にご覧いただくのは、旧JR山田線の区間で見つけた撮影スポットからの1枚です。 広々とした田園風景の中を走る姿がとても印象的でした。 この写真はFE 85mm F1.4 GMで撮っているのですが、このレンズで撮った一番の理由は開放値です。開放F1.4の効果によって、大きな前ボケを作ることで幻想的な表現が可能になります! 冒頭で超広角14mmだからこそと書きましたが、この写真も同様で、自分が撮りたいイメージに合ったレンズを選択することはとても大切なポイントです。 さて「One and Only」第1回目はいかがでしたか?次回もα1を携えて、僕自身が唯一無二と思えるような鉄道絶景をご紹介しますので、どうぞご期待ください! 鉄道写真家・中井精也でした。
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