α Universe editorial team
会津鉄道 芦ノ牧温泉南〜湯野上温泉
霧が晴れると、真っ白な稜線が姿を現した。ここはダムのため取り付け道路などが多く、絵にするのは難しいと今まで敬遠してきたが、間違いだと悟った。α1の描写力が生きて、壮大なスケールの作品に仕上がった
雪景色の中の茅葺き屋根の駅舎
貴重な風景を大切に残していきたい
会津鉄道はJR只見線の西若松駅から会津高原尾瀬口駅を結ぶ第三セクター路線。会津高原尾瀬口駅では野岩鉄道を経由して東武鉄道とも接続しており、関東からのアクセスも抜群だ。日本有数の絶景路線だが、沿線に昔ながらの会津らしい風景が数多く残されているのも大きな魅力の1つ。今回は昔懐かしい茅葺き屋根にこだわって撮影してみた。
茅葺き屋根がずらりと並び、江戸時代の宿場町の面影を今に残す「大内宿」は残念ながら列車から見えないが、最寄りとなる湯野上温泉駅は立派な茅葺き屋根の駅舎を持つ。中には囲炉裏もあり、駅員さんがいる時間帯には火が入れられており、駅舎の扉を開けると懐かしい煤の香りが暖かく迎えてくれる。日没後、牡丹雪が舞う中を列車が出て行く光景は、映画のワンシーンのようにドラマチックだった。
会津鉄道の車窓からも、あちらこちらに茅葺き屋根の家屋を望むことができる。塔のへつり駅の近くにある茅葺き農家は、僕が季節ごとに撮影させていただいているお気に入りのポイントだ。
近代化が進み、日本の風景が変わりつつある中、昔ながらの風景を残すために僕はα1を使っている。今回のような厳寒な場所でも問題なく稼働するし、なにより描写が素晴らしい。雪風景の場合、細かなディテール描写とハイライトの粘りが重要となる。掲載した写真を見て分かるとおり、G Masterと組み合わせたα1はその点は全く問題なく、僕の思い描いたとおりの風景を緻密に写し撮ってくれる。未来に残したい鉄道の原風景をα1と探す旅は、僕にとって何よりも大切な時間になっている。
<PHOTO TECHNIQUE>
ホワイトバランスで印象が変わる雪景色
αシリーズの「AWB」はとても優秀で、朝夕や曇天の雪景色などの青みが出やすい条件でも、きれいな白に再現してくれる。ただ作品づくりでは、正確な色を出すことだけではなく、自分が出したい色を優先することが重要だ。「太陽光」で青みを残して冷たさを強調したり、「日陰」にすることで温もりをプラスすることもできる。どれが正解というわけではないが、WBを変えながらできるだけテスト撮影し、自分が理想とする色みを追求するようにしたい。
会津鉄道 塔のへつり〜弥五島
真っ白な雪をかぶった茅葺き農家と、真っ赤な列車のコントラストが美しい。端正な家屋には、時代に流されることのない揺るぎない思いが宿っているようだ
会津鉄道 湯野上温泉駅
大内宿の玄関駅として、会津鉄道の開業時に建築された茅葺き屋根の駅舎。満開の桜に包まれる春も最高だが、しんしんと雪が降る冬の夜もたまらない。旅情に心が震えた
会津鉄道 芦ノ牧温泉南〜湯野上温泉
第三大川橋りょうを行く始発列車を、1/4秒という低速シャッターで流し撮り!自然の美しさと鉄道が持つ安心感が伝わる1枚に
会津鉄道 塔のへつり〜弥五島
冬の貴重な晴れ間。約6,100万画素を誇るα7R Vは、澄み渡った冬の空気感と、雪をたたえた山の立体感を見事に再現してくれた
会津鉄道 湯野上温泉〜塔のへつり
第4大川橋りょうをゆく。森の木々のわずかな隙間から撮影する厳しい状況だったが、自在に動くα7R Xのバリアングルモニターのおかげで快適に撮影できた
<ADVENTURE EPISODE>
脚の長さを変えられる伸縮脚立が大活躍!
冒頭の見開き写真は街路灯が列車に掛からないように、脚立の上からハイポジ撮影。こんなときは凸凹のある場所でも安定して立てられる「伸縮脚立」が威力を発揮する
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