すごいぞ!なんといっても軽い。 そして、極上のAFと描写力だ 写真家 井上浩輝 × FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
写真家の井上浩輝氏に、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIを実際に使用した感想やその魅力について語っていただいた。
井上浩輝/写真家 1979年札幌市生まれ。札幌南高校、新潟大学卒業、東北学院大学法務研究科修了後、北海道に戻り、風景写真の撮影を開始。次第にキタキツネを中心に動物がいる美しい風景を追いかけるようになり、2016年に米誌「National Geographic」の『TRAVEL PHOTOGRAPHER OF THE YEAR 2016』のネイチャー部門において、日本人初の1位を獲得。自然と人間社会のかかわりへの疑問に端を発した「A Wild Fox Chase」というキタキツネを追った作品群を制作、発表してきた。写真は国内のみならず海外の広告などでも使用されている。2019年には、代表作『Fox Chase』のプリントが英国フィリップスのオークションにおいて27,500ポンドで競落され、その動物写真がコンテンポラリーアートとして取引の対象にもなりはじめている。写真集『ふゆのきつね』日経ナショナルジオグラフィック社写真エッセイ集『北国からの手紙』アスコム写真集『Look at me! 動物たちと目が合う1/1000秒の世界』KADOKAWA写真集『Romantic Forest おとぎの森の動物たち』PIE International
レンズに羽が生えたような軽さ
これは本当に軽いぞ! なんといってもその軽さにおどろきました。FE 70-200mm F2.8 GM OSSを使いはじめたときに感じていたグッと手首に感じる重さが、言い過ぎだけれどレンズに羽が生えたような軽さになっていました。…なんて、やっぱり言い過ぎですよね(笑)。でも、軽い。また、ズームリングのトルクが重すぎず軽すぎずの絶妙な感じになっていて、とっさのズーム操作も安心そうだ、という点が初対面のときの印象です。
レンズとカメラボディが一体化した感覚
レンズをカメラボディに装着してみると、重量バランスの良さのおかげでレンズとカメラボディが一体化した感覚になります。こういうバランスが素早い操作と構えによる正確な狙いを実現させてくれて、目の前を目まぐるしく走りまわるエゾリスを追いかけるときや、レンズを振り回したときにさっと思うように振ったり止めたりすることができ、その恩恵を大きく受けました。 そして、AFを動作させると、合焦が速い速い!晩秋の森でハラハラと舞い落ちてくる枯れ葉にバシバシとAF-Cのピントが吸い付くように合い続けることにうれしくなりました。これは俊敏に動きまわる動物の撮影にもいいはず!と期待が高まります。
飛びまわるエゾリスの驚愕の撮れ高に胸が高鳴る
これまで、野生動物たちが走りまわっている姿を写し止めることは非常に難しいものでした。カメラボディのAF性能はもちろん、その性能と車輪の両輪のように働くレンズ側のAF性能が高くなければなりません。“前モデルからAF性能が4倍になった”という謳い文句のFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIを最高のAF性能を誇るα1に装着して、自由奔放に秋色の中を走りまわる、いえいえ、飛びまわるエゾリスを撮ってみました。 背景のさまざまな色の落ち葉にAFが引きずられてしまいそうなシーンですが、エゾリスの姿をEVFの中にしっかりと入れて連写する間、エゾリスの瞳を動物にも対応のαのリアルタイム瞳AFが捉えていく様子が見えます。これは一瞬のこと。期待しながら連写した写真群を再生すると、その中に伸びやかに飛ぶエゾリスがバッチリと写し残されているのです。加えて、ぼけ味も気持ちがいい!この驚愕の撮れ高に胸が高鳴ります。
手の届きそうな距離のエゾリスを極上のぼけ味で
エゾリスたちが走りまわる地面に積もった枯れ葉にカメラを沈めて、忙しそうに冬の準備をしている彼らの姿を撮っていると、ふいに手の届きそうなところまで彼らがこちらの様子を見に来ることがあります。 旧型のレンズだと、あまりに近すぎてピントが合わないような距離なのですが、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIでは、合ってしまうことにおどろきます。 さらにおどろくのが、そのぼけ味。ズームレンズとは思えないくらいふわーっとぼけるのです。そして、被写体の奥にある光源はふんわりまるく玉ぼけ。単焦点レンズを使っているのではないかとさえ思うような写り具合なのです。 今まで、画角を自由に変えることのできるズームレンズは、便利な一方で、ぼけ味や玉ぼけに関しては単焦点レンズに比べて少なからず期待できないところがあったのですが、このレンズはそれをほとんど感じさせないものになっています。近くに来てくれる可能性のある動物の撮影では、このズームレンズは、便利さだけでなく、まるで単焦点レンズのような極上のシャープさとぼけ味ももたらしてくれることと思います。
テレコンバーター併用時でも高い描写力
70-200mmの焦点域では、動物撮影に少し心許ないという気持ちもよくわかります。そんな方は、テレコンバーターを併用するのはいかがでしょうか。 僕は1.4倍になるSEL14TCをそっと撮影用の上着のポケットに入れています。そして、もう少し寄りたいというときやこれ以上トリミングをするのは画素数的に難しそうというシーンで使用しています。今回もFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIで使用してみましたが、精細さやぼけ味といった描写力は、このとおり素晴らしくて気持ちがいいものです。
撮り逃しを減らし、撮れ高を期待する方におすすめ
素早く飛ぶように走りまわる体高25cmほどのエゾリスをサッとこのレンズを振って撮ることができるとなると、ドッグランでテンションを上げて飛ぶように走る犬たち、動物園でしなやかに動きまわるネコ科の動物たちを撮影するときにも素晴らしい撮れ高をもたらしてくれることと思います。 また、フルタイムDMF機能が便利で、ちょっと困ったというときに役立っています。これは、AF使用時でもピントリングをまわすことでピント位置をマニュアルで変更できるという機能です。これがあるおかげで、AFが奥に抜けてしまったときでも、ピントリングをまわせばサッとピントを手前に移動させることができるんです。この機能を使うことで、皆さんもAF起因での撮り逃しが大幅に減ることと思います。
今後のソニーのレンズに期待したいこと
僕がはじめてEマウントのカメラNEX-5を導入したとき、発売されていたレンズは、単焦点レンズのE 16mm F2.8とズームレンズのE 18-55mm F3.5-5.6 OSSの入門用レンズ2本だけでした。それが今は65本(編集注 2021.11月時点)。あらゆるレンズが揃ってきています。これだけのレンズ群がひとつのマウントで揃っていることによって、ビギナーから上級者まで幅広く楽しむことができることと思います。実際、僕が少しずつ上達したときにマウントの変更なしに上級機のボディやレンズに移行できたことは、とてもありがたいことでした。さまざまなレンズが揃ってきた今、ソニーのEマウントに期待するのは、画質やAF機能の向上はもちろん、今回のような大幅な軽量化です。もっと持ち出しやすく、もっともっと高い撮れ高を期待できる、わくわくするレンズが増えることを願っています。
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