みなさんこんにちは。鉄道写真家の中井精也です。 α1と一緒に日本全国を旅しながら、唯一無二の鉄道絶景を探す「One and Only」。第3回目となる今回は、群馬県と栃木県の山間部を走る「わたらせ渓谷鐵道」を旅しました。 そして今回はレンズ1本だけで撮りきってきました! そのレンズとは、G Masterのニューフェイス「FE 70-200mm F2.8 GM OSS U」です! 因みに僕が初めて手にした時の第一声は「軽っ!」です(笑) その後すぐに試し撮りをして、AFも画質も前モデルから、さらに進化していることを実感しました。今回は、この新レンズ1本だけで撮影に挑んだので、是非ご覧ください! 「わたらせ渓谷鐵道」ですが、この路線は渡良瀬川の渓谷美を四季を通して楽しめる絶景路線です。 そんな季節の中でも僕が特に好きなのが今の季節です。まだ少しだけ暖かい空気が残りつつ、朝晩の冷え込みは強くなる今の季節は、寒暖差によって生まれる幻想的な朝霧が渓谷を包み込み、他の季節では撮れない絶景を見せてくれるからです。 さて今回最初の1枚は・・・。α1と新レンズを構える僕。(笑) 本当に軽くて驚きました!
それでは改めて。最初にご覧いただくのは、こちら。 朝霧がドラマチックな光景を見せてくれた1枚です。
朝霧の狙い目は最も冷え込む夜明け前から、日の出までのわずかな時間帯に限られます。 小中駅と神戸駅の中間にポジションを決めて、朝霧が出ることを祈りながら待ちます。 この日の朝は山間部に見事な霧が立ちこめ、まるで水墨画のような厳かな世界を作り出してくれました。早朝6:16に始発列車が走ってくるまでに暫く時間があったので「どうか消えないで!」 と祈りながら列車が通過するのを待ちました。 そしてα1とこの新しいレンズは、立ち込める霧の質感と、森と列車のディテールの両方を見事に描写してくれました。
続いて2枚目になります。 高い尾根からようやく朝陽が顔を出すと、渡良瀬川の川面をまるで滑るかのように朝霧が漂い、周囲の木々からも霧が立ちこめました。1枚目とは異なる、日が差してからの霧と森の中を抜けて来る列車が織りなす幻想的な世界に、思わず見とれながらシャッターを切りました。 構図ですが、右に渡良瀬川、左に列車と森を配置。生い茂った木々の中、自然が造った森のトンネルを抜けてくる瞬間を捉えました。なお最も朝霧が印象的に写るように露出を調整したため、森の中の列車との対比がより鮮明となり、この光の世界を美しく印象的に表現できたと思います。 それと手前から奥へと広がる色付き始めた木々の様子も伝えたいと思ったので、開放F値より絞ってF4で撮影しています。 3枚目です。
霧の写真が2枚続きましたが、こちらは開放F2.8によるぼけを生かした1枚です。 このレンズ、ぼけが本当に美しいんです! ご覧のとおり、ぼけさせたのは列車の方です。手前のカエデの葉の方にピントを合わせ、ホームに入ってくる車両をぼけさせました。 いかがでしょう?電車のヘッドライトの部分が、とても美しい円形になっています。そして車両と、その後方の木々が、とても滑らかにぼけているのもお分かりいただけるんじゃないかなと思います。 この何とも言えない、初秋の晴れた日の優しい色彩が素敵だなと思いながら撮りました。
4枚目は雰囲気をガラリと変えて、駅の改札口を撮った1枚です。 車両も線路も写ってはいませんが、これも僕は鉄道写真だと思っています。 これは上神梅(カミカンバイ)という駅の改札口なんですが、なんと大正元年、1912年の大晦日に開業した駅舎だったりします!2008年には国の登録有形文化財として登録もされている、由緒ある駅です。 そんな趣のある旅情たっぷりな駅舎は、それだけで絵になります。 さて、僕が注目したのはその駅の木製の改札台。立体的に浮かび上がっているかのように見えませんか? 望遠ズームレンズでありながら、まるで単焦点レンズかのような描写力に驚きました! 5枚目になります。
わたらせ渓谷鐵道が誇る観光列車「わたらせ渓谷号」をアップで撮りました。撮影ポイントは、上神梅駅と大間々駅の中間になります。国鉄時代のDE10ディーゼル機関車と12系客車が、素敵なレトロ感を醸し出してくれます。 ところで、オヤっと思われた方もいるのでないでしょうか? 200mmでは焦点域が足りなくないですか?と。はい!そのとおりで、この写真では、2倍テレコン(SEL20TC)を装着して400mm相当で撮影しています。 テレコンっていうと、漠然とレンズの性能が落ちてしまうと思っている人もいるかもしれません。でもα1に装着したこの新型レンズ、2倍テレコンをつけても快適そのものでした!リアルタイムトラッキングで被写体を追従させたのですが、列車が現れてからドアップになって画面からはみ出すまで、全カット見事にバリピン!画質もAF性能も、ほぼ影響無しでした。これ何気に凄いことだと僕は思います。
今回、最後にご覧いただく写真は沢入駅と原向駅の秘境ポイントからの1枚です。今回も今まで自分が訪れたことのない撮影ポイントを見つけるべく、地図でその当たりを付け、目の前に広がる深い森の中で鉄道が見えるポイントを探しながら山中に分け入りました。そうして1時間ほど山中をさまよった結果、深い谷の底をトロッコ列車が走る姿を捉えられる新たなポイントを見つけることができました!鬱蒼とした森、深い谷の合間を列車が走っていくその光景は、静謐で本当に美しい光景でした。 僕が一番見せたかった尾根と列車の一部に光が当たり、その陰影により山深さを表現することができました。 そして山中をさまよって感じたこと。やはり「軽さは正義」です。 α1との相性は抜群で、持ち歩きのしやすさ、高い描写力、速いAFと、今後最高の相棒レンズになりそうです。 さて「わたらせ渓谷鐵道」、いかがだったでしょうか? それでは来月もこの場所で、皆さんに鉄道絶景を紹介できることを楽しみにしています! 中井精也でした。
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