写真家 清家道子氏から見たα7R Vの魅力
写真家 清家道子 氏
α7R Vは新しいステージを作った。 写真家が表現し、優れたカメラが表現を引き上げてくる。 私もα7R Vにより更なる変化を遂げることができるのか、挑戦したい。
清家 道子氏/写真家 福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。 現在企業カレンダーを手がけるほか、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。 2016年に写真展「またまの宇宙」をリコーイメージングスクエアで開催。同写真集(日本写真企画)を出版。2017年に南仏をテーマにした写真集「TheGiftOfRanunculus」(風景写真出版)、2021年著書「美しい風景写真のマイルール」(インプレス)、2022年「極上の風景写真・フィルターブック」がある。 2019年「純色風景」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、福岡天神で開催。 2022年「光の記憶」写真展をソニーストア大阪、札幌、名古屋、福岡天神で開催中。 2020年にYouTube清家道子チャンネルを開設。風景写真、色彩心理、風景動画で構成した風景ショー トムービーなどを配信中。 https://www.youtube.com/@michiko_seike 清家道子写真事務所 https://seike-michiko.com/ αアカデミー講師
――αとの出会いのきっかけを教えてください。 もともと私は一眼レフカメラを使っていました。そして、いつも撮影にはレンズを数本持って出かけるため、機材だけで10kg強ありました。あまりの重さに、あるとき肩を痛めてしまい、それを機に軽量のミラーレスへの変更を考え始めたのです。 私は「ミラーレスといえばソニー」の印象があったので、ソニーストア 福岡天神に行ってみたんです。ソニーストア 福岡天神では、スタッフの方々が豊富な知識で丁寧な対応をしてくれ、これなら安心して使いこなせると確信し、αの本格的な使用を始めました。 ――機材を軽くしたい、という想いがαとの出会いのきっかけになったのですね。 清家様がカメラを選ぶにあたり、ほかに重視した点はありますでしょうか。
私がカメラに求めるのは、機能はもちろん、その機能の使いやすさ、丈夫さ、画質、階調(ダイナミックレンジの広さ)などですね。また、撮った後の楽しみ方を考えると、高画素機であることの必要性も感じています。 風景には、一生のうちに何度も出会えないような瞬間が多々あります。せっかくのその風景を、最大限の美しい画質で残していきたいですね。 プリントはもちろん、これから先の時代は写真を高画質のモニターで楽しむ機会が増えてくるでしょう。それに合わせて写真も良い画質で残すことが必要になってきますし、それは自分の財産になると思っています。 最近は動画も撮るようになりました。なので、1台のカメラで静止画も動画も高画質で撮れることもカメラ選びのポイントになっています。 また、レンズはカメラのセンサーの良さを最大限に引き出してくれるものです。レンズ選びも妥協せず、良いものを使っていきたいです。 ソニーのレンズは選択肢が豊富で、特にG Masterの色彩の美しさ、透明感、ぼけ味は素晴らしいと感じています。 風景写真にはG Masterがおすすめですね。逆光に強い、フレアやゴーストが少ない、色彩が美しい、透明感がある。隅々まで細部を描く。これは風景写真家が求めるレンズだと思います。
――一生のうちに何度も出会えないような風景、高画素で残したいですね。 この度、清家様に高解像のα7Rシリーズ最新モデルα7R Vをご使用いただきましたが、いかがでしたでしょうか。 α7R Vに関して、最初外観をパッと見た時はα7R IVと比べてさほど変化はないように見えました。強いていえばモニターに若干の厚みがあるかな?くらいです。でも使っていくと静止画/動画/S&Q切換ダイヤルがとても便利なことに気が付きました。 私は動画も撮るので、切り換えが簡単にできるのは便利です。α7 IVも使っているのですが、静止画/動画/S&Q切換ダイヤルが搭載されているα7 IVの動画撮影のしやすさは気に入っていました。 α7R Vは、α7 IVの動画機能の使いやすさをそのまま融合させていますので、これからは静止画、動画全てこれ1台で満足できると感じました。
α7R IVの頃から6100万画素の解像性能に魅せられとても気に入っていたのですが、α7R Vになってから低感度時の解像性能が向上したことで、さらに画質が良くなったように感じています。 また、暗いシーンでの解像性能も良く、夜明けのシーンや夕焼けなど風景写真家が最も好きな時間帯に不安なく挑むことができ、さらに撮影に集中できる。私は、暗い中での撮影が多いので、これはとても嬉しいですね。
あとは、階調性能もさらに向上した印象を受けています。夕焼けや朝焼けの作品などは特に、階調性の良さが発揮されていると思います。 すでに沈んでしまった太陽の色合いは、まだオレンジ色に滲んでいる。でも上の空には明るさが残っている。こんなシーンではα7R Vの階調性能が発揮されているなと感じました。朝夕のブルーモーメントは色の表現が特に難しい場面ですので、この時間帯の撮影では特にα7R Vの力量が発揮されます。 また、α7R Vをこの数カ月使ってみて、じわじわと感動しているのがオートホワイトバランス性能の高さです。これまで、私はホワイトバランス「太陽光」で撮影した後にRAW現像するのが当たり前でしたが、α7R Vのオートホワイトバランスではとても忠実で自然な色合いが再現できるのです。現在ではオートホワイトバランスを多くの撮影シーンで使用しているほど、色再現性能は気に入っています。 下の作品は、最近撮影した紅葉の写真ですが、やはりAWBはすごいなあと感じた一枚です。
今回ご紹介している作品は全てホワイトバランスはオートで撮影していますが、狗尾草(エノコログサ)や下の紅葉の作品、この後にご紹介する秋桜の作品なども特に自然な色が出ていて分かりやすいかなと思います。 風景写真は色彩が命。その要である色彩が難なく表現できるのは、風景写真家にとっては喜ばしいことですね。 普段JPEG撮って出しで撮影している方にも、これは大変嬉しい進化だと思います。 目の前の風景をそのまま写す。これが風景写真家の目指すところですから。
――素敵な情景で、うっとりしますね。画質性能以外の点はいかがでしたでしょうか。 α7R Vの5軸ボディ内手ブレ補正8.0段の効果には驚かされました。風景は三脚を使って撮るのが一般的ですが、どうしても三脚が使えない場所もあります。例えば登山の時や狭い場所、もちろん三脚禁止の場所もありますよね。 先日は山にα7R Vを持っていき撮影しました。三脚を持って行ったものの登山中に三脚を立てるというのはとても難儀ですし、場所がないところも多かったです。その日は絶好の紅葉日和で、目の前には素晴らしい紅葉の色彩が広がっています。そのなかで1カ所、特に紅葉が美しい場所を見つけました。しかし崖淵からの展望ですので、三脚は危険で立てられませんでした。そこで私は、手ブレ補正機能をONにして手持ちで撮影。 通常このような撮影シーンは、必ず三脚を立てて押さえたいところです。1/80秒は撮り方にもよりますが、通常のカメラなら手ブレを起こすことが多くなるシャッタースピードです。 ですが、私はα7R Vのボディ内手ブレ補正機能の効果をここで初めて体感することになったのです。 この絶景はブレてはいけない。そう思いながらも、恐る恐るシャッターを切る。そしてモニターで確認すると、ブレていません。拡大してしっかりと隅々までチェックしましたが、やはりブレていないのです。 このような風景を三脚なし、手持ちで撮影したのは、覚えている範囲で初めての体験でした。私は必ずと言っていいほど三脚は使いますから。 下の作品は1/6秒で手持ち撮影した作品です。 ご覧の通り手持ち撮影でもブレずに高解像でこのような水景を作品としておさめることができました。
今回ご紹介している作品では、ほかにも先ほどの狗尾草の作品や下の秋桜の作品は手持ちで撮影しています。 α7R Vのボディ内手ブレ補正は、私の撮影スタイルを大きく変えるかもしれません。
また、α7R Vに変わってからしばらく、ずっとJPEG撮って出しで撮影していましたが、オートホワイトバランスとクリエイティブルックでほとんど自分の出したい色彩表現ができますね。これまでRAWで撮影、その後現像という一連の流れがありましたが、それが面倒だと思われる方も多かったと思います。しかしJPEG撮って出しだと、精密な色を表現しきれないという問題もあったと思います。 しかし、α7R Vでは多くのシーンでオートホワイトバランスでの忠実なホワイトバランスが実現でき、それから先にクリエイティブルックで自分の思い描く色彩をカメラの中で完成させながら撮影できるようになりました。 そして、選んだクリエイティブルックから、さらにコントラスト・ハイライト・シャドウ・フェード・彩度・シャープネス・シャープネスレンジ・明瞭度を調整できるので、まるで現像しながら撮影する感じでしょうか。 この2つの機能(オートホワイトバランス ・クリエイティブルック)は、色彩表現のこれまでの流れを大きく変えたと思っています。 さらに、α7R Vを始めて触った時にまず感じたのは、4軸マルチアングル液晶モニターの便利さです。これまではチルトかバリアングルか選ばなければならず、それは写真家にとっては悩ましい問題でした。 風景写真を撮る上ではチルトでいいのですが、動画ではバリアングルの方が便利です。それを一体化した4軸マルチアングル液晶モニター。これでチルト VS バリアングルの論争は終結したと言って良いでしょう。次に驚いたのはファインダーの見やすさでした。約944万ドットの高性能ファインダーは、まるでリアルに被写体を見ているようです。実は、写真を撮るときにファインダーが見やすいというのは意外と大切なことなのです。 風景写真は十分な明るさがない場所で撮影することがとても多いのですが、ファインダーが明るく見やすいと、構図を決めたりピントを合わせたりする時にとても助けられます。 それはモニターも然りで、α7R Vのモニターはα7R IVよりも液晶モニターが大きく色域も広くなっています。モニターを見ながら撮影する人にとって、これは嬉しい点ですね。 また、今回初めて8Kで風景動画を撮りましたが、8Kだとより存在感を表現できると思いました。これまで動画撮影は4Kが当たり前でしたが、こんなに簡単に8Kまで撮れるようになるとは思いませんでした。 5年先、10年先は8Kで見る時代が確実に来ているでしょう。それを踏まえて、今のうちから8K動画で残しておくことが自分自身の財産になると思います。 4K 24p/30p/60p、そして8K。目的に合わせて自由に選べる自由度がいいですし、切り換えボタンで簡単に静止画から動画、そしてS&Qに変えられるのも便利です。 これからの時代は静止画も動画も撮る。そういうニーズにα7R Vは応えてくれていると感じました。
清家道子氏 8K動画作品
――α7R Vスペシャルサイトのプロフェッショナルギャラリーではピクセルシフトマルチ撮影の作品もご紹介させていただいておりますが、ピクセルシフトマルチ撮影機能はいかがでしたでしょうか。 ピクセルシフトマルチ撮影機能は4枚もしくは16枚を合成し、より高画質な画像を生成することができる機能ということですが、16枚合成時にはなんと2億4080万画素!とにかくすごいとしか言いようがありませんね。いつか特大の伸ばしのプリントでこの画質を体験してみたいと思い、時々ピクセルシフトマルチ撮影で撮影しています。 これは後世に残すため、いつか開催するであろう写真展のため、などいろんなシーンで「いつかのため」に撮影しておくといいですね。この風景にはもう二度と出会えないかも、という時は、私もピクセルシフトマルチ撮影してデータを残しておこうと考えています。 ――ここぞという瞬間は高画質で残したいですね。最後に、今回α7R Vで作品を撮影した感想をいただけますでしょうか。 私にとっては、これまで使ってきたα7R IVとα7 IVが合体したイメージです。これまではやはりα7R IVは静止画、α7 IVは動画機という使い分けでやってきましたが、α7R Vはそれらの機種が1台にまとまったという感じです。 静止画も完璧に撮る、動画も完璧に撮る。もうこれ以上はないですね。 私は「カメラ1台主義」なんです。できれば何台も一度に使いたくないですね。2台使うと集中できないので。 これからはα7R Vで、さらに良い写真と動画を撮り続けたいと思います。 ――ありがとうございました。
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