「Asian Doll」 HVL-F60RM2×フォトグラファー 八木 淳 氏
八木 淳/フォトグラファー 1977年 宮城県生まれ。 2001年 都内スタジオ勤務。 2003年 富田眞光氏に師事。 2006年 渡英。 2007年 帰国後から本格的にキャリアをスタート。 Beautyを中心にファッション、ポートレート、スティルライフなど幅広いジャンルを手がけ、活躍の場も広告、雑誌、ムービーと多岐にわたる。 2019年6月、初の個展「Y-EN」「A sense of Hong Kong」を開催。 https://www.yagiatsushi.com/ Instagram: https://www.instagram.com/photographer_atsushi_yagi/
フォトグラファー八木 淳氏に、フラッシュ性能はもちろん堅牢性や操作性も進化したHVL-F60RM2で撮影した作品とともに、このフラッシュについてのインプレッションを語っていただいた。
スタジオのライティング機材で撮影したかのような写真表現
――HVL-F60RM2で撮影した印象をお聞かせください。
自分がカメラマンとして活動する際は、光量が大きくチャージ速度の速い、撮影スタジオに適した機材を使用してライティングを組み立てています。 そのため、この記事を読んでいただいているソニーユーザーの皆さんの方がクリップオンのフラッシュに使い慣れており、今回新たに発売したHVL-F60RM2と前モデルとの違いなどにも敏感に察知できるかもしれません。 ただ、今回新商品HVL-F60RM2を実際に使ってみて、クリップオンの小型フラッシュでもスタジオ機材で撮影したかのような本格的な写真表現が可能と思えた点について、お伝えできればと思っております。 今回は、α1に装着したクリップオンHVL-F60RM2でのカット(黒背景)と、α1に電波式ワイヤレスコマンダーFA-WRC1Mを装着しフラッシュを4台別々の角度から被写体を狙うカット(ピンク背景)の2パターンを撮影しました。
写真の印象も、α1の凄さでもある色表現・ダイナミックレンジの階調の良さを併せて表現するために、ビビッドなものに仕上げました。 まずクリップオン(カメラと直接接続した状態)での撮影(黒背景)では、フラッシュ以外に環境光(室内の光)を敢えて影響させるためにシャッタースピードを1/15秒と遅くし、コントラストは強いがフラッシュのみの光による強すぎない印象に仕上げています。 黒バックの背景のみの撮影になると、被写体と背景の露出差が開きすぎてTTLの調光補正や露出補正が必要になることもありますが、今回の撮影では寄り引きのバリエーションを撮っても露出差のバラツキはあまりなく、環境光とフラッシュのちょうど良いホワイトバランスで撮影できました。
ピンクバックの方は複数台のフラッシュを使用しましたが、リモートによるフラッシュのグループ分けや出力調整が可能だったので、その場でライティングコントロールをすることができました。 実際、UIが英語表記だったりするので、ある程度使い慣れるまでは苦戦することもあるかと思いますが、使い慣れればスムーズに光をコントロールできるようになると思います。
――純正フラッシュを使うことの魅力はありましたか?
先ほども述べましたが、安定した光量により露出のバラツキも生じず、カメラ本体の顔検出と連動した発光制御*1やホワイトバランスの自動補正機能も精度が高くその凄さも感じましたし、ファインダーを覗きながらフラッシュコントロールが可能なこと*2・・・これはスタジオではバックモニターでも良いのですが、ロケなどで日差しによってバックモニターが見づらい時などに重宝します。こういった点が、純正フラッシュを使う上での魅力だと思います。
また、今までαシリーズを使用する際、カメラとフラッシュの接点であるシュー部分がとても繊細な造りに感じ、扱い方にはより慎重になっていたのですが、今回のフラッシュHVL-F60RM2は接点のホールド感が今までよりも強く、接点部分が覆われているので防塵・防滴対策もしっかりしている印象で、プロの仕事にも耐えるものになったと思っています*3。
――HVL-F60RM2はどのような方におすすめでしょうか?
今回、HVL-F60RM2を使用してスタジオライティングをシミュレーションしてみましたが、扱い方次第では撮影スタジオにある機材と同等の表現が実践できたかと思います。 プロカメラマンとして活動されている方の機材追加投入だったり、ハイアマチュアの方がプロ仕様の機材を持っていないからと諦めていた写真表現も、このフラッシュを使うことにより、今後の写真表現の幅を広げられるのではないかと思いました。 また、ミラーレス一眼の普及により、写真を撮る手軽さであったり、光量の少ない環境でも綺麗に撮れることからフラッシュを必要としなかったり、扱い方が難しそうだから使わないといった方がいると思いますが、ソニーのカメラと純正フラッシュの組み合わせによって、オートで最適な露出光量の調整であったり、ホワイトバランス自動補正機能で簡単にフラッシュ撮影ができると思います。 今後使い慣れていくことで調光補正や露出補正、シャッタースピードや絞りを自分なりにカスタマイズし、今までとは違った写真表現ができるようになるのではないかと思いました。 また、今回の撮影では実践していませんが、α1ではシャッタースピード1/400秒でのフラッシュHVL-F60RM2の同調が可能なので、ハイスピードシンクロでの一瞬を捉える撮影や、屋外での強い日差しを生かした日中シンクロによって、雰囲気のあるモードな写真を表現できると思います。
――最後に、八木さんにとってフラッシュの魅力とは?
フラッシュというものは「暗いから使う」のが一般的なイメージなのかと思いますが、先ほども述べたようにミラーレス一眼の普及によって、暗い環境でも綺麗に撮れることからフラッシュの必要性が薄れてきているのかなと思います。 ただ、フラッシュというのは暗いから明るくするために使うだけではなく、「瞬間光」を使うことによって被写体の一瞬を止めて撮影できるので、そのメリットを生かすことで写真表現の幅はだいぶ変わってきます。 ちょっと分かりにくいかと思いますが、環境光の動く(ブレる)光と、フラッシュの瞬間光の止める光を組み合わせたら面白い表現ができたりするので、皆さんにもぜひトライしていただきたいです。
また、使い慣れていくことで、フラッシュ1灯の面白さ、フラッシュ+環境光の面白さ、フラッシュを複数台組み合わせる面白さなど、ライティングによって自分のイメージした画を作り出す面白さが増え、どんどんスキルアップしていくと思います。 ライティング撮影は、ソニー αシリーズとHVL-F60RM2を組み合わせてオート撮影する手軽さと、自身で光を組み合わせてイメージを作るちょっとした難しさがあります。ただ、難しさがあるからこそ表現の幅も広いと自分は思います。まずはやってみることからがスタートなので、失敗を恐れずどんどんライティング撮影に挑戦してみてください。 また別の機会でライティングのお話などできたらと思います。 皆さん、ありがとうございました。
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